M:I-2(2000)
タフなのに官能的なイーサン・ハントのミッション
ジョン・ウーマジックに彩られた、新生『スパイ大作戦』
本作は2000年夏の注目作として華々しく公開されました。
1960年代の人気テレビシリーズ『スパイ大作戦』を人気スター、トム・クルーズ主演で映画化し、話題を呼んだ1作目『ミッション:インポッシブル』(’96年)にも並々ならぬプレッシャーがあったに違いありませんが、その大成功を受けて製作された第2作には、1作目以上の期待とプレッシャーがあったことでしょう。
そのプレッシャーをはねのけるために、〈あえて正攻法をとらないこと〉、〈敵、つまり観客の目を欺くこと〉という特別諜報部員の鉄則にならったかどうかは定かではありませんが、本作では、当時のアクション映画に新風を吹き込んだ香港映画界の雄ジョン・ウーを監督に迎え、髪を伸ばして野性味を加えたイーサン・ハントが、愛をかけた情熱的なミッションを遂行しています。
ロック・クライミング中のイーサン・ハントに任務が告げられる冒頭シーンでは、トムが実際に命綱1本で2千メートルの岩壁を登っており、その目の眩むような景観と、精悍なハントの姿からタフなアクション映画になる予感は十分です。
その期待に違わず、特殊任務であるキマイラをめぐる攻防は壮絶を極め、スローモーション映像を融合したカーチェイスやド派手な銃撃戦、疾走感溢れるバイクチェイス、マーシャルアーツによる一騎打ちの闘いなど、ジョン・ウー印のけれん味あふれるアクションシーンがてんこ盛り。前作でイーサンが見せた、冷や汗ものの宙づり侵入作戦も再び登場します。
しかし、CGによる特殊効果は少なく、冒頭同様ほぼトム自身がアクションをこなしています。
内容的には1作目でも踏襲されていたスパイものの醍醐味である、緻密なチームプレイや頭脳戦はありませんが、機密任務を遂行する1人のスパイの道ならぬ愛を描いた、甘く、官能的なトーンはぴったりとはまっています。ハントと恋に落ちるナイア役のサンディ・ニュートンの美しさにも魅せられます。
とにかく〈オリジナルのTVドラマや前作と比較しない〉ということが観る側に課せられた、第1の鉄則。ジョン・ウーの映像美学によって、新しく生まれ変わったミッションを心ゆくまで堪能しましょう。
ちなみに、本作は1作目を上回る大ヒットを記録、2000年の全世界映画興行収入第1位となりました。
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