【デジタル時代の推し活術】 9つのUI事例で見る最高の体験デザインとは?
はじめに
昨今、よく耳にするようになった「推し活」。
元々は、熱烈なアイドルファンが自分の応援しているアイドルのことを「推し」と呼び、応援する活動のことを指していたそうですが、現在はコアなファンのみならずライトなファン層も含めて幅広いジャンルと世代で使われる言葉になりました。
世の中には、多くのユーザーが各々の推し活を楽しむために発展したアプリやサービス、コンテンツなど、様々な推し活にまつわるプラットフォームが存在しており、楽しみ方や体験のアプローチも多岐に渡ります。
私たちBACKSTAGEも、テクノロジー×ファンビジネスに強いチームとして、タレントやインフルエンサー、個人や団体の挑戦を舞台裏でサポートし、さまざまなファンビジネス事業を展開しています。
👇詳しくは過去記事にて詳しくご紹介しているので、宜しければご覧ください!
本記事では、
ファンクラブに入るよりも低いハードルで、気軽に推し活が出来るもの
仕事や勉強のモチベーションを支えるもの
並走ストーリーのある「推し活」とは?
これら3つの切り口から、推し活にまつわるプラットフォームをリサーチしてみました。それぞれの「推し活」を支えている仕組みや工夫をUI/UXデザインの観点からご紹介したいと思います。
①ファンクラブに入るよりも低いハードルで、気軽に推し活が出来るもの
ファンとしてアーティストを応援する方法の一つにファンクラブの入会がありますが、会員になるには高額な年会費が発生するため、一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか?そこで、気軽に応援できるような仕組みを取り入れている事例が無いかリサーチしてみました。
韓国アイドルとチャットが出来るメッセージアプリ『bubble』
どんなアプリなの?
『bubble』はアーティストとファンがチャット形式でメッセージをやりとりできるアプリです。チャット機能に限らず、他にもアーティストと日常を共有できる機能が充実しており、韓国アイドルを推している人たちの間で注目されています。「気軽さ」が感じられたポイント
アプリを開くとアーティストの一覧画面が出てきて、そこからチャットを始めることが出来ます。そこでは、まるでアーティスト達と連絡先を交換したかのような気分が味わえる画面になっており、普段の日常でアーティストを身近に感じることのできる視覚的な体験が素敵なアプリだなと感じました。
イベントごとやコンサートといった非日常体験も推し活の醍醐味ではありますが、低いハードルで楽しめる設計はアプリならではの体験だと思います。
公式ファンコミュニティ『Weverse』
どんなアプリなの?
『Weverse』は、アーティストとファンの距離をさらに縮めるコミュニティを目指した、あらゆる推し活が実現するプラットフォームです。元々は、「BTSとARMYがより身近にコミュニケーションを取ることのできるように」というコンセプトから生まれたBTSの公式ファンコミュニティでしたが、TXTやGFRIEND(※2021年5月から活動停止中)、SEVENTEEN、BLACKPINK、I-LANDなど多くのアイドルやそれにまつわる番組も参加しするようになり、BTSに限らず様々なコンテンツに触れ合うことが出来ます。
アーティストの投稿やアプリ限定配信を見ることが出来たり、アーティストとの交流はもちろん、世界中のファン同士の交流などが無料で行えます。(メンバーシップ機能は有料です)
「気軽さ」が感じられたポイント
コミュニティには翻訳機能がついているため、アーティスト本人とファンだけでなく、ファン同士も世界の言語を壁を越えてコミュニケーションが取れる点が素敵だなと感じました!「好き」を起点に、どこにいても、誰とでも気軽に交流することが出来る取り組みが伺えて、BTSが世界的人気を博した理由も納得できます。
あなたの推しをチャンピオンに!『IDOL CHAMP』
どんなアプリなの?
