インガ [scene003_05]
「正気ですか?」
という言葉が思わず口をついたけど、シャツの袖を捲って準備体操をするハナヤシキさんは、明らかにヤル気だ。
「これでも私は、財善の警務部きっての武闘派…エースだったのだよ。
少なくとも、組手で私に敵う者は居なかった」
警務部というのは、企業自治体における治安維持部隊…つまり警察組織のようなもの。
そこのエースだったというのなら、確かに腕が立つのだろう。筋骨隆々という四字熟語がピッタリな肉体は、伊達ではないらしい。
そうは言っても…
「相手は人間じゃない