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チームが力を発揮する目標とは?

「この忙しい時期を乗り越えるには、みんなで協力者し合わないといけないのに、何でみんな自分勝手なの!?」
「会社の目標値に全然追いついていない。みんなもっとやる気出せよ!!」

なかなか従業員が協力してくれない、やる気を出してくれないといったことで悩んでいるリーダーや管理職の方も多いのではないでしょうか?
人の上に立つリーダーともなると、自分のことより他のスタッフを見ないといけなくなってきます。
昔は気合とパワーで人を巻き込んだり、引っ張ったりすることはできました。
ただ最近は「個性を大事にしよう」ということで、一概にパワーや勢いだけでは引っ張れないこともあります。

湘北高校バスケ部も、レギュラーの能力は高いものの、問題児が多くまとめるのに赤木主将も苦労していました。
そんな問題児を赤木主将や安西先生はどうまとめ上げ、チームをインターハイ3回戦まで進出させることができたのかを見ていきます。


オレたちは強い

能力もやる気もある。
だが皆我が強く、引くことを知らない湘北高校バスケット部の問題児軍団。
勢いに乗ってる時は大丈夫ですが、勝ち上がれば当然相手も強くなってきます。
苦しい時こそ、どうチームとしてそれぞれの能力が機能するかが大事です。
そんな大事な場面で、いつも湘北バスケ部は円陣を組み、合言葉をかけあっています。

「オレたちは強い」!!

【SLUM DANK新装再編版7巻P207】
インターハイ予選の翔陽戦、相手チームの藤真君が出てきて沈みそうになった時、タイムアウトを取ってこの言葉を掛け合っています。

【SLUM DANK新装再編版9巻P10】
インターハイ決勝リーグでの海南戦、後半開始の円陣でも赤木主将がこの合言葉を発しています。

【SLUM DANK新装再編版15巻P185】
インターハイ初戦の豊玉戦とのハーフタイムでも、この言葉を掛け合い、後半に臨んでいます。

確かに湘北は強いのですが、それまで実績がありません。
昨年までは県大会1回戦負けがずっと続いています。
いくら三井君や宮城君が戻り、新戦力として流川君が加わり、花道君が急成長をしたとしても、海南や翔陽のような実績のあるチームを相手に緊迫した場面に出くわしたら、チームとしての力を発揮できずに負けたとしても不思議ではありません。
そんなチームをまとめるのが「オレたちは強い」というシンプルな言葉だったのです。

この言葉を掛け合った後、彼らは自信を取り戻し、翔陽や豊玉に競り勝ち、海南とも最後まで善戦することができました。


共通の言葉が、チームを一体化させる

 「これはおもしろい」「興味を持った」という情報は、ダイナミック・センターコアの中で一気に駆け巡ると同時に、その情報を持ち込んだ神経細胞にフィードバックするので、情報の伝わり方がわかります。(中略)
 A10神経群で「これはおもしろい」と前向きの感情レッテルをはられた情報は、その情報を届けた大脳皮質全体の神経細胞にも同時にフィードバックされ、情報に関係した脳内の神経細胞すべてに同時にスイッチが入り、同期発火のループを作るのです。
 A10神経群でより強い前向きの感情レッテルが貼られるほど、より強い同期発火が起こります。
【〈困難に打ち克つ「脳とこころ」の法則〉より】

共通の前向きな言葉を共有すると、どんどん前向きな気持ちが伝染していくというのです。
逆に後ろ向きな気持ちも伝染していきます。
朝眠たいところに、美人のスタッフが元気に「おはようございます」と声をかけてくれたとします。
彼女はあなただけでなく、他のスタッフにも声をかけて回っていたら、皆気持ちが明るくなって「おはよう」と挨拶が社内に広がるシーンをイメージしていただけるとわかりやすいでしょう。

湘北バスケ部もレギュラーはそれぞれ自分のことを、「オレならできる」と思っていたはずです。
そして試合でもリズムが崩れた時、ここから再スタートという場面では、「オレたちは強い」を連発します。そうやって前向きになってから、安西先生は次の作戦を伝えてしまいます。

では、なぜ「全国制覇」「インターハイ出場」という具体的な目標を行った方がチームはまとまりそうですが、なぜそうしなかったのか?を次章で私なりの考えを書きてみます。


具体的な目標よりも、抽象的な言葉がいい理由

安西先生の立場で言うなら、三井君の存在が大きかったと思っています。
三井君は逆転シュートの中学MVP選手です。
当然メンタルも強いと思われていました。
しかし高校入学後に思いもよらぬケガ、そして主役をまだ荒削りの赤木君に奪われたということで、完全に挫折してしまい、その後2年近くバスケから離れることになってしまいました。
そういう意味で言うと、三井君はまだ強くなかったのです。

安西先生は思ったのではないでしょうか?
卒業してからの方が、人生ははるかに長い。
全国制覇を達成できたとしても、その後に湘北高校バスケ部のみんなが困難に会って挫折したのでは意味ないのではないか。
それよりも、長く険しい人生を強く生きてくれる方がいい。
そのためのヒントが、高校時代のバスケットボールであって欲しい。

「オレたちは強い」
この言葉には、そんな卒業した後のことを考えての意味が込められているのだと思います。

実は同じメンタルコーチの知り合いも同じことを言っていました。
一昨年の初めに新型コロナが流行して、選抜高校野球をはじめ様々な競技での主要な大会が中止、延期、縮小になりました。
当然その大会での好成績を目標に頑張っていた選手達のメンタルは、どうしようもないほど崩れてしまったみたいです。
その中で、すぐに立ち直った選手たちも少なからずいました。
すぐに立ち直れた選手はどんなメンタルや目標を持っていたのでしょう?

それは抽象的な目標です。
・競技を世の中に広めたい
・地域の活性化に貢献したい
・お世話になった人たちを笑顔にしたい

「〇〇大会で優勝する」と言った具体的な目標は皆さん掲げていました。
その中ですぐに立ち上がった選手は、その先にあるより大きく、そして抽象的な目標を掲げていたのです。
大会というアピールの場が無くなったので、進学先や就職希望先の指導者に、自分のプレーを撮った動画を送ってアピールした学生もいたそうです。

具体的な目標は、何がきっかけで無くなってしまうかわかりません。
そのことを私たちは新型コロナウイルスから学びました。
だからこそ、抽象的な目標を持つことも大事なのです。

会社や各部署の具体的な目標を提示して、突き進むことはとても良いことです。
ただ一緒に働いてくれるチームスタッフが乗り気でないなら、抽象的な目標・チームの理念を唱えることの方がいいかもしれません。
その理念は、きっとその会社を辞めた後も働くスタッフの人生に何らかの影響を与えるはずです。
その理念に向かって進むことで、会社や部署の目標もしっかりと達成できること。
それこそが、本当に強いチーム作りだと考えています。


今日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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