大橋運輸が目指す「無意識のダイバーシティ」 。社員が自信を持って、前に進んでいく職場へ
こんにちは!愛知県瀬戸市に本社を置く大橋運輸です。
大橋運輸は、「健康経営」や「地域貢献活動」に加えて、「ダイバーシティ経営」に注力しています。当社では性別や年齢、国籍、障がいの有無、LGBTQに関わらず、さまざまな人財が活躍できる環境を整えてきました。例えば、下記のような取り組みがあります。
これらの取り組みが評価され、「on the Ground Project」からLGBTフレンドリー企業として認定されたことや、職場でのLGBTQの取り組み度合いを示す「PRIDE指標」(「work with Pride」主催)でゴールドを受賞。その他、経済産業省の「新・ダイバーシティ経営100選プライム」や、多様性を尊重し生かす社会の実現を目指す「D&Iアワード2021」での「中小企業部門 D&I Award 大賞」受賞などをいただきました。
こうした成果に結びついた一つの要因として、2019年に立ち上げたダイバーシティ推進室の存在があります。実は、ダイバーシティ推進室を立ち上げたのは、入社4年目の若手社員である部坂菜津子(へさか なつこ)。大学時代の交換留学を機に、多様性を尊重する文化を肌で感じた部坂は、就職活動の軸も「ダイバーシティ」としていました。今回は、部坂が大橋運輸に入社した理由や、ダイバーシティ推進の理想的な在り方などを語ります。
外国人社員への「暗黙の線引き」を感じ、立ち上げを提案
初めまして。2018年に新卒で大橋運輸に入社した部坂です。私は生まれが山口、大学が京都なので、入社して初めて瀬戸市に住むことになりました。
でも、自然の多い土地で暮らすことや人と関わること、地域を知ることが好きなので、市内のミュージアムやカフェを色々と巡っています。行く先々で市民の方々が瀬戸のことを教えてくれるおかげで、瀬戸出身の社員より詳しいこともあり、驚かれることがあります(笑)。
プライベートで行っている日本語ボランティアの活動を通じて住んでいる方との出会いもあり、今では私にとっても瀬戸は「愛するふるさと」の一つになりました。
入社から約4年がたち、現在の業務は多岐にわたっています。最も時間を割いているのは総務課の仕事で、主な業務は職場環境づくりや広報活動です。例えば、目標の設定や管理、社内報の発行、広告企画、行政への申請、研修の運営、メディア記事の校閲などがあります。
地域活動/CSV*)経営の業務も担当しており、毎月ではありませんが、市民向けのセミナーやイベントを企画することもあります。エコ、防災、終活などテーマはさまざまです。
また、現在メンバーは私のみですが、2019年にダイバーシティ推進室を立ち上げました。ここでは、外国人社員への日本語教室や通訳・翻訳サポート、大橋運輸にまつわるメールマガジン(月1回)の発行などを行っています。最近では、外国人社員が所属する部署のリーダーからコミュニケーションの取り方に関する相談を受けることも増えてきました。
ダイバーシティ推進室を立ち上げようと思ったきっかけは、外国人社員がいる会議で私が通訳をしている際に感じた違和感でした。大橋運輸では、私が入社する以前から「ダイバーシティ経営」を推進していました。地方では人口減少と少子高齢化が進み、運輸業界でも大きな変革が進む中で、「人が付加価値」という言葉を掲げてきた弊社。2010年から女性活躍推進をスタートし、2014年からは外国籍の社員を正社員として積極的に採用。コミュニケーションを円滑に行うために通訳をつける取り組みも行ってきました。
私も入社後に通訳の業務も行ったのですが、当時は明確に業務として位置付けられていたわけではなかったので、外国人社員への「えこひいき」のように感じました。外国人社員とそれ以外の社員との間に、暗黙の線引きをしているようにも思えたのです。
最終的には、多様なメンバーたちが意識せずともお互いを認め合い、受け入れられている状態が理想的です。でも、そこに至るまでには「誰が、誰を、なぜサポートするのかを定義することが先決」と考えました。そこで、年度末に業務見直しをするタイミングで、ダイバーシティ推進室の設立を提案。社長の鍋嶋にも承認いただき、次年度から推進室として日本語教室やメルマガ発行を始めました。
ダイバーシティ推進の業務は外国人社員の成長の下支えになる実感を得られますし、もともと私の仕事探しの軸はダイバーシティだったこともあり、非常にやりがいを感じています。
仕事の軸が「ダイバーシティ」になるきっかけとなった留学
私がダイバーシティに興味をもったきっかけは、大学時代のアメリカへの交換留学です。留学先のミズーリ州は、特にダイバーシティを前面に押し出しているエリアではなかったのですが、それでも日本とは多様性を受け入れる風土が全く異なっていました。
