『鹽津城』「未の木」※ネタバレ
『鹽津城』「未の木」
飛 浩隆/河出書房新社 (初版発行日 2024年11月30日)
私にとっては、柔らかいタッチかつ、心地よい暗さのある文章だと感じられました。SFの入門に良いかもしれない(私はSFとミステリが苦手です)。答えなんて見つからないけど、スッと心に染み込む読後感の良い作品だと思います。
文章を書くのが苦手ですが、頑張って書きました。
こじつけ!やっつけ!なので寛大な心を持って読んでいただけると幸いです。
あらすじ
ある日、杖田杏子の元に「未の木」という、夫・森一にそっくりの花を咲かす植物が送られてくる。同時に、森一の元には、杏子にそっくりの花を咲かす植物が送られてきた。
離れた場所にいる二人の軸が並行して物語は進んでいく。
気になったポイント
「未の木」
未=方向で言うと南南西、時間で言うと午後二時または午後一時〜三時。南南西=風水で家庭運・健康運。
家庭
家庭を持ちながら、お互い他の異性に気がある風。
杏子 →「あずま」の店主
森一 →多恵子
健康(?)
杏子 →乳がんで亡くなった
森一→脱線事故で亡くなった
「棲の木」
棲=家、生の字に書き換えることもある。
「剥離のノイズ」
剥離=元の位置から離れる。
元の位置
「つい今朝までそこになにかがあり、そうして失われた」P.37
「こうでない世界があり、その世界とこの世界がかぎりなく近づき、接し、また離れていく」P.36,37
こうでない世界、その世界
森一も杏子も死んでいない世界?
この世界は?
森一は(杏子は)死んでいる。
「未」と「棲(生)」の字をふまえて
「未生」=韓国の囲碁用語で「死んでもいないし生きてもいない石」
→二人は、死んでもいないし生きてもいない?
残ったのはどちらの世界か?
「たぶんあのご主人、手が冷たいんだと思う。」P.34
「すぐに杏子の冷たい手に吸い込まれてぜんぶ消えた。」P.37
→「あずま」の店主のなごり(ではないか)
「ふたりは手をつないでいる」P.34
「一瞬だけ日だまりのあたたかさが感じられ」P.37
→森一のなごり(ではないか)
残ったのは冷たい手=「あずま」の店主と同じ(なぜ?)
一瞬感じて消えたあたたかさ=森一が生きていた世界のなごり?
お互いの喪失
愕然とはするも、受け止められている。
この世界も後に、また別の世界と近づき、接し、離れていくのか?
感想
感想というか、勝手に受け取った教訓というか。
きっかけがないと再確認できない物事こそ大切にしよう。
気づかない、気づけない、ではなく、本当は分かっているのに有耶無耶にしてしまう。
有耶無耶にした事で生じたズレが大きい程、お互いの世界が離れていってしまうのではないか。
と!読書記録つけてみました!
読書ノート始めたので、またやると思います。
おみ