「IDOL CHAMP(アイドルチャンプ)」は、韓国の人気番組「SHOW CHAMPION」と連動した投票機能によって、自分の応援しているアイドルのランキング順位に貢献できる参加型アプリです。韓国で放送中の人気音楽番組『SHOW CHAMPION』のランキングへ、アプリから投票することができます。
アプリからの投票はランキングに対して20%の影響があり、ランキングで1位になったアーティストの楽曲は、チャンピオンソングとして番組内で流されます。(毎週の番組ランキングの結果は「K-POPアイドル応援アプリ『IDOL CHAMP』日本公式ブログ」よりご覧頂けます)
「気軽さ」が感じられたポイント
投票する際に必要な『チャムシム』と呼ばれる投票権のようなものは無料で貯めることが出来るので、課金せずとも楽しみながらアイドルを応援できる構造に魅力を感じました。
チャムシムをゲットする際にはさまざまなゲームやクイズが用意されており、楽しみながら投票権を集め、かつ推しの活動に貢献出来るという一連の流れは、どこを切り取っても楽しいコンテンツになっていて非常に素敵な仕組みだなと思いました。
②仕事や勉強のモチベーションを支えるもの
推しの存在によってやる気が出たり、推しに会うことを目標に頑張れたりと、「推し活」が仕事や勉強などを頑張る原動力になっている方も多いのではないでしょうか?忙しい日々を過ごしていても情報にアクセスしやすい設計になっているアプリや、モチベーションアップに貢献しているサービスに注目しリサーチしてみました。
K-POPファンの活動に便利な情報が一目できる『Blip』
どんなアプリなの?
『Blip』とは、K-POPファンの活動に便利な情報やサービスを提供しているアプリです。カレンダー表示機能やお知らせ機能によって、アーティストのスケジュールをいち早く確認できるのが特徴です。アーティストの投稿や記事なども随時アップデートされるため、フォローしたアーティストの最新情報を知ることができます。好きなアーティストはもちろん、複数のアーティストを応援したいK-POPファンにとって必須のアプリと言えます。
「モチベーションアップに繋がる工夫」が感じられたポイント
アーティストの活動情報がBlipに集約しているため、アプリ一つ開くと情報が網羅できる点が良いなと思いました。日々仕事や勉強に追われ、限られた時間の中で好きなアーティストの活動を追えずストレスが重なる…といった負の連鎖が解消され、隙間時間で「推し活」を楽しむことが出来ます。また複数のアーティストの活動をチェックすることも出来る点も非常に魅力的です。
さらに、アプリ自体のUIデザインは視覚的にも可愛い上にちょっとしたUIモーションに遊び心が感じられたりと使い心地の良い手触りになっていて、なんだか無性に開きたくなるアプリだなと感じました。見た目だけでなく、機能面も文句なしの作りになっているので継続的に使っていきたくなるような印象を持ちました。
ダイエットを頑張るあなたに『推しとダイエット』
どんなアプリなの?
『推しとダイエット』とは、その名の通り、推しにダイエットを応援してもらえるレコーディングダイエットアプリです。好きな推しを背景、アイコンに設定できるだけでなく、シンプルな入力画面、見やすいリスト形式のカレンダー、体重、体脂肪、BMIの推移が直感的に分かるグラフ機能が搭載されています。またその日の日記も書けるようになっていて、トレーニング、食事の内容も細かく記録することが出来ます。
「モチベーションアップに繋がる工夫」が感じられたポイント
記録しグラフ化されていくことで視覚的なダイエットのモチベーションに繋がるだけでなく、推しに見守られている感覚も頑張ろうと思えるひとつの理由になると感じました。アプリ自体はシンプルな構造なので、自分の好きなようにカスタマイズできる点も◎。
推しに見守られながら集中!『推しタイマー』
どんなアプリなの?
『推しタイマー』とは、時間が進むほど設定した写真の全体が見えるようになる、自分だけのタイマーが作れるアプリです。あなたの「推し」の画像を設定して、勉強、筋トレなど、日々のトレーニングのモチベーション維持に役立つ造りになっています。
「モチベーションアップに繋がる工夫」が感じられたポイント
カウントダウンと共に推しの写真が徐々に現れる様子は非常にシュールで使っていて楽しかったです!勉強や筋トレなど、「早く終わってほしい」というネガティブな感情を推しの存在で乗り越えるのは良いなと感じました。またアプリの構造が非常にシンプルで使いやすく、自由にカスタムできる点が良いなと思いました。
③並走ストーリーのある「推し活」とは?
SNSが普及した今日では、高頻度、かつ距離の近いコミュニケーションで、推しの成長に並走出来る「体験」をファンは求めているように感じます。つまり「推し」が努力する姿を見て、自分も勇気づけられ、より応援したいと感じる要素が重要なのではと感じました。そこで「応援し続けたくなる関係性や体験価値をいかに構築できるか」という点にフォーカスしてリサーチしてみました。
視聴者参加型のオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」
どんな取り組みなの?
