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小説

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かいたものたち
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#創作大賞2022

無題。

無題。

私が幼稚園に通っていた頃に、父は姿を消した。その日迎えにきた母の顔がいつもと違うことに子供ながら気がついていた。。
「お父さんがね、しばらく帰ってこないんだって。私は絶対あなたの側を離れないからね。」
家ついて、私が靴を脱いでるところを母が抱き寄せてそう言った。 その時の表情は20年近く経った今でも鮮明な写真として脳裏に焼き付いている。私の好きだった母のえくぼはこの日を境に消え去ってしまった。

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