<漢方薬>五苓散に含まれる‟白朮”は、体内の気を巡らせているって、どういうこと?!
漢方薬の五苓散を徹底解剖するシリーズ!?の今日は‟白朮”(画像)です。
生薬の白朮は、オケラ、またはオオバナオケラの根茎を乾燥させたものです。オケラはキク科の多年草ですが、地上部が枯れだす初冬に、節がある長い根を使うことになります。
五苓散はこれまでの3大利水剤と呼ばれる、沢瀉、茯苓、猪苓が利水滲湿類だったのに対し、白朮は佐薬としての働きがあり、補気類として気の働きを助けながら、水分代謝の調整や消化器管を健やかにする生薬です。
ここで‟気”の話しが出て参りましたが、中医学(東洋医学)では基本となる概念で気血津液学説というものがあります。これは、気血津液(津液は水分と置き換えてもいいかと思います)が人体を構成し、臓腑、組織、器官を働かせる最も基本となる物質と考えられています。⇒<中医学では気も物質と見るところが面白い!?>
この中で気は、全身の隅々まで巡っているという認識です。また、この気血津液の働きが滞ると様々な病理現象が起こると言われています。よって気血津液を常に正常に活発に循環させる必要があるのです。
簡単に気血津液のことを述べましたが、白朮が五苓散に使われているのは、この気を活発に巡らせるためとも言えます。
この気の概念は、中医学独特の考え方で、西洋医学にはない概念です。疾病をすべて科学的に解決しようとすると、ひっかかる概念ですね。
ただ、「病は気から」とも昔から格言として言いますし、生きる活力があるのとないのとでは、病からの回復力が違うのも事実でしょう。中医学でいう‟気”はもう少し深い意味がありますが、また、折々触れていきたいなと思います。ざっくりとはそんな意味合いになります。
白朮の効能を補気以外で見てみると、体内の水分代謝の調整とありましたが、体の余分な水分を取り除く作用があります。また、消化器管を健やかにということですが、白朮は中医学で言う、脾と胃に帰経する(帰経するとは生薬がどの臓器に影響を及ぼすかということ)と言われていますので、まさに現代で言う消化器官に作用すると解釈できます。
要するに、気の巡りを含め、水分調整しながら弱った消化器官を補うと言うわけです。
今日は、‟気”という独特な概念が出て参りましたが、漢方薬にはこの気を補う、補気類の生薬が含まれていることが多いです。代表的なものに、人参(高麗人参)や、甘草、黄耆などがあります。あっ、食材に用いられるものとしては、なつめがありますね。
補気は中医学(東洋医学)にとって非常に重要なところになります!
明日は、もう少し、白朮を掘り下げてみたいと思います。ちょっと、本線から外れるかも知れませんが・・・。