カウンセリング(キャリアコンサルティング)が独占業務にならない理由
たまに「カウンセリング(又はキャリアコンサルティング)を独占業務にしてほしい」というような声を見聞きします。
特にキャリアコンサルタントの方に多いのですが…残念ながら、この一言でキャリアコンサルタントであっても、「自らの仕事理解」が全くできていないことがバレてしまいます。
なぜ、「カウンセリング(キャリアコンサルティング含む。以下同じ)」は独占業務にならないのか。
まず、独占業務になり得る業務は、基本的に「代理」に馴染む業務です。
弁護士なら「訴訟」や「交渉」、司法書士なら「登記」、税理士なら「納税申告」ですね。
これらは「(一般的に)素人にはその知識がなく、難しい」ため、「代わりに『その分野の高度な専門的知識を持った人』つまり『専門家』が、その本人に『代わって』行う」ものです。
では、カウンセリングにおいて、クライエントが求めているサービスとは、いったいどのようなものでしょうか。
訴訟でも、納税でも、登記でもありませんよね。
クライエントが求めているサービスは、「自分自身の心(気分・情動・ありよう)」が、「どのようにすれば前向きな変容を生じるか」についての援助です。
ここで考えて頂きたい、非常に重要なポイントがあります。
それは、自分自身について、「もっともよく知っている」専門家は誰なのか、です。
当然「自分自身」ですよね。
カウンセラーやセラピストは、あくまで「クライエントが自身の気持ちを理解し、変容できるよう」支援しているのであり、いつだって「クライエント自身の専門家はクライエント自身」です。
私たちが代わりに行うことや、決定することは何一つありません。
もうお分かりかと思います。「クライエント自身の専門家は、クライエント自身」。だから「カウンセリングにしろキャリアコンサルティングにしろ独占業務に馴染まない」のです。
この基本中の基本の理解が無いと、「カウンセリング(キャリアコンサルティング)を独占業務にしてほしい」なんて的外れな発言をしてしまうことになるんですね。
(実際は一部の国で、カウンセリングを国家資格者の独占業務にしているケースもあります。しかしこれは単に政治的な決定であり、根本的にカウンセリングが独占業務に馴染まないことに変わりはありません)