父親ピアス
私の小学校である時釣りが流行りました
私もやりたくなり母にその話をしました
その週末、珍しく無口な父が釣り具店に一緒に行こう、と誘ってきました
母が釣りの話をしたのです
しかし私は戸惑いました 父とは通常殆ど会話しません
父は厳しい人、というか身勝手な人というか・・・
怒ってるのか、でないのかが良く分らないのです
土曜の午後、私はやや緊張気味に釣り具店に行き
二人分の竿を父が購入しました
翌早朝、ハゼを釣りに行きました
私はやや緊張気味に初めての釣りをやり始めました
父も釣りは初体験でしたが嬉しそうに竿を振っていました
しかししばらくしても一匹も釣れません
やはり直ぐには魚が獲れるものでもありません、が
私も緊張が解けてきて楽しく釣り体験をしていました
父は釣り疲れたのか浜の端に一人でお茶を飲みに行ってしまいました
何回か沖に向かって竿を振っていましたが、自分の放った針を
見失ってしまいました
「あれ~まずいなぁ 道具無くしたら怒られる」
竿を左右に振ると後ろ側に糸が伸びていました
「なぁんだ 草むらに引っ掛かったんだ」
竿を引っ張ってみました
「痛えてててててててててててててててててて!!!!!!!!」
何だか騒がしい人が近くにいるなぁ
私は自分の事で手がいっぱい 力いっぱい
竿を振り回すと今度は私の名前を叫びながら
「痛い、痛い」と叫んでいます
振り返ると私の釣果第一号が父だった
事に気が付きました
そこからの私の記憶はびっくりし過ぎて飛んでしまってますが
父は「お前ぇとなんか二度と釣りに何か来ねぇからな!!!」と
怒鳴られているシーン
その後勿論すぐに帰ったのですが
帰宅道中ドキドキしながら怒ってる父を見上げると
父の耳の上の方に釣り針が光っていました
「ピアスっていうんでしょ?耳飾り」
言いかけましたが危険すぎたので言葉を飲みました