どうしようとも思わない態度
僕がカウンセラーとして大切にしている考え方がある。
それはクライエントの方をどうしようとも思わない事である。
「この人をこうしたい」とか「こうなってほしい」という考えを一切持たず、どの方向にも導こうとしない、どんな変化もこちらから与えようとしない、素因な姿勢が大切だと考えている。
また、そこがカウンセリングと友達へのお悩み相談との違いだと思っている。
過去にも書いたがどうかは覚えていないが、他人を変える事は出来ない。それはカウンセラーも同じである。
しかし、人はどうしても他人の人生までもコントロールし、他人を自分の思う正解へと変えてみせようとする。
相談に乗った側が悩んだり、相談したはずがいつの間にか口論になるのも、相談に乗っている側が相手を変えようとしているのが問題なのだ。
つまり、自分の人生と他人の人生を区別できていない。
僕は、カウンセラーはこの区別が出来ていないといけないと考えている。
僕の視点で相手の人生を見るのではなく、相手の視点で相手の人生を見なければならない。
アドラーの言葉を借りれば「他人の目で見て他人の耳で聞く」事が大切である。
その上で、自分の主観を押し付けるという事もしてはいけない。
カウンセリングでは、悩みの原因に気づくのも、改善すると決心するのも、そこから行動に移すのも、全てクライエントである。
そこに「こうした方がいい」とか「こうしてほしい」というカウンセラーの主観は微塵も必要ない。
というよりそれは邪魔にしかならない。
よく、「カウンセリングではアドバイスをしてくれるんでしょ」とか、「どうすればいい?」と聞かれるが、アドバイスはしないし、どうすればいいかではなくどうしたいかである。
敢えて凄く冷めた言い方をすれば、カウンセラーはクライエントの人生には関係ないし、クライエントが幸せになろうがならまいがカウンセラーの人生に何の影響もない。
なので、クライエントがしたいようにするべきだし、進みたい方向に進むべきである。
ただ、それに気づいてない人も多い。
それを会話を通して気づいてもらうのがカウンセリングだと思っている。
ただ、これはカール・ロジャーズの来談者中心療法の考え方であり、他の考え方を取り入れた際には違った意見が出てくるかもしれない。
しかし、一貫して相手を変容させようとした時点でカウンセラー失格だと思っている。
なぜならそれはクライエントの方の悩みではなく自分の悩みになり、ただ自分自身がなやみ苦しむ結果になるからである。
なので、カウンセリングではクライエントの方をどうしようとも思ってはいけないのだと思ってカウンセリングをしている。
どうしようとも思わない態度。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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