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予定通りにいかない日、塩対応な小3長男が教えてくれたこと

小学生・保育園児、3人の子どもたちとともに始まる平日の朝は壮絶だ。

見た目を気にしない小学生男子は、ひどい寝ぐせのままリビングに座って、半分寝ながらお気に入りのポケモンパンをかじっている。

彼の背後にコッソリ回って霧吹きで髪を濡らし、野球帽をボコッとかぶらせる。これで、彼が家を出るころには髪の毛はいい感じにまとまっている。

年長と年少の姉妹は、ソファーで優雅に二度寝をキメている。抱きかかえてそれぞれダイニングの椅子に座らせるが、全く起きる気がない。

ダランとすべての体重を私に預けてくるので、ぎっくり腰一歩手前。私の腰をもっと大切に扱ってほしい。

小学生男子が家を出てから姉妹は着替え。なんとか急かして靴下を履かせ、ママチャリの前後に姉妹を乗せて家を出る。ここでも腰がやられそうになる。

保育園から猛スピードで帰ってきたら、散歩に行きたいと恨めしそうに私を見ている犬におやつをあげて誤魔化し、子ども部屋兼私の仕事部屋にこもる。パソコンをひらいてまずはメールチェック。

「お声がけしておりましたプロジェクト、先方の都合で案件自体がなくなりました」

あぁぁぁぁぁ……そうかぁ……
フリーランスはつらい。


メールに返信し、気を取り直して作業に入る。

11時からは楽しみにしていたオンライン勉強会。入ってみたら終わるところだった。どうやら、10時開始だったらしい。イガイガした気持ちであらためて資料作成。

仕事のヒントになりそうと申し込んでいた午後からのウェビナーは、何度入ろうとしてもパスコードの入力を求められて入れない。うんざりしてZoomの「閉じるボタン」を押し、ため息をついた。



こんなにも予定通りに行かない日があるだろうか。

腹が立ってGoogleカレンダーの予定を削除していると、勢いよく玄関が開く音がした。9歳の長男が階段をかけのぼり、ランドセルをしょったまま仕事をしている私の部屋をのぞきにくる。

いつもはだいたいオンラインミーティング中の私が、パソコンの前でぼんやりしているのを見て珍しく思ったらしい。

「このあとも仕事なの?犬の散歩行こう!」


いつもなら迷惑に感じる息子からの誘い。

普段なら、このあとミーティングだから無理。あと30分で次の予定あるからちょっとだけだよ・​・・などと、時間に追われてイライラとそう答えるけれど、今日はもういいや。

「今日はこのあとなんにもないから、いいよ、ゆっくり行こう」


二人と一匹で川沿いの舗装された道をゆっくりと歩く。

本当はいろいろ予定あったのに、とイライラザワザワした気持ちが残ったまま、無理に笑顔を作った。

「今日はちょっと遠回りしようか」

いつもなら大通りをすぐ右に折れて家に戻る道を、そのまま川沿いにまっすぐ歩き、公園に寄り道をする。

普段は運動嫌いな長男が、なんだかやけに元気だ。公園のジャングルジムをひょいひょいとのぼり、犬の散歩ひもを握ったまま寒さに震えて棒立ちしている私にてっぺんから「おーい」と手を振った。

逆光で青空がまぶしくてよく見えない。でも、すごく嬉しそう。


その時ふと、
「そっか、今日はこういう日なんだな」と、すっと心が晴れたのがわかった。

「ママものぼろうかな」

愛犬の散歩ひもを公園のはしっこの木の枝にぐるぐるに巻きつけ、留守番してもらってジャングルジムをのぼる。

普段は絶対にしない私の行動に、長男は驚いて目を真ん丸にしてジャングルジムの上から私を見下ろしていた。

全身を動かすと気持ちがいい。てっぺんについて長男の横に座ると、「ママ、いっしょに写真撮ろうよ!」と言ってほっぺたを寄せてきた。いつも塩対応の彼にはありえない甘えん坊ぶり。

コートのポケットから慌ててスマホを取り出して顔をくっつけたら、最高の笑顔のツーショットが撮れた。


思い通りにいかないこと、予定の突然のキャンセル。

ついてない、と自分の運のなさを嘆いたり、仕事がなくなった未来を悲観し、ネガティブな妄想にどっぷりと浸ることもできる。

だけども、いつも、本当は、ベストな出来事しか私たちには起きていないんだと思う。

常に最善の未来に向かっている、そう信じることができれば、勝手に次のドアがあく。

人生って、そんなもんかもしれない。

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