飼料用米が脚光を浴びそうな件
以前、noteで、飼料用米について、書いたのだが、
入社して半年を過ぎ、少し考えられるようになったので、
追加で書いてみようと思う。
(過去のnoteはリンクから)
ロイター通信に、記事が掲載されていた。
アングル:ウクライナ侵攻の「余波」、飼料用コメに旺盛な需要
と題して、2022年3月20日に掲載されていた。
当記事によると、ロシアとウクライナ両国における、
世界の小麦輸出25%、トウモロコシ輸出16%を占めているということだ。
ロシアは制裁で、ウクライナは侵攻による作付け不能により、
需給バランスが大きく崩れることになった。
小麦とトウモロコシは人間も主食として食べるが、
飼料としても広く使われている。
供給が減ってしまえば、人間の主食として利用することを優先し、
飼料としては使用できなくなってくる。
小麦やトウモロコシの代替えとして、
米を利用する事を中国の輸入業者は交渉を進めているらしい。
全量、米に切り替えることはできるのかについては、農林水産省において、一定の回答が出ている。
その内容をまとめてみた結果、
つまり、ある程度は置き換えを行うことができるという結論は出ている。
ここまでは、前回のnoteにも書いたことだ。
では、勉強した内容で、飼料用米について考えてみよう。
日本標準飼料成分表において、
具体的にトウモロコシと飼料用米を比較してみよう。
トウモロコシと玄米を比べれば、一部繊維質などに劣る部分もあるのだが、これだけを見ると、全量置き換えても問題ないように思う。
しかし、別の視点で見てみると、
全量飼料用米にすることができないことがわかる。
ミネラルから考えるとどうなのかを考えると、大きく異なる。
この表は、乾物1kg当たりのミネラルなのだが、
ヨウ素やセレンなどは全くないといわれている。
だからこそ、ヨウ素やセレンなどを別添で追加しなければならない。
しかし、セレンに関しては問題だ。
セレンに関しては、上限が定められている。
だからこそ、セレンを多く入れることはできない。
飼料メーカーが最終製品のセレン量を、
どう計算しているのかがわからないので、何とも言えないのだが、
不足した分セレンを入れるということができないかもしれない。
http://www.famic.go.jp/ffis/feed/info/profile/selenium.pdf
農林水産消費安全技術センター発の資料
アミノ酸は一部少ないもトウモロコシに比べ、
玄米が少ないアミノ酸も存在する。
しかしながら、大きく偏っているということはない。
ビタミンはトウモロコシと大豆では雲泥の差ともいえる表が上の図だ。
特に、コリンやパントテン酸、ビタミンEなどはもちろん、
トウモロコシと玄米を比べると全く入っていない。
つまり、飼料をトウモロコシから玄米に切り替えた場合には、
特にビタミンが不足してくるため、追加で添加をする必要があると思う。
ビタミンを添加すれば良いのかというとそうではなく、
アミノ酸についても考えなければならない。
アミノ酸の「桶の理論」、リービッヒの最小養分率という考え方において、「必須アミノ酸のなかに1つでも不足するものがあると、
アミノ酸がいくら多くあっても有効利用されず、無駄になってしまう。」
と言われている。
そのため、飼料設計時には、アミノ酸の含有量にも留意して、
製造することが重要である。
大滝
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