四肢の操作する上で質量中心を捉える重要性 理学療法士
今回はハンドリングをする上で大事になる質量中心についてまとめていきます。
質量中心とは重心にほぼ類似した意味を持ち、質量中心点は剛体を傾くことなく支えることができる点、剛体の全質量を集めて重力が働く点として捉えることができます。
四肢の長管骨は一つの棒をとして捉えることができ、質量中心点を支えると長管骨は平衡を保つことが出来ますが、その位置から近位や遠位に移動すると傾き、回転します。
例えば、背臥位で上腕骨の質量中心点より近位を支えると遠位方向は床面に落ちて近位は天井の方に挙がるように回転します。
そうすることで関節窩に対して、上腕骨頭は前方移動し、関節内運動では伸展・外旋運動が起こります。
これらの運動が起こることで求心位を保てず、筋スパズムが起こり、肩関節の治療をしたいのになかなか緊張が落ちないということがあります。
しかし、それは操作する側のハンドリングの問題であるにもかかわらず、そこに注意を向けれず、効率的な治療が出来ていないケースがあると思います。
質量中心点を把握することが出来るとポジショニングにも応用させることやあえて質量中心点から外した位置を持ち関節内運動を誘導しながら長管骨を操作することなどが出来ます。
股関節屈曲運動では大腿骨頭は臼蓋に対して後方滑る動きが必要となるため、質量中心点より遠位を操作しながら屈曲した方が近位操作よりスムーズに可動範囲が大きく運動を行うことが出来ます。
そして、もう一つ大事な解釈として、質量中心点は物体の中に存在しないケースがあるということです。
例えば上肢や下肢などは複数の長管骨で構成され、一つの棒ではないため、屈曲位では空間上に質量中心点があり、そこを支えなければ回転運動が生じてしまいます。
イメージしやすいのはゴニオメーターを90°ぐらいにして、その位置を空間上に保ったまま指や手で支えようとすると必ず2本の直線の間の空間に指や手が存在すると思います。
そのため、上肢や下肢操作ではいかにその質量中心点を探せるかが他動運動での効率的な治療に繋がることやポジショニングの視野が広がることに繋がると思います。
まずは、ペンなどを指で支える練習やゴニオメーターを支える練習をすることで物体の質量中心点を探すトレーニングをすることも重要であると思います。
意外と関節内の形態に伴う誘導など操作技術にフォーカスが当たりやすいですが、重力環境下である絶対的な条件として質量中心点の意味を考えることが重要であると思います。
ご意見ありましたらコメントしていただければと思います。
※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。