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【今日の臨床】腹部・胸郭側面の筋滑走が歩行時の膝関節後外側動揺に関連? 理学療法士
今日は膝前十字靭帯損傷術後の対象者で歩行の立脚前半に膝関節が後外側動揺をすることに対し、胸郭運動を改善することで動作改善に繋がったことについてまとめていきます。
対象者は20代で柔道の際に右膝前十字靭帯損傷をし、術後5か月を経過した症例で歩行の立脚前半に骨盤後方回旋、膝関節後外側動揺することが特徴的でありました。
膝関節の可動域は自動・他動ともに大きな制限はなく、疼痛もないものの右腰部に疼痛がみられ、臥位姿勢と立位脊柱左回旋運動で再現がとれました。
また、立位では右片足立ちで歩行と同様に骨盤の後方回旋と膝関節の後外側動揺がみられ、立位姿勢で骨盤左回旋運動をすると重心の左前方への移動量が不足していました。
立位での肩関節2nd外旋、水平伸展制限が左右ともみられ、特に右側で制限が強く見られ、上肢運動に対して胸郭の追従が不足している印象でした。
また、脊柱運動と肩関節運動は座位・臥位姿勢でも変わらずに見られていました。
上肢挙上に伴う同側への胸郭側方移動が出来ず、上肢下垂位・挙上位ともに前鋸筋・外腹斜筋、広背筋の過緊張がみられ、腹部も同様に過緊張している状態でした。
胸郭側面には関節はなく、骨と筋、または筋と筋での滑走性が必要となり、かつ外腹斜筋と前鋸筋は筋連結していることや腹筋群や広背筋も胸腰筋膜を介して連結しているためそれぞれの動きが互いに影響し合う関係であることを理解し、軟部組織の影響を考慮することが重要であると思います。
そのため、肋骨に対してそれぞれの筋が前後左右斜めと3次元的に位置を変えることができることで胸郭運動を可能としていると考え、特にどのポジションでも過緊張が強かった腹筋群の滑走性に対してアプローチしました。
腹筋群の滑走性が改善することで広背筋や前鋸筋の過緊張も軽減され、まだ一部制限が見られていた前鋸筋も同様に滑走性の改善を図ることで過緊張が緩和でき、上肢運動に伴う胸郭側方移動や座位・立位での骨盤左回旋運動に伴う腰痛の改善が見られました。
そして、片足立ちで骨盤前傾運動がみられ、膝の動揺が消失したことから胸郭伸展・右回旋制限により歩行の立脚前半の動揺に関連したことが考えられました。
上記のでもお話した通り、胸郭側面は軟部組織の影響を強く受ける印象があるため、胸肋関節や肋椎関節、椎間関節に併せて胸郭の評価では見落としてはいけいないと思いました。
また、膝関節疾患だからといって動作の問題が膝関節にあると決めつけてしまうのは怖いなと痛感した経験でした。
ご意見ありましたらコメントしていただければと思います。
※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。