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第6の芸術「演劇」とお笑いの関係とは?
■第6の芸術「演劇」について話そう。
前回、フランスで定義されている芸術の順序について書いた。
あえて第6の芸術には触れないでいたが、
今回は第6の芸術についてかいてみよう。
第1「建築」
第2「彫刻」
第3「絵画」
第4「音楽」
第5「文学(詩)」
第6「演劇」
第7「映画」
第8「メディア芸術」
この中で第6の芸術「演劇」、いわゆる「舞台芸術」についてあえて触れなかった。その理由は私がこの「舞台芸術」にはただならぬ意識を
向けているからである。
私は以前「漫才師」を目指していた。
その上でこの「芸術」、「アート」そして「漫才」を語りたかったので
あえて記事を分けた次第である。
■舞台芸術とは
舞台芸術(ぶたい げいじゅつ)とは、演劇、歌舞伎、ミュージカルなど、舞台や空間上で行われる芸術の総称。
/出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)より
さすがウィキペディアである。わかりやすい。
さここで私が問題提起、と言えば大袈裟だが
ちょっと手を挙げたいことがある。
■「お笑い」は「芸術」、「アート」であるのか?
「お笑いはエンターテインメントでしょ?」という声が聞こえてくる。
結論から言うと私は「アートである」と考えている。
ちなみに