危機の時代におけるこれからの教育
平成から令和に入り、残念ながら日本社会の分断は進んでしまった。平成の時代には、18歳人口は何とか横ばいで推移してきた。賃金上昇はなく、デフレであったが、円高に支えられて物価は低く抑えられてられきた。円高メリットにより、海外旅行も手軽に楽しめた。何となく向こう三軒両隣的な日本的人間関係と情緒的助け合いも健在だった。
ところが、令和の時代になると、世の中が変わる。コロナ禍により、人間関係は抑制された。そして、円安、物価高は、生活苦を招いた。円安は留学を困難にしている。18歳人口は減少し、少子化は止まらない。SNSにおいては、お互いのアピールや格付け感が高まっている。そして、インスタやツイッターのDMは無限の人間関係を拡大する。それはもちろん旧来の地域を基盤としたものではない。オンラインミーティングは便利だが人間同士の信頼関係を形成するとは必ずしも言えない。便利さと引き換えに不信を増幅していないか留意する必要がある。日本の危機は進行している。さまざまなファクターが同時進行し、社会が変容している。とくに、経済危機は子供の発達に良い影響を及ぼさない。
このような状況において、教育面で進めるべきことは、特別支援教育や多様な教育ニーズへの対応を充実することである。貧困、障害、外国につながる、などの不利な状況の子供の教育に対する思い切った公費の投入が求められる。発達障害支援センターのような新しい機関を設置することも、国や各自治体に求められる。多様性への対応がこれからの教育の鍵である。多様性への対応無しに、少子化の進行は止められない。根本的には、NPM的な一元的競争社会からの脱却が課題となる。日本の総理大臣には、多様な教育ニーズへの対応を促進する旨の声明を発表してほしいと思う。