厄年を乗り越えろ 京都厄払いの旅 豊かな水と清らかな気が流れる貴船神社
京都の観光ポスターや観光誌でもお馴染みの、灯籠が立ち並ぶ石階段。
貴船神社といえばこちらの景色を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。
前回に引き続き京都厄払いの旅を綴って行く。
鞍馬山を下山した私達は、鞍馬山西門から出て貴船神社を目指す。
清らかな水が流れる川を右手に、北へ数分歩くと鳥居が見てくる。
鳥居をくぐると、あの景色が目の前に広がる。
貴布禰総本宮 貴船神社。
濁りの無い清らかな水を表すとのことで、きぶねじんじゃではなく、きふねじんじゃと読むとのこと。
神社を巡っていると、言葉を音として捉え、考え、音に意味や力を乗せて願う。
そんな先人たちの思いに触れる機会が度々訪れる。
神聖な気が流れる神社には、立派な樹(木)が聳え立ち、雄大な自然が広がる。
そんな自然を支えるのは豊かで清らかな水。
ここ貴船神社も清々しい気に満ちた神社だった。
御祭神
高龗神
以前訪れた髙龍神社の記事でも書いたが、龗の字は龍を表す古語であることから龍神だと読み取ることが出来る。
そして龍神は水を司る神、水神とも言われる。
神社前を流れるのは貴船川。
暑い季節には川床が敷かれ、涼みながら休憩や食事が楽しめる。
その歴史も古いとのことだ。
この地は水と共に時間が流れている。
貴布禰総本宮 貴船神社
御神徳
神社HPによるときふねは古くは氣生根と書き、気の生ずる根源とされるとあることから、運気隆昌、縁結び、諸願成就と言われる。
気は循環させるものであり、停滞させるものではないと考える。
あくまでも私の考え方。
空気の入れ替えも換気と表し、気の循環を促す。
断捨離も古い自分の気がこもった物を処分することによって、新しい気を取り込み、運気の転換を促す。
御神徳の運気隆昌は古く悪い気を水に流し、新しい気を招くと捉えればイメージしやすいのではないだろうか。
そして縁結び。
こちらも気を循環させることによって、入ってきた新しい気を縁と考えると腑に落ちる。
結ばれる縁は人と人はもちろん、自分に必要な物、欲しかった物にも当てはめてみると解釈が広がる。
縁結びと聞くと、恋愛や結婚をイメージする方も少なくはないと思う。
せっかく縁結びとだけ書いていただいているので、様々な御縁結びを祈願するのが良いかと思われる。
貴船神社は上記の本宮、中宮である結社、奥宮がある。
本宮を出て川を右手に徒歩10分程度で到着。
貴船神社中宮 結社
御祭神
磐長姫命
木花開耶姫命
こちらの二柱は姉妹神。
天孫降臨の神話で語られ、天照大神の孫にあたる瓊瓊杵尊の妻として差し出されたが、迎えられたのは木花開耶姫命のみ。
磐長姫命の見た目を受け入れることが出来ないという理由で父の元へ送り返された。
実は二柱が妻として差し出されたのには、父神の崇高な願いがあった。
木花開耶姫命は天孫が花のように栄えるように。
磐長姫命は天孫が岩のように永遠のものとなるように。
だが磐長姫命が返されてしまったことで、天孫にも寿命が出来たと言われている。
後にこの出来事を恥じた磐長姫命が、縁結びの神としてこの貴船の地に鎮まったとのことだ。
なんと奥ゆかしいことだろう。
御神徳
磐長姫命の御神徳としては縁結びの他にも、本来の願い通り延命長寿、岩のように屈強で頑丈な身体となるよう祈願してもよろしいかと思われる。
木花開耶姫命は瓊瓊杵尊に不貞の疑いを掛けられた際、火を放った産屋で出産をして疑いを晴らしたことから、火難除け、子授け、安産を祈願させていただきたい。
境内には貴船山中から出土したとされる自然石、天乃磐船。
結社を出て更に奥へ徒歩10分程度。
貴船神社 奥宮
御祭神
本宮と同一の高龗神が祀られる。
神社HPによると闇龗神も祀られているとされているが、こちらも髙龍神社と同一神だ。
こちらの二柱は、二神一対なのだろう。
だが、もう一柱祀られているとされるのは玉依姫命。
髙龍神社で祀られているのは玉依姫命の姉神とされる豊玉姫命。
こういった違いも興味深いところである。
どちらも安産、育児、縁結び、そして海神であることから航海安全。
水を司る水神でもある。
そしてこちらの奥宮社殿の真下には日本三大龍穴の一つがあると伝わる。
直接拝見することは禁じられており叶わない。
神職の方も一時的に社殿を遷した際には、最新の注意を払って布を掛け隠したと聞く。
こちらの龍穴を見た、若しくは関わった人間は命を落とすとも伝わるが、転じてそれほど神聖で強大な御力が湧き出す場所だとも考えることが出来る。
貴船神社。
霊山鞍馬山と貴船山の間を流れる豊かな水に清められた地に鎮座する。
そして古よりその水を大切に思う人々が信仰し、水と共に歴史を重ねてきたのだと感じる。
鞍馬山と合わせて訪れたのだが、疲労と空腹も相まって無心に祈ることが出来た。