
読書記録 - 村上さんのところ | 村上春樹
最近は本をあまり読めていないので、一冊ずつ記録しておこうと思います。

村上さんのところ
村上春樹宛の質問を期間限定のサイトで募り、読者の問いに答えたもののまとめ。
わたしの中で印象的だったのは、村上さんが読者のハテナに対してすべてにズバリと答えるわけではないというところでした。もちろんズバリ!なときもあるんだけれど、相対的にみるとその問いを読んだ感想みたいなことが多くて、その、のらりくらり感といいますか、村上春樹像(それはこちらが勝手に決めつけているものだけど)のハードルをひょいっと超えたり、それを横目に無視して超えなかったりする、その掴みどころの無さが、人として魅力的でやっぱり好きだなぁ。
私が1番好きなやりとりは「#098 さて、かばんに何をいれようか」です。
村上さんは人生をどう捉えていますか?という問いに対して、人生とはただのからっぽな容れものであって、その中になにを入れるかを自分で選びとることが重要だと思っている。とゆうお答え。いやぁ、痺れる。
知らずに済むなら知りたくなかった感情や経験も、少しはバッグに忍ばせておいて、必要な時に必要な分だけ取り出して、誰かの役に立てられる、そんな粋な大人に(もう十二分に大人なのだけれど)なりたい。
これを読んで「私もお悩み相談みたいなことをやってみたいなー」なんて安易に考えていたら、タイミングを見計らったかのように部下からある相談を受けた。
話の前後は割愛するが「私はこれからどうしたら良いのでしょうか」という割と大きな話だったのだけれど、情けないことにうまく答えられなかった。相談を受けたからにはそれに応えたいし、私もそうやって人生の先輩たちから助けられてきたから、私が人を助けるなんていうのは烏滸がましいけれど少しでも救いになれれば嬉しいし、その記憶を誰かに繋げてほしいとも思う。
村上さんならなんて答えるだろうと考えるのだけど、私は村上さんでは無いのでわからない。自分の器の小ささを改めて感じるのであった。