こちらはアプリUIの紹介というよりも、企画の全体構造が非常に興味深かったので、その企画の中で生じる体験に触れながらご紹介します。
日本のエンタメ業界で過去最大級の規模となったサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN(プロデュース ワンオーワン ジャパン)」。101名の練習生の中から“国民プロデューサー”による視聴者投票を通じてメンバーを決定する視聴者参加型のオーディション番組です。
投票は1人当たり1日1回(24時間ごと)と決まっており、番組内で定期的に行われる順位付けに反映されるという仕組みになっています。つまり、順位発表の日までに投票された票がそれぞれのメンバーの順位に大きく関わり、デビューできるかできないかを左右するのです。
「並走ストーリー」が感じられたポイント
全国各地から集まった101人の練習生たちが、アイドルになる夢に向かってガムシャラに頑張る様子が一気通貫して視聴できる点に並走ストーリーの醍醐味を感じました。運営側によるオフィシャルSNSアカウントの発信の充実も相まって、会期中はファンによるリアルタイムでの声がX(旧Twitter)上で飛び交っており、自分の推しの練習生が絶対に夢をつかむために応援や投票をしなくては…!という使命感に駆られる構図は、まさに並走ストーリーであり、非常に魅力的だなと思いました。
また累計投票数は約6,500万票と言われており、デビュー前から強固なファン組織を持ったグループであることは、その後の活動の基盤となるため圧倒的な強みだなと感じ、今回ご紹介させていただきました。
あなたがBTSのマネージャーになったらどうする?『BTS WORLD』
どんなアプリなの?
『BTS WORLD』とは、BTS(防弾少年団)のマネージャーとなってデビューさせる、育成型ゲームアプリです。BTSデビュー前の2012年からスタートする設定で、BTSのデビューまでのストーリーはもちろん、“もしBTSのメンバーではなかったら?”という別世界での“アナザーストーリー”の物語も楽しめます。
「並走ストーリー」が感じられたポイント
「自分がBTSのマネージャーだったら…?」「BTSのメンバーがデビューしない世界線だったら…?」など、『もしも…』に焦点をあてて自分が関わっていくようなストーリーで進んでいくシナリオに魅力を感じました。実際にメンバーから連絡が来るような画面になったりと、ゲーム内もかなりリアリティのある作りになっているため、アナザーストーリーとして楽しめる構造が良いなと感じました。
ハートを投票して推しを応援『最愛ドル』
どんなアプリなの?
『最愛ドル』とは、K-POPアイドルのリアルランキングアプリです。ハートを投票して自分の推しを応援することができます。毎日夜に投票の結果が集計され、多くのハートを集めたスターは、殿堂入りとして表示されます。
このアプリは、ソリパダアワード(韓国の音楽授賞式)アジアアーティストアワード(アジアのK-POP・ドラマ統合授賞式)の人気賞に反映されるため、K-POPアイドルオタクの間では人気のアプリだそうです。その他にメディアへの出演などのスケジュールチェックをしたり、毎日更新される推しの画像をチェックしたり、アイドル人気ランキング投票に参加したり…と様々な機能があります。
「並走ストーリー」が感じられたポイント
このアプリの魅力は、参加型アプリであることです。最愛ドルでの人気投票は100%反映されるため、推しの花道を自分で作ることが出来る点に「並走ストーリー」を感じました。また投票の際に必要になるハートは無料でも貯めることが出来る点も、低いハードルでアイドルを応援できるので魅力を感じました。
おわりに
多種多様な「推し活」を支える様々なプラットフォームをご紹介させていただきましたが、いかがでしたか?
アーティストとファンの距離が近くなるような工夫や、ファン同士の交流もしやすい取り組みが見受けられたり、低いハードルで気軽に個人で楽しめる構造のものがあったりと、各々の「推し活」が楽しく行えるプラットフォームがたくさんあって調べていてワクワクしました!
個人的な感想としては、今回ご紹介した事例の半分は韓国発のアプリだったのですが、SNSを積極的に取り入れることで実現しているコミュニケーション面での充実がすごいなと感じました。K-POPが世界的に人気な理由の一つはここにあるんだろうな…と思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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