テーマ「父子家庭」「身の上話」
・父子家庭
42歳の父と10歳の娘の話。
結婚11年目に夫婦関係が上手くいかなくなり
離婚。
母親は、どうしても子どもが好きになれない
と元々、思っていて、加えて、子宮外妊娠の
手術が有ったこともあり楽しい暮らしは元に
戻らなくなったようだ。
娘は父親が傷付かないよう、常に気を配って
いる。
本当なら母親にも居て欲しいけど、自分が、
母親に好かれていないことにも気付いていた
ようだ。
料理もアイロンがけも母親の方が上手いが、
母親の話になるとピタッと心に蓋をする娘。
父も家事は面白くないと言う。
絶対に必要なものでありながら生産的じゃない
し評価されないし、毎日、同じことの繰り返し
だからだ。
しかし、2つの決め事はしている。
娘が病気のときは、自分も休んで一緒にいる
こと。
カップ麺と「ホカホカ弁当」だけは食べさせ
ないこと。
それは「子どもに選ばれたから。」らしい。
※感想
母子家庭や父子家庭は、昔に比べて世間的な
拒絶感が薄くなったかのように感じる。
それでも、実際には片方の親が居ないことは
子どもにとっては繊細なことで、だけどそこ
に蓋をするよりは、その環境なりの幸せを、
作っていくしかないのだろう。
両親が居ても思春期などは特に、揉め事が
有ったりはするし憎むこともある。
母子家庭に育った友人に父親の話を聞いて
みると、やはり大人になった今、一緒に酒
でも飲める父親が居てほしかったと、彼は
言っていたのを思い出した。
・身の上話
タクシー運転手の43歳女性は、高校2年の
ときに1学年上の男子(今の夫)と恋愛した。
19歳で相手との子どもを産み、22歳のときに
2人目の子どもを産む。
夫は彼女ができて家に帰らなくなった。
3歳になった長男を肺炎で亡くした。
夫は借金を抱えキャバレーのマネージャーに
なり店のホステスと暮らしはじめた。
20年間、養育費として毎月7万円払うことを
約束し離婚したが、守られたのは1年だけ。
仕事を転々とし、食費が無くなった。
友人の紹介でスナックで働くことにする。
店の客と恋に落ちた。
相手は店のママの恋人だった。店をクビになる。
相手の男は覚醒剤を扱っているヤクザだと
後で知った。
次にはキャバレーで働き、店の客と恋に落ち、
結婚。彼女は妊娠した。
ある年の暮れにテレビを見ていると、画面に
その相手の顔が現れた。
「金庫破り二人組逮捕。四都府県で21件」
再び離婚した。
彼女は、何か癖のある男を好きになると言う。
一般企業に再就職するも、生活費が足りなく
なりカードローンを使い借金が増えていく。
その後タクシー運転手になる。
女性ドライバーということで怖い思いもする
が、晴れた日に窓を開けて車を走らせている
と、好きな仕事につけたなと思う。
彼女は「人生を振り返ると当面のお金を稼ぐ
ことに追いかけられてきたけど、その時は
真剣そのもので充実してた。」と言う。
※感想
彼女のように、周りから見ると、生きる上で
学習能力が欠如してるのかと思われるような
人は、しばしばいる。
良く言えば、その瞬間を一生懸命に生きてる
と、なるんだろうけど、敢えてイバラの道を
選んでしまう癖そのものが生き甲斐というか
楽に歩ける道は楽しくなくて、だけど、その
せいで自分自身に耐えきれなくなる。
だけど、平坦な道を選び、上手く生きていく
ことは、それ以上に苦痛な人生なのだろう。