留学中は多種多様なメンバーと一緒にテレビ番組をつくる機会に恵まれたのですが、当たり前のようにジェンダーセクシュアリティについて話されていて、周囲も当たり前に受け入れ、特別視することもありません。相手と自分が「違う」ことを芯から理解しているのです。そうした世界が存在するのを知らなかった私は、カルチャーショックを受けました。
また、中には最初から参加の意志がない人もいたのですが(笑)、参加するメンバーたちはみんな忖度せずハッキリと意見を言います。ときには白熱するので心配になることも。でも、目標は同じですし、決して仲は悪くはないんです。あれほど本気で誰かとぶつかり合い、共同作業をしたことはありません。そして、実際にテレビ番組ができ上がって放送されたときは、言葉で言い表せない大きな感動がありました。意見を率直に言える環境で目標に向かってみんなで突き進む経験は、かけがえのない財産になったんです。
日本に戻って就職活動をする際も、米国での留学経験を活かし、「日本版のダイバーシティを体感し、環境づくりに携わりたい」という希望を実現できる職場を探しました。調べてみると、経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選」の中に、大橋運輸の名前があったんです。
Webサイトを見てみたら、等身大の社員トークが載っていて、さらに興味が湧きました。実際に訪ねてみて社員の話を聞いたときも、率直に「会社が面白そう」と思ったのを覚えています。社長に「大橋運輸で何をしたいの」と聞かれ、社員の意見をちゃんと聞く環境であること、挑戦できる環境だということも感じられ、「ここで働きたい」と思いました。
「土地勘のない地域の中小企業に行くのは先行きが不安定だし、心配はなかったの?」と聞かれることもありますが、実は全くありませんでした。
もちろん大企業に行くのも素敵な選択だと思いますし、さまざまなメリットがあります。でも、私は自分自身で提案と実行ができる割合が多いほうが良いと思いましたし、発展途上で「先が見えない」仕事のほうがむしろ魅力的にうつりました。自分自身が理想を描くところから始め、実際に創り上げていける職場が良かったのです。
実際に入社すると、大橋運輸には提案や企画を受け入れてくれる環境やスピード感がありましたし、やりたかったことも少しずつ叶えられてきています。瀬戸市も想像以上に住みやすい素敵な場所でした。
自分自身の原点をつくった浪人時代の出来事
地域の中小企業で働いていることを話すと、周囲の方々に「勇気があるね」「積極的だね」と言われることがよくあるのですが、もともと私はかなり受け身で消極的でした。生き方を大きく変えるきっかけになった原体験は、浪人時代の塾での生活です。
一度目の大学受験に失敗した私に、両親は全寮制の塾を勧めました。そして、当時の私は「両親が言うなら」と従いました。ただ、その塾は、携帯電話を使用するのが禁止、外界との接触禁止という自由のない環境で、1年間みっちりスパルタ指導を受けつつ勉強したのです。とはいえ、徐々に成績は上がり始め、希望の大学でA判定を取れるようになってきました。
しかし、いざ受験のために久しぶりに塾以外の場所に出て電車に乗ったら、外界との接触をずっと断っていたため、身体と心がついていかず、受験のとき完全に頭が真っ白になってしまったんです。結局、第1志望への合格は叶わず、絶望的な気持ちになりました。
私のためを思って塾を探し、費用を払ってくれた両親には感謝していますし、貴重な経験だったと思います。私がこの経験から学んだことは、「自分の意思で選択すること」の大切さと、「得意不得意を認め、自分に素直になること」。その後はこの心を持って、小さな挑戦を積み重ねてきました。
最終的な目標は、ダイバーシティ「推進」をなくすこと
今後も、挑戦したいことはたくさんありますが、まずはもっとCSVについて研究したいと思っています。地域の方に向けてさまざまな発信をしていますが、それが「本当にプラスに働いているのか」「もっとできることはないのか」を分析していきたいです。
もうひとつは、「ダイバーシティ推進室をなくすこと」です。前述のとおり、ダイバーシティは意識せずとも実践できている状態が最も良いと考えています。ダイバーシティを「推進」しなければ成り立たない状態は、本当の理想形ではないと思うんです。
誰しもが当たり前のように「ダイバーシティ人材」になっていて、立場や属性によって意見を言うことを控えることがない職場を目指したいと考えています。社員一人ひとりが自信をもって働けるような仕組みを作っていきたいと思います。
社長の鍋嶋も常々「意識を高めるには、知識を高めることが必要だ」と言っているのですが、私も共感します。アウトプットをするためには、その10倍のインプットが必要だとも言われているので、私もたくさんのインプットをして、失敗を恐れずにできることから実現していきたいと思います!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?