【#曲からストーリー】②『この刃に懸けて / FFⅨより』約600文字
こんばんは。PJどすえ。
さて、好評いただいております。ってまだ始まったばかりだけど。。
休みん俳勝手に企画【曲からストーリー】2つ目投稿です。
好きな曲は無限にあるので、きりがないですね。
今回は、植松伸夫先生の『この刃に懸けて』で書いてみます。
植松先生は人気ゲームシリーズ『ファイナルファンタジー』の中心的作曲家です。
『この刃に懸けて』はファイナルファンタジーシリーズの9の名シーンで使われています。
今回はオーケストラコンサートバージョンでお楽しみください。
名曲ですよ。心が盛り上がります。私いわゆる古典のクラシックはそんなに聞きませんが、オーケストラは好きですね。特にティンパニー・大太鼓。小太鼓で情熱的に盛り上がる曲が好きです。
あ、前奏が長いので、1分12秒から聞いていただいたほうがいいかもですね。
ちなみにこのゲームはクリアしていません。YouTubeの解説動画でストーリーを知りました。
ゲームで一番好きなのはファイナルファンタジー10でした。
私はいろんな登場人物が主役になりながらストーリーの裏側を見ていく『グランドホテル形式』の物語が好きなんだと思います。
小説なら
『羊をめぐる冒険/村上春樹』
『チグリスとユーフラテス/新井素子』
『童話物語/向山貴彦』
漫画でしたら
『からくりサーカス/藤田和日郎』
『7SEEDS(セブンシーズ)/田村由美』
『ぼくの地球を守って/日渡早紀』
映画なら
『有頂天ホテル/三谷幸喜』
ですかね。思いついたものをあげましたが、どれも名作ですね。かっこいいです。
前置きが長くなりました。
小説は短めにしますので、もしよろしければお読みください。
小説はゲームとは一切関係ないので、このゲームを知らない人も読めますよ。
完全オリジナルの短編です☺️
※聴き所は1分12秒から
3分からはお馴染みファイナルファンタジーメインテーマ
『この刃に懸けて』著:PJ 約600文字
「親父は意気地なしで卑怯者だったよ」
イクサは、ロウソクの薄明りの中で、家宝のだと言う短剣の手入れをしながら、俺にそう言った。
俺たちは明日の俺とイクサの妹の結婚式の前祝いとして、俺の家で2人だけで酒を飲んでいた。
「だってさ、ジャコブ。盗賊の集団が家に来たとき、腰に差していた大切なこの剣を放り出して、母も幼い俺も妹も捨てて、財産だけを持って逃げていったんだぜ? 呆れるだろう?」
イクサはそう言って、まるで盗賊と戦うように短剣を振った。
「イクサ。アンタはバカなんだな」
「はぁ? なんだよそれ」
俺はイクサの言葉に呆れて、酒を一気に飲んだ。
「イクサ、アンタは親父さんの事を全くわかっていないんだよ」
「知るかよあんな奴。でも、まぁそのおかげで盗賊は親父を追っていって助かったよ。親父からは結局連絡もないし。戻っても来ない。逃げ切れたか、どこかで野垂れ死んだか。でも、そのおかげで俺たちは貧乏生活でほんと大変だったんだぜ?」
「だからだよ」
「だから、なんだよ?」
「イクサ。アンタも、お母さんも、妹も生きているだろう?」
「当たり前だろ」
「だから俺は明日、アンタの妹と結婚できる」
「ああ、ジャコブおめでとう」
「イクサ、俺は家庭を持つ。アンタの親父さんのように強く優しい男になりたいと思うよ」
「はあ?」
「親父さんは家族を守ったんだ。アンタにその剣を託して」
イクサは俺のその言葉の後、黙ったままロウソクの光を短剣を当て、その刀身を眺めていた。
しばらくすると、嗚咽が聞こえてきた。
短剣が光を反射して、イクサの顔を照らした。
その瞳から涙が流れるのが見えた。
《了》