【プリズンライターズ】本と宇宙人になったカエル・書評 Vol.8「優等生は探偵に向かない」
こんにちは!毎日大変な暑さが続いていますが体調など崩していませんか?こんなに暑いとビール美味しいだろうな〜。
刑務所の中は、もう大変、大変。
今年の異常な程続く猛暑日のせいで毎日フラフラ。
工場内が35℃近くあっても、普通に作業させられて汗だくになり、疲れて舎房に戻っても、部屋の中は“サウナ状態”どこにも逃げ場がありません。
以前の所長は、WBGT値が31?32?を超える作業を中断したり、早く終わりにしてくれたのですが、今のは、当時よりもっと暑い日が連日続いているのに全くシカトです。
そのくせ本人は暑いと工場に巡回にも来ないし、来たかと思えば現場の親父(工場担当)・職員や我々を労うどころか”マスクをきちんとしていない”と御冠。社会であれば、ここはパワハラ・モラハラなんて言葉もない超の上に超が付く、まっ黒のブラック企業でしょう。
昨年も似たような事を書いた気もしますが、ここは慣性の法則が働いて変化に対応出来ない。それが刑務所。
これが一般企業ならすぐに倒産ですよ。ビックモーターより真実は表に出ていませんよ。(笑)
刑務所生活全てにおいて、いくらでも良い方法、対策、アイデアなどあるし、出来るのにやらない。
刑務所って所は、所長裁量は大きく所長次第でいくらでも改善できるんですよ。
でも役人の性ってやつなんでしょうね。
刑務所の中では”所長”としてトップでも、キャリア組の御仁には矯正管区など進む先はまだまだあるし、国家公務員試験Ⅰ種に合格した者が下には沢山詰まっていて、革新的な事は博打であり怖いのでしょうね。
我々がよく言われる「代わりはいくらでもいる。」なんて感じなのかな?
知らんけど!でも、そんなことが原因で我々の生活が50年も前の社会生活(婆婆)と変わらないなんて…。
今時”マジか!”と思う事ばかりです。だから浦島太郎になるんですね(笑)
言い出したらキリないですので今回はこの辺で…..。
今回の書評は以前紹介した「自由研究には向かない殺人」(ホリー・ジャクソン)の第2部「優等生は探偵に向かない」です。
この書評が受刑者だけに向けたものであれば、きっと好きで紹介するのであろう冒険・スパイ・小説の類ばかり(他にもギャング・マフィア・などなど)紹介するのすが…..今度書評とは別にその手の小説も紹介しますネ。では!
「優等生は探偵に向かない」ホリー・ジャクソン
イギリスの小さな町、リトル・キルトンのグラマースクールに通う18歳を目前に控えた主人公・ピップは、5年前の失踪事件を”自由研究”の課題にして、ボーイフレンドのラヴィの兄が起こしたとされていた事件を解決に導いた事で一躍時の人となっていた。(前作「自由研究には向かない殺人」において)
友情の為とは言え、危ない橋を渡りすぎ、自身は勿論、家族や仲間をも危険な目に遭わせてしまった経験から、もう2度と探偵の真似事はしないと固く誓い、ラヴィや親友達と高校生活をエンジョイしていた。
そんなある日、クラスメイトの親しい男友達コナーがピップの下を訪れ、兄・ジェイミーが行方不明となってしまったので、何とか失踪した兄の行方を探して欲しいと懇願されてしまう。警察にも相談したのだが、ただの家出だろうと取り合って貰えない。だが、ジェイミーは事故か事件に巻き込まれているとしか考えられずグズグズしてはいられない。行方不明者が出た場合、最初の72時間が非常に貴重となり、コナーたち家族は既に23時間も失っているのだ。
コナーたちが少女であるピップを頼るのは、以前に警察でも解決出来なかった事件を解決したからでもあるが、一番はその事件について隠された真実や秘密を誰にも歪曲される事なく伝えなければいけないという責任感からピップはポッドキャストの配信を始め、瞬く間にiTunesの人気ランキング・トップに躍り出て、今や60万人ものリスナーが、ピップの呼びかけに応じ情報を提供してくれる。警察やメディアよりもリトル・キルトンでは、もっと情報を拡散させる力があるからだ。
” 2度と探偵の真似事はしない”と誓ったピップだが苦慮の末、人を助ける為にポッドキャストを使える立場にあり何より、このまま友達を見捨てる事など出来る筈もなく、ピップは再び動き出す。
ポッドキャストやSNSを駆使して得た、失踪後の目撃情報を頼りに足どりを追っていくさまは、正に現代的でありZ世代ガールのピップならではの方法が描かれているのだが、情報を掴めば掴む程謎は深まるばかり。果たしてジェイミーは無事なのか?
本作は「自由研究には向かない殺人」の第2部(全3部作)で、冒頭から前作の続きを感じさせるようなポッドキャスト等による説明の工夫がなされ、前作を知らずとも楽しめる。しかしピップの魅力を知る為に前作は読んでおいた方がいいだろう。
前作に続き本編も年末のベスト・ミステリーランキングでは、各誌とも上位入賞を果たしており、理由はやはり今時の少女ピップの際立ったキャラクター力にあるだろう。決して男っぽい訳では無いが、大事な人の為なら、多少の恐怖や善悪なんて気にする事なく突っ走る。そんなピップの直向きさに、きっと心を打たれ物語に引き込まれて行くはずだ。
ネタバレ必至につき多くのは語れないが、巧緻なプロットや秀逸な文章力は言うまでもなく、爽やかな青春小説に”ホワットダニット”からなる多様なジャンルを交ぜ合わせた渾然一体のミステリとなっており、エンタテイメントの現代的作品が楽しめる。
本編三部作の完結編となる「卒業生には向かない真実」が先日刊行され話題を呼んでいる。本作でも回収されなかった伏線や謎の数々、そして何よりピップの心境が気になって仕方ない。すぐに続きや読める喜びと完結してしまう淋しさは少々複雑だ。
仲間の為に体当たりでぶつかっていくピップ。きっとあなたの心にもピップはぶつかっていくはずだ!
■「 優等生は探偵に向かない」ホーリー・ジャクソン (ハヤカワ書房)
【ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー】
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