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「変形性関節症」機能障害から考える手術のタイミングとは 理学療法士

今回は変形性関節症の対象者の手術へのタイミングを機能障害の観点からまとめていきます。

まず、はじめに手術を決定するのは医師であり、理学療法士はあくまで手術のメリットを機能障害の観点からお話する場合の参考にしていただければと思います。

そして、手術には変形のグレードや年齢等の条件はあると思いますがあくまで機能障害や生活不自由さなどに重きを置いてまとめていきます。

変形性関節症退行性疾患の一つであり、局所的な問題だけではなく、他部位の機能障害を含めて、包括的に捉えていくことが手術のタイミングをイメージするために重要であると思います。

例としては腰椎伸展可動域制限から膝の伸展制限に繋がり、立位活動を繰り返すことで膝関節が変形し、疼痛が出現するということが考えられます。

この場合は、根本的な原因は腰椎であり、二次的に膝関節が変形したと捉えられます。

また、これと逆で膝関節の問題から変形性腰椎症が起こることも考えられます。

その中で、手術のタイミングとしては「荷重時痛や可動域制限が強く、ADLの制限が強い場合」「変形部位には強い痛みはないもの、他部位の二次的な痛みやしびれがある場合」が考えられます。

荷重時痛や可動域制限が強く、ADLの制限が強い場合

このパターンでは、医師も理学療法士としても手術した方がメリットが大きいということは明確であり、特に四肢の変形性関節症に関する手術は除痛が主目的となるため、対象者にメリットを伝えることは大事であると思います。

ADLの制限が長く続くことで、精神的なコントロールが難しくなり、鬱の傾向となったり、身体機能としても廃用性の変化が起こるため、タイミングには配慮が必要となります。

変形部位には強い痛みはないもの、他部位の二次的な痛みやしびれがある場合

この場合が意外と難しく、画像上だと手術適応レベルではあるが、痛みだけ見るとそこまで強くないというケースです。

このケースでは二次的な機能障害がどこまで起こっているかを考えなければならないと思います。

変形性股関節症の対象者で臼蓋の骨棘形成に伴い、股関節自体が安定し可動域制限が著名となるが、痛みがない場合などでは立位・歩行等で腰椎や胸椎で代償的に運動することが多く、脊柱の変形性関節症となることも多いです。

そしてその結果、神経症状が出ることや対側の股関節の疼痛が出現する場合があり、このように代償的な動きを繰り返すことで他部位に病態や症状がでている場合は手術を勧めるメリットがあると思います。

意外に対象者は患部の症状は少ないから、他部位の症状は我慢して、生活することがベストであると思っている方も多いように感じます。

しかし、その代償部位の機能が破綻してしまった場合、結果的に患部への直接的なストレスも増えて症状が増悪することが予測されます。

そのため、このようなケースでは手術のメリットを提案する価値があると思います。

退行性疾患であるからこそ、二次的・三次的問題に移行しないような見極めが必要であり、理学療法を通して他部位へのコンディショニング等で進行させない関わりも大切だと思います。

ご意見ありましたらコメントしていただければと思います。

※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。

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