美容院が苦手な理由
美容院が苦手である。
大学時代から一人暮らしを始めて早10年目に突入するのだが、
いまだ理容室にしか行ったことがない。
なぜ、苦手なのかと問われると、答えるのは意外と難しい。
大学生の頃はただ単に、その価格の高さに怖気づいていたのだと思う。
だって、お店によってはカットだけで6000円とかするじゃないですか。
事実、収入源は親の仕送りと奨学金、あとアルバイト代だけで、
そのほとんどは家賃、光熱費、食費、学費、サークル活動費に消えており、
髪を切るという行為だけにそこまでお金を注ぐのは現実的ではなかった。
だが、どうやらお金だけが原因ではないらしい。
幸運にもお給料をもらえる立場になって、早4年。
貯金もでき、時間にも余裕ができた現在でもまだ
私は美容室に通えていないのだ。
美容院に対して、たしかに憧れはある。
引っ越した直後、近所を散歩していると何店舗かオシャレな店構えの美容院を恐る恐る覗いてみたりする。
ホットペッパービューティーのアプリを立ち上げて近所のお店を試しに調べてみたりもする。
だが、いざ店に入ろう、予約をいれようとすると怖気づいて億劫になってしまうのだ。
たぶん怖気づく最も大きな理由は、「自分に似合う髪型が分からないこと」にあるんだと思う。
理容室では、「3〜4cmくらい伸びた分を切ってください」といういたってシンプルな注文で済む。
一方で、(あくまでイメージの中の)美容院では、
具体的に「こうなりたい」という目標がなければ行く資格はない(と思っている)。
そこで、なりたい髪型を探すために検索欄に「メンズ 髪型」などと入れてググると、
ルックスのいいモデルさんたちの画像がホストクラブのように並んで出てくる。
その中にどうしても自分が見当たらなくて、「近所の床屋で…」となってしまうのである。
美容院での失敗経験も、拍車をかけているのかもしれない。
成人式の前日、新成人代表の言葉を任されていた私は、
この日ばかりはオシャレに気を遣おうと実家近くの美容室で髪を整えてもらったのだ。
ろくにワックスも使ったことのない私であったが、
美容師さんからセットの仕方も教わり、
翌朝、意気揚々と教わった通りにセットして、
舞台に立ったのだった。
後日、友人が送ってくれた写真にはオウギバトの冠羽のような頭の私がいた…
それ以来、美容院には行っていない。
本当は、何事も流動的に受け止め、自分の中の偏見にとらわれる事なく、リベラルな立場でいたいと思っている。
だからこういう時、自分が想定以上に保守的で、少し落ち込む。
そういうとこやぞ、私。
たかが美容院、されど美容院。
というわけで、さっきホットペッパービューティーで美容院を予約した。
来週、約7年ぶりに美容院に行ってこようと思う。
なりたい髪型はないですが、似合う髪型なら良いです。
オウギバトの冠羽でさえなければ。
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