肩関節脱臼に伴う関節唇損傷とは 理学療法士
今回は肩関節脱臼による関節唇損傷についてまとめていきます。
肩関節脱臼は肩甲骨関節窩を上腕骨頭が逸脱した状態である。
脱臼は他者の整復が必要とされ、亜脱臼は他者の整復なしで瞬間的に自然整復されることを指します。
脱臼自体は整復されることが治りますが、それに伴いBankart病変(関節窩から関節唇の剥離)やHill-Sachs病変(上腕骨頭後上方部の陥凹)は残存してしまうことがあるため、治療が必要となります。
上記の病変は脱臼でも亜脱臼の場合でも起こってしまいます。
また、保存療法では胸郭の柔軟性や肩甲骨の可動性を改善することで脱臼しにくい環境を作る運動療法の選択もあります。
肩関節脱臼は外傷性と非外傷性があり、症状に合わせて手術の選択もあります。
関節唇
肩甲骨関節窩の全周を覆う線維性組織であり、役割は浅い関節窩の深さを補い、上腕骨頭との接触面を増やすことで上腕骨頭の逸脱を防ぐことです。
また、固有受容器が豊富でメカノレセプターとして、肩関節の情報を密に中枢神経に送る役割もあります。
そのため、関節唇損傷では構造上の不安定性に加えて、神経生理学的にも正しい情報が遅れないことで動的不安定性やパフォーマンスの低下を招くことが考えられます。
また、手術で縫合処置をすることで構造的な安定性は保たれます。
理学療法では、関節窩と上腕骨頭の追従機能を高める目的で胸郭や体幹部を含めた空間上での肩甲骨運動量を増やすことや腱板筋機能を高めることで動的安定性を高めることが重要となります。
さらに、抗重力位の挙上や外転位などで上肢帯のアクティブな活動機会を作り、固有受容器への感覚入力も必要となります。
スポーツのパフォーマンス改善を考慮するといかに運動のイメージと実際の動きをリンクさせていくかが重要となり、感覚入力する課題やレベル設定がポイントとなることが考えられます。
今回、大谷選手が関節唇損傷をし、手術してしまいましたが、来シーズンにはパフォーマンスを戻して復帰し、さらなる活躍を望んでおります。
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※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。