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「2022年の中学校の情報教育とは?」 Progateを活用している森村学園中等部の授業見学レポート

2021年度より、中学校で新学習指導要領の改訂が行われました。
技術・家庭科目ではこれまでも情報教育が行われてきましたが、今回の改定によって生徒がより能動的に学ぶ内容に変わり、プログラミング教育が充実しています。

文部科学省が公表をしている「中学校技術・家庭科(技術分野)におけるプログラミング教育実践事例集」では「顧客のニーズに合った無人コンビニプログラム」や「自動チャットプログラム」などの作成が例として挙げられています。単に制作して終わりではなく、自ら課題を見つけ、制作し、デバッグまでできる力を養う内容となっています。

一方、技術を教える先生のうち、技術分野の免許外・臨時免許による指導は全国平均22.1%で、最も多い地域では62.4%が技術分野の免許外・臨時免許による指導を行っている状況です。さらに、免許外・臨時免許による指導のみの学校率は17.9%となり、地域によって0%〜65.6%と差がある結果となりました。(※)

今回は、20年以上技術教育に携わり、情報教育研究会役員の経歴を持つ髙田昌輝先生の授業を見学させていただきました。髙田先生が行う情報の授業ではProgateを活用しています。

髙田先生が指導する森村学園中等部では、どのようにプログラミングを学んでいるのでしょうか。

※全日本中学校技術・家庭科研究会「平成29年度  技術・家庭科  免許外・臨時免許等指導実態調査」より

見学させていただいた授業は、中学2年生の2回目の情報科目でした。

授業では最初に英単語や英語文章のタイピング練習を2分間行います。
プログラミング教育でコーディングすることを意識して、あえて日本語ではなく英語のタイピング練習を選択しているそうです。

タイピング練習にはスイッチを切り替える役目もあると髙田先生は話します。

「ホームポジションなどの基礎を磨く効果ももちろんありますが、このタイピング練習によって休み時間と授業の切り替えができ、集中力を高めることができます」

確かに、休み時間後でガヤガヤとしていた教室は、タイピング練習が終わる頃には全員が髙田先生の言葉に耳を傾けていました。

「それでは、ProgateにログインしてHTMLのレッスンを始めてください。最終的にレスポンシブデザイン(※)までやるからね」

その声を聞くや、各々、タブレットPCを開いてProgateにログインし、HTML&CSSのレッスンを開始します。教室中を見て回ると、人によって中級編をやっていたり、上級編をやっていたり、レッスンの進捗が違うようです。

「最終的には生徒全員にレスポンシブデザインのWebサイトを1から作ってもらいますが、Progateのレッスンは一人ひとりの進捗に任せています。タブレットを活用して自宅でも学習できるので、レッスンを全て終わらせた生徒もいますよ」

※レスポンシブデザイン:Progateのレッスン「HTML&CSS 上級編」では「レスポンシブデザイン」を学びます。スマホやタブレット、PCなど異なる画面幅でもレイアウトをきれいに保つ「レスポンシブデザイン」は、WEBページ開発の必須のスキルです。

自宅でレッスンを全て終わらせたという男子生徒に話を聞いてみると、「プログラミングは難しいけど、楽しかった」という答えが返ってきました。

「小学校では授業でロボットを作っていましたが、ビジュアルプログラミングだったので、Progateのほうが難しいです。でも、楽しい。将来の仕事についてはまだ考えていなくて、IT関連の仕事につきたいというわけではありません。ただ、IT関連の知識やスキルは将来に絶対役立つと思うので、しっかり学んでおきたいと思っています」

レッスンが進んでいる生徒は、積極的に隣の生徒に教えるなど活発な意見交換が行われていました。タグの意味や、エラーが出た箇所を相談しているようです。

授業ではタブレットでの学習に合わせて、紙とペンによる筆記も行われており、各々、学んだ箇所やタグの意味を書き写しています。キーボードでタグを打つだけでなく、書くことでより深い学びが出来るようにする狙いがあるといいます。また、定期テストは筆記で行われるため、このような体裁にしているそうです。

授業の終わりには、タブレットで紙を撮影し、先生とそれぞれの生徒が編集・閲覧できるクラウドにアップロードし、学びを蓄積し、いつでもどこでも簡単に振り返りができるようにしていました。

今回の授業見学で、中学生がデジタルリテラシーを高め、プログラミングスキルを身につけていることを改めて知ることができました。ごく普通の教室でコーディングを行い、生徒たちが難なくデジタルツールを活用する時代になっています。さらに2025年には大学入学共通テストに「情報Ⅰ」が追加されることが決まっており、情報教育の重要性はますます増していき、学生のリテラシー、ITスキルが高まっていくことが予想できます。

髙田先生に、授業の工夫や今後の情報教育について伺いました。

髙田 昌輝 氏
森村学園中等部・高等部 ICT教育推進部部長
Microsoft認定教育者。Microsoft認定教育イノベーター。情報教育研究会役員。私立高校、公立中学校教諭、私立中高一貫校を経て2020年4月より森村学園中等部高等部教諭。私立大学にて、教職課程を指導。積極的に自信をもって表現できる生徒の育成をモットーに授業を展開。

ー本日の授業について教えてください。

生徒の自主性を重んじた授業を行うように意識しています。GIGAスクール構想によって1人1台、タブレットPCを活用しています。タブレットにはアクセス制限をかけていますが、たまに突破する子がいるんですよ。だめなことはだめですが、突破できるのは技術力です。その点は素晴らしいので、褒めていますね。

2年生の授業では最終的にWebサイトを作ってもらいますが、そのソースを見ながらみんなで検証してデバッグしていく予定です。生徒が取り組みやすいのでHTML&CSSに取り組んでいますが、教材としてマインクラフトも導入していて、そこにPythonを組み込んだりもしています。

Progateは自宅でもレッスンを進めることができるので、どんどん学習を進める子も出てきます。Progateの最大のデメリットは、学習が楽しくて授業以外でもやってしまうことですよね(笑)。でも僕は生徒の自主的な学びを止める必要はないと思っています。

ー今後の情報教育について教えてください。

2025年には大学入学共通テストに「情報Ⅰ」が入ってきますが、高校に入ってから急いでやっても、内容を見ると2単位の授業だけでは、間に合わない(終わらない)と思います。

中学でどれだけ情報分野を学んでいるかが鍵になります。僕は、およそ20年技術教育に携わっていますが、専門性のある情報教員はなかなかいません。教員の指導によるレベルの差というのは、どうしても生じてしまいます。そういったことを防ぐためにも、Progateなどの教材をうまく活用していくと良いのではないでしょうか。

今後の教育という観点で言うと、中学校は2021年度に学習指導要領が改定されましたが、すぐに時代に合わなくなってしまうのではないかと感じています。半歩先のミライが「Society 5.0」と言われていますが、彼ら学生は「Society 6.0」、AIやIoTをさらに活用していく世代です。IT・デジタル領域は大きく前に進み、変化しています。

少し前まではワードやエクセルといったオフィスソフトを授業で学ばせていました。でも今は、それらはできて当たり前のもの。時代の変化とともに、やれることも大きく変わってくるんです。

そんな中でも、友達の悪口を言わない、人を傷つけない、こういったことは基本のモラルで変わることはありません。僕たち教員は、変わることのないモラルや知識を伝えながら、時代の変化に適応していく必要があります。

日本の情報教育は海外から比べると、二歩も三歩も遅れています。オバマ元大統領が「学ぶことは自分の未来のためだけじゃない。国の未来ががかかっている。」と言っていましたよね。

日本も今後の情報教育によって18歳くらいの子には基本的なIT知識、プログラミングスキルが備わります。大人もそれに備えることで、日本の社会として大きな力になるのではないでしょうか。

授業見学にご協力いただいた髙田先生、生徒の皆さん、森村学園の皆さん、ありがとうございました!


Progateは、「Progate」という教材を通して、生徒の皆さんの可能性が広がり、社会が発展していくことを願っています。今後も多くの人へ、人生の可能性を広げるプログラミング学習を提供するために邁進してまいります。

学校限定無料プラン「Progate for School」

学校教育法第1条で定義される『学校』のうち小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校であれば2つの言語に関するレッスンを無料で提供しています。
授業に活用してもらうことで先生の負担を軽減することはもちろん、生徒の皆さんが授業を通してプログラミングによって自分の可能性を広げられることを願い、無償提供の取り組みを続けています。
https://prog-8.com/plans/for_school


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