『アルジャーノンに花束を』感想
アルジャーノンに花束を💐
話題になってたのと、本屋さんに行った時にすごい量が陳列されてて、激推しの本なのか?!?とさらに興味が湧いて手に取りました。
こんなにも読んでいて心苦しく、しかもどうにもならない気持ちになるとは思わなかったです。
物語は主人公チャーリーの一人称視点で描かれていて、彼がどのように友人や先生たちなどと接しているのかを読み解くことができるが、チャーリーが学力を向上していくにつれ、彼らの本性、素性がどんどん鮮明になっていき、なんとも言いがたい感情になった。
周りの人たちがどのような気持ちでいるかは私たちはチャーリーの文章、経過報告を読むことでしか知る方法は無い。
チャーリーは優しくしてくれる、友人だと書いているが果たしてそうなのか?本当はからかわれてるのでは?と思っていたので手術を受けたあとの彼の報告をみるに、やはりそうだったのだと気づき、少し悲しくなった。チャーリーは純粋にみんなのことを思っていたのに。
最初は頭が良くなるなんて、なんていい話だ!と思っていたが、どうもこれはそう簡単な問題では無いようだ。
知らなくてもいいことはある、というのはまさにこういうことを言うのだなと考えさせられた。
周りよりも劣っていたのに、周りよりも賢くなってしまったが故に今までの彼らの言動や態度の意味に気づいてしまい、過去の自分とも自問自答を繰り返す。
そして経験し、学ぶことの楽しさを知り、今まで理解出来なかった感情を知る。
しかし手術は必ずしも成功するとは限らなく、この状況も長くは続かない。
アルジャーノンに変化が起きた時、まさか最後はこうならないよな……?と思っていたのが的中してしまい、終わりが近づくのが本当に悲しかった。
チャーリーと周りを取り囲むそれぞれの人物。
家族であったり、教授や先生、職場の人たち。
月日が流れるにつれ、じわじわと変わっていく、変わっていってしまうチャーリー。
最後の1文が全てなんだろう、そう思いました。
本のタイトルの意味も納得でき、読み終わった後とてもモヤモヤするような、でもなんだかしっくりくるような、そんな複雑な気持ちになりました。
本当に本当に、おすすめです。
こんな気持ちになったのはこの作品が初めてです。
ドラマや映画など様々な媒体で展開されていますが、この作品は小説だからこそ、文字だからこそ出来る表現で美しく、儚く紡がれていますので小説で読んで頂きたい。
皆さんぜひ。