【高齢者からスポーツ選手まで!】リハビリであまり診られていない?胸椎・肋骨、いわゆる胸郭の評価と治療について!
※2019.12/28追記 有料部分に私が今年(2019年)に学会で報告した胸椎(胸郭)回旋の評価方法に関して書き加えました。スポーツ現場でも用いることが可能で、かつ私が測定した一般人・アスリート(競泳選手)の平均値も載せています。当日の学会発表でしか公表していないデータになります。
セラピストの皆さんは、患者さんの姿勢などを評価することが多いと思います。
その中で足部や膝関節、股関節のアライメントをチェックしたり、肩甲骨の高さや上肢のアライメントなどを診ている人は多いと思います。
ですがあまり浮遊肋骨の高さや呼吸時の肋骨の可動性、胸椎の○番が突出しているとかっていう話は私の本業(病院の中)ではあまり聞いたこともありませんし、そんなの意味あるの?って感じだと思います。
私の臨床の中心的なものは肩関節疾患(腱板断裂や肩周囲炎)、脳血管疾患(いわゆる片麻痺)、スポーツ障害、競泳選手の4つですが、
どの対象者をみるときも間違いなく胸椎・肋骨を含めた胸郭のアライメントのチェックを私は欠かしません!
こういう話を周囲のセラピストに話をするとみんな興味を示してくれますが、
・胸郭が重要なのはわかるけど、あまり勉強したことがないから評価方法やアプローチの仕方がわからない
・胸郭以外の部位の問題が多すぎて、そこの部分に目が向かない
などという声が聞こえてきます。
たしかに、勉強会を掲載しているサイトなどを見ていてもこの胸郭をテーマにしている勉強会はなかなか散見されず、書籍もそれほど多くはありません。
この現状では評価方法やアプローチ方法はもちろん、そもそもアプローチや評価対象に胸郭が入ることはなかなか難しいかもしれません。
そんな中、先日私の友人である競泳のユニバーシアード日本代表トレーナーから依頼を受け勉強会を開催しました。
反応はかなり良好で、
「胸郭を見ることで視点が広がった」
「評価の方法がとてもわかりやすかった」
などのお声を頂きました。
代表トレーナーからも、
「これで選手にもよいコンディショニングを提供できる!」
というお言葉を頂きました。
ブログの方にも肋骨に関しての記事を投稿したのですが、4/27現在で125件のいいねをいただいております。
そこで今回、胸椎・肋骨の評価方法から徒手的なアプローチ方法、さらに自主トレーニングの方法までをnoteに書いてみました。
このnoteを購入していただくことで、
・一通りの胸郭に対する評価・アプローチ方法を知ることができます!
・ほかのセラピストがあまり着目していない胸郭を含めたクリニカルリーズニングが展開できるようになります。
・下肢や体幹のアプローチを上肢にまで反映させることができます。
・呼吸器疾患はもちろん、脳卒中やスポーツ選手にもより良い治療を提供できるようになります。
・日本代表トレーナーも納得できる胸郭の評価・治療法を知ることができます。
・おおざっぱな評価ではなく、何番の胸椎・何番の肋骨が問題なのかを分析できるようになります。
・一つ一つの椎体に対しての安定性を出すアプローチができるようになります。
・これで明日から胸郭を診ようと思うはず!
無料部分では胸郭を構成する骨の話を中心に進めますので、そこだけでも明日からの臨床が変わると思います!
~胸郭とは?~
※無料部分の筋骨格画像はすべて©teamLabBody-3D Motion Human Anatomyより引用
簡単に胸郭を表現するのであれば、
「12個の胸椎と左右12本の肋骨から構成されるユニット」
となります。
私が学んでいるドイツ筋骨格医学の講義の中でおっしゃっていたのは、脊椎外科の医師の中には、上位胸椎のことを「頚胸移行部」と区別する方もいらっしゃるそうです。
胸椎・頚胸移行部ともに屈曲が生じた際は椎間関節の離解(ディバーゲンス)が生じ、伸展時では椎間関節の接近(コンバーゲンス)が生じます。
側屈した際には、側屈側のコンバーゲンスと反対側のディバーゲンスが生じます。
胸椎を触れる際にはランドマークを覚える必要があります。
一般には肩甲骨の上角・棘三角・下角がそれぞれに対応する胸椎がありますが、肩甲骨の位置に大きく影響を受けるので注意が必要です。
よく勘違いされるのは横突起の位置ですが、棘突起の真横に横突起は存在しません!!
胸椎の場合は棘突起から頭側へ2~3横指のところに存在するので注意が必要です!
胸郭の話をする際に胸椎と並んで重要となるのは肋骨になります。
実際に肋骨へのアプローチを行う際に触れていくのは肋骨角です。
また肋骨頭と胸椎で肋骨頭関節を形成し、肋骨頚と胸椎横突起とで肋横突関節を形成します。
肋骨頭関節は触れることは難しいので、実際には前述した肋横突関節を肋骨角を介してモビライゼーションしていくことが多くなります。
肋骨の評価をするうえで知っておこなければいけないのは、肋骨の可動の仕方です。
上位肋骨の動きは主に胸郭腹側が上方に挙上するバケツハンドルモーションとなります。
この動きは胸椎の伸展と連動して生じます。
一方で下位肋骨の場合は胸郭側方が外側へ膨隆していくポンプハンドルモーションとなります。
この動きも胸椎と連動しますが、伸展のみだけでは評価できず、三次元的な動きで評価を行います。
胸郭の中には様々な臓器(心臓・肺など)が含まれており、それらを保護するユニットとなっています。
胸椎のアライメントは生理的後弯をとりますが、これが大きすぎるといわゆる猫背の姿勢となります。
猫背になると、後面の軟部組織は伸張され続けることでストレスを与えられることになりますし、前面の腹筋群は短縮位となり筋収縮は得られにくい環境となります。
このような状態から体幹を伸展させようとすると、腰部の筋や頭頸部の筋肉が努力性を有する状態になり、代償的な腰椎前弯やHead forward Postureになったりします。
水泳におけるストリームライン時の腰椎前弯角度と、肩関節可動性低下・胸椎後弯角・下部胸郭の可動性低下には関連があると報告しており、胸郭の可動性が腰椎や肩関節にまで影響を及ぼすということ示唆しています。
(片浦ら,水と健康医学研究会誌20-1,2017)
また、嚥下において重要な舌筋力がHead forward Postureよって有意に低下するとの報告もあります。
(小串ら,第50回理学療法学術大会,2015)
これらからいえることは胸郭の可動性低下が、全身に波及するということになります!
そして、もうひとつ重要なことは胸椎は交感神経節が分布しているということです!
(上図:人体の構造と機能 第2版より)
痛みに敏感な方で交感神経が有意になっているような患者さんであれば、胸椎や肋横突関節に対してアプローチを行うと、交感神経の働きを過剰にし代償的に副交感神経の働きが強まり、結果として副交感神経が優位となって患者さんが落ち着くということも経験上ありました。
このように胸郭は、自律神経や筋骨格から考えても非常に重要になってきます。
では胸椎や肋骨はどのように評価を行うのでしょうか?
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