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「ブランク期間」を武器に世に必要なことを創る。田中水美さんの「ストーリー」 (#私だけのキャリアストーリー 001)

これから世の中が必要なことを「創る」仕事に携わりたいーー。

フリーランスのコンサルティング・市場調査のプロフェッショナルとして働く田中水美さんの仕事をする上でのミッション(目的)は、「世の中がこれから注目したり、新たに実現できることでの驚きと体験」を創り出すことだ。これまで持ち前の好奇心を武器に、業界や役割に囚われずに多様な経験を重ねてきた。

現在は、女性のヘルスケアに特化したコンサルティング・メディア事業を展開する「ウーマンズ」で働く田中さん。担当は一つの業務に限らず、文章執筆から企業クライアントのコンサルティング、イベント運営など多岐に渡る。

「元々好奇心が強く、新しい事を覚えたり、それまでにないやり方を考えて自分から仕事を創るのが好き」だと語る田中さん。

「言われたことだけをただやるよりも、こちらから気づいたことに対して主体的に動くのが好きなので。何か気付きがあった時は、言われるよりも前にまず動く。そんな姿勢が、今のチームでもありがたいと言われています。何かを想像して新しいものを創り出すのが大好きなので、常に新しいことをやっていたい、というのは今も昔もあまり変わっていないですね。」

54歳でキャリア再出発

元々、ラジオ業界で広告コピーライターとしてキャリアをスタートした田中さん。その後、結婚・出産後はパート主婦として働きながら約25年間介護や子育てに力を注ぎ、キャリアを再開したのは54歳の時だった。

「子育ては良くキャリアのブランクだと言われてしまいますが、私にとってその経験は必須でした」と田中さんは当時を振り返る。

「子育て一つをとってもクリエイティビティを発揮できる場面は大いにあります。例えば、子どもに『おはよう』や『おやすみ』と話しかける時に、少しでも喜んでもらえるよう歌いながら話しかけてみたり。そこからオリジナルの歌を作って子どもに聞かせたり。いかに子どもに楽しんでもらえるかを試行錯誤することは、仕事で必要な創造性や発想力を発揮する経験に近いものがあったと感じています。」

パート主婦としても、複数の業種を経験した。古美術店で働いていた時には、店舗デザインの設計やゼロから海外向けウェブサイトを構築するなど、持ち前の創造力を発揮した。

子育てや介護に一区切りがついた時、もう一度本格的にキャリアを再開しようと就職活動を開始。しかし、子育てやパート主婦としての経験は企業に評価されにくく、壁にぶつかる日々が続いた。

「例え組織をあげてダイバーシティ(多様性)を推奨していると掲げるような会社であっても、実際の面接では履歴書上の年齢やこれまでの経歴を見て判断されることが大半でした」と田中さんは言う。

「自分のスキルを活かしてチームと協力する楽しさをもう一度味わいたい、という動機でキャリア再出発を決めました。ですが、時にはパート主婦がお金に困っているから再就職を探しているのではないかと勘ぐられるようなことも。履歴書だけで伝わりきらない自分を見てもらうことは、簡単ではないと感じました。」

それでも諦めずに応募を続けていた時、企業派遣型の「プライベートコンシェルジュ」という新たな職種が台頭していることをニュースで知る。多様なニーズに合わせたきめ細やかなサポートをするというこの仕事に「専業主婦の経験と視点が役に立つのでは」と閃き、応募。自身の多様な経験が評価され、25年ぶりの再就職が決まった。

4年間スタートアップでがむしゃらに働いたあと、今年3月にはウーマンズへ転職。「何か一つのスキルに特化した人はいらない。オールマイティに様々な経験を持った人を探している」という企業側のニーズと、パート主婦として様々な業種・ポジションを経験したことや、前例のない事にも積極的に取り組む田中さんの姿勢がマッチした。

「採用担当頂いた方は、面接でも年齢のことについては触れず、履歴書や職歴だけではわからない人柄までしっかりと見てくれていると感じられました。だからこそ、私も信頼感が生まれて仕事に取り組めたと思います。」

多様な経験を武器に

例え「ブランク期間」があったとしても、パート主婦としての経歴も、すべての経験は仕事をする上でプラスになるーー。自身の再就職の経験を踏まえ、田中さんはそう振り返る。

「一般的にはブランク期間とされる約25年間も、私にとってはコンテンツライターや、介護施設、保育園、古美術店で外国人相手に接客など、何十という異業種でパートとして多種多様な経験を積んだ貴重な時間でした。」

だが、実際には今でもまだ職歴や年齢など、履歴書の中身で評価が下され、その向こう側にある人柄や経験まで目が届かない企業も多い。それでも、一度スキルを評価してもらえば、「ブランク期間」を過ごした人材でも活躍できる可能性は十分にある、と田中さんは語る。

「ブランク期間と言われる間に多様な経験を積んできた経験は、今も仕事をする上で生きています。今は人生100年時代で、この先のキャリアもまだまだ長い。『専業主婦にならなかったらどういう仕事をしていたか』と考えることもありますが、それでも育児や介護に専念したことで人間として一周りも二周りも大きくなれたことを考えれば、自らの選択に全く後悔はないです。」

(文:村井秀輔)

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「人には、誰しも伝えるべきストーリーがあるーー。」元新聞記者・リンクトイン編集部の村井が、履歴書や面接だけでは伝わらない一人ひとりのキャリアにスポットライトを宛てた記事を掲載しています。

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