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『二人一組になってください』感想
ずっと気になっていた1冊。読了しました。
面白くて一気に読めちゃいました。
会話文が多いのもありますが、全体的に読みやすいったです。
○感想
とある女子校の卒業を控えたとあるクラスで
いきなり特別授業という名のデスゲームが始まります。
ルールは至ってシンプル。
二人一組になること。
読み終わった後の喪失感が半端なかった。
女子高校生の描写があまりにもリアルで読んでいてドロドロとした気分になりました。
カースト制度の無情さというか自分が学生だったころの記憶も蘇ってきてなんとも言えない気持ちというか……キャラクター描写が本当にしっかりされていて、次々と犠牲になっていくみんなを見ていてしんどかったです。
誰も自分と組んでくれないのに、今では自分と組もうと必死なのがなんとも皮肉ですよね、このゲーム。
一人一人クラスメイトの人物像を事細かに描写して、それぞれの関係性が明らかになっていくにつれ、意外にもお互いよく思っていなかったり、逆に実はずっと大切に思っていたり、気にかけていたり、人間は土壇場で本性が出るなんていいますけど、まさにそんな感じだなと思いました。
デスゲームは誰が生き残るかも重要だと思いますが、この話は何となく読んでいくと予想がつくと思います。でも、それでも本当に面白かった。
まさに女子高校生ならではの悩みや葛藤が詰まった苦くも重苦しい話だなぁと思いました。
気が合わないけど、一人でいるのは嫌だから合わせて一緒にいたりすること、グループをつくってみんなで行動したり、裏で悪口を言い合ったり。
いじめがテーマの作品でしたが、
明確ないじめがある訳ではなく、無自覚の悪意によるいじめ。
確かにいまは後者の方が多いのかも、と個人的に思いました。
いじめている側は全く自覚がなかったり、
直接的にいじめている訳ではないけど、結果的に辛い思いをさせている行動に繋がっていたり。
いたってシンプルなルールのデスゲームでずっと学校の教室内で行われている事だけど、
話が進むにつれてハラハラが止まらなくてそれと同時に考えさせられる話でした。
ラストでびっくりしました、こうして続いていくのか…………
学校ものでデスゲームでいうと、
金沢伸明さんの『王様ゲーム』も好きですが、
そんな感じでどんどんこのデスゲームは続いていくのでしょうか?
とても夢中になった作品でした。