コンタミボディが引き起こしている“隠れ繊維ロス”とは | ReUse by Printing 1-2
こんにちは。〈Printio〉で広報を担当しているちばひなこです。
このnoteでは、〈Printio〉の行うサステナブルプロジェクト《ReUse by Printing(リユースバイプリンティング)》の第一弾として手掛ける「コンタミTシャツ(綿花の殻など、布繊維以外のものが混入している生地で出来たTシャツ)」へのデジタルプリントの背景としての“隠れ繊維ロス”について説明します。
ReUse by Printingって?
《ReUse by Printing》をひとことで表すなら、「印刷でリユースを活性化しよう」というプロジェクトです。
2022年7月に始動し、普段は印刷しない古材や古着、余剰在庫や規格外資材などにプリントを施すことで、新たな生産経路と流通経路の開拓を目指します。
プロジェクト第一弾として取り組むのは「隠れ繊維ロス」の再流通。オーガニックコットンで作られたTシャツに存在する「コンタミTシャツ(綿花の殻など、布繊維以外のものが混入している生地で出来たTシャツ)」にデジタルプリントを施します。
“隠れ繊維ロス”をご存じですか?
おいしく食べられるけど見た目が不揃いで通常の流通からこぼれてしまっている「不揃い野菜」のように、気持ちよく着られるけれど少しの不揃いさが理由で通常の流通からこぼれてしまっている「不揃い繊維」があります。
それは、繊維のカスと呼ばれるようなものや、原料である綿花の殻の部分、素材づくりの工程で誰かのなにかが紛れ込んでしまった「コンタミ」の布地です。コンタミとは英語の「Contamination(コンタミネーション)」からきた言葉です。汚染などの翻訳のしかたもありますが、今回のニュアンスだと「製品に不純物が混入している」というのが正確なところです。
オーガニックコットンとは
さて、コンタミについて語る前に、コンタミしている布地の種類のひとつである「オーガニックコットン」について解説します。
オーガニックコットンとは、農薬や化学物質をつかわずに栽培した綿花のことを指します。正確には、下記の3つの条件を満たした綿花が「オーガニックコットン」と呼ばれることが多いです。
そもそも、綿花の取引は比較的安価に行われることが多いのにも関わらず、栽培はとても手間のかかるものです。日本での綿の栽培は1500年頃から始まったものの、今ではほとんど行われていません。これは、綿がたくさんの肥料と水を必要とするにも関わらず、同じ面積を水田にして育てた場合のお米の1/10以下の収穫量しか見込めず、換金性が圧倒的に低いからと言われています。
そんな中、コットンの生産が可能になっているのは、広い農地で、化学肥料やカビ防止剤、殺虫剤など、多くの薬剤を使いながら大量に栽培が可能になったのも理由の一つです。そして、落葉剤を使いながら、綿の花の部分だけを摘み取りやすくします。それだけではなく、生産の過程での安い賃金での児童労働も問題になっています。
まだまだ課題は尽きませんが、簡単にまとめると、手間を削減し、栽培サイクルを短くし、大量につくることで、ようやく生産コストを下げることが出来、ビジネスとして成り立っているのが綿花・コットンです。
そんな中、注目されているのが「オーガニックコットン」です。
(注)畑の育つ「土」は一夜にして健やかになるとは限りません。準備期間が必要というわけです。そのため、生産基準となる目安として「オーガニックの認証基準」として3年という期間が設定されていますが、国や地域・育て方などでこの期間は前後する場合もあります。
ただ、収穫される綿花そのものは、オーガニックコットンでも普通のコットンでもあまり変わりはありません。普通に栽培された綿でも、残留農薬はとても少なく、オーガニックかどうかを判別することが出来ないのです。そのため、オーガニックコットンの確認は専門機関が畑を訪れ、基準を確認して初めて「認証」という形で証明されるというものになります。
生産コストが高くなるから、おのずと小規模になる畑
オーガニックコットンづくりは、ただでさえ手間がたくさんかかる綿花づくりの大変さを格段に加速させます。
こうなってくると、既存の綿のビジネスの「効率的に・早く・大量に」の大型畑ではうまくオーガニックコットンづくりを行うことが出来ません。
おのずと、少し小さい規模、人の目が届くサイズの畑で、人の手で収穫が出来る量の栽培になってくるのです。そして、少し小さい規模で綿花を作って生活できる地域はたくさんあるか、というと、実はそれも一部に限られてしまっているのが現状です。具体的には、綿の生産の6割~7割はインドとアメリカと中国で行われているといわれていますが、オーガニックコットンの生産のほとんどはインドで行われています。
手摘みのインド綿だから、コンタミも起きる
インドの小さな畑で人の手で収穫しているコットンです。
ふわふわの綿花のまわりには、茶色い殻が付いていて、収穫の最中にそれが混じってしまうことがあります。
作業をしている人の服の繊維や、ターバンの繊維、アクセサリーの欠片が混じってしまうことがあります。土のどこかから舞った何かが混じってしまうことだってあります。
何かが混入したままの布地はそのまま生地として仕立てられ、たとえばTシャツに変わります。
7Tシャツでいうと、だいたい縫製したTシャツの1~2割がコンタミで通常の流通から外れます。コンタミの基準は企業ごとに細かく決めていて、今回のプロジェクトで扱う〈フェリック株式会社〉のオーガニックコットンTシャツの場合は、Tシャツの前の面の部分はプリントが施されることも多いTシャツの「顔」だから少しでも混入があるとコンタミにしているのだとか。細かい基準があるからこそ、たしかに品質で商品をお届けすることが出来ます。
ですが、「不揃い野菜」のように「不揃い布地」であっても気持ちよく着れるなら着てみたいというマインドを持つ人も多くいるのではないか、〈Printio〉と〈フェリック株式会社〉としては、是非着てもらいたいし、知ってもらいたい、ということで今回の「コンタミTシャツ」にデジタルプリントを施す《ReUse by Printing》が実現しました。
想いに共感するクリエイターを募集中
今回のコンタミTシャツへのプリント企画の話を相談したところ、〈TSUKUSHI〉のイチモトさんが是非ご一緒したいとおっしゃってくださり、今回のTシャツのデザインは〈TSUKUSHI〉で毎月実施している《art ippi》内で募集を行わせていただくことになりました。
お題の発表は2022年8月1日。今回のテーマは「再生」となりました。来月9月1日にTwitter上で「#art_ippi #リユースバイプリンティング 」をつけて投稿をお願いします。
たくさんの作品のご応募、私たちもとてもたのしみにしております!
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みなさまも一緒に"GOOD"であることを一緒に考えていただけますと幸いです。
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