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夜間時痛の評価と解釈 理学療法士

今回は夜間時痛の評価と解釈についてまとめていきます。

夜間時痛は肩関節疾患や腰痛、膝関節痛などの対象者の訴えとして問診で聴取されることがあります。

自律神経系に関連する循環障害などの影響も報告されていますが、寝ている姿勢との関連が強くあるように臨床上感じることがあります。

その中で、夜間時痛も「夜中寝れないくらい痛い」「朝起きると痛い」「身体が攣って起きてしまう」など様々な訴えがあります。

この中で「夜間寝れないくらい痛い」という対象者でかつ寝ているとすぐ痛みを感じるケースやズキズキ・ジンジン痛みが出てくるケースは炎症などと関連していることが多く、それに合わせた循環障害が関わることがあると思うので薬物療法を含めた疼痛管理が必須であると思います。

しかし、「朝起きると痛い」「身体が攣ってしまう」などのケースは炎症と関連なく、臥位姿勢の不良が関連しているため、臥位姿勢の評価が必要であると思います。

肩関節疾患の場合

肩関節疾患では背臥位で肩関節が重力の影響で上腕骨伸展・外旋運動を強制されやすく、求心位を保ちにくいことがあります。

さらに、胸郭後方回旋制限や頸椎伸展制限などが加わることで肩甲骨後傾・内転制限に繋がり、より求心位を取りにくいポジションとなってしまうため、上腕遠位部や肩甲骨外側縁にクッション等を置き、姿勢の修正が必要となります。

このように姿勢の修正を図ったうえで肩甲骨や上腕骨を揺らすことで過緊張状態にないか評価することが重要であり、脱力した感覚を把握してもらうことで日常生活に汎化することが必要となります。

また、側臥位でも右側臥位なら左肩関節水平内転可動域、胸郭前方回旋可動域、肩甲骨前傾可動域が必要となり、それらが不足している場合にはクッション等を抱くようにすることも姿勢の修正に必要となります。

腰痛の場合

腰痛の場合は背臥位で腰椎の前弯が強くなっているケースが多く、腰が浮いている状態となっているため、その要因を評価しなければいけません。

腰椎自体の屈曲制限や膝関節伸展制限、胸椎の伸展制限が関わっていることが多く、それぞれの局所的な可動域の評価や腰や膝、枕の下にタオルを引くことで臥位での姿勢筋緊張の変化を評価すると関連性が把握できます。

膝痛の場合

膝痛の場合は背臥位で膝関節伸展制限があり、膝が浮いている状態となってるため、これもその要因を評価しなければいけません。

膝関節自体の問題や足部・股関節・脊柱の問題が関連している場合もあるため、それぞれの局所的な評価とクッション等用いてポジションの修正が必要となります。

また、側臥位で股関節・下部体幹可動域制限に伴う膝関節外旋位となっているケースもあるため、側臥位では股関節や下部体幹の自由度を評価し、膝関節が回旋位で固定されていないかを把握することが重要であると思います。


夜間に疼痛があることで夜間時痛と括ることも多いように感じますが、その要因の背景は様々であり、一概に夜間時痛として捉えることは臨床上浅はかである場合が多いと思うのでしっかりと問診してどのシチュエーションか把握し、その構成要素の評価・姿勢筋緊張の評価をすることが重要であると思います。

ご意見ありましたらコメントしていただければと思います。

※この内容は個人の解釈がありますので参考程度にお願いします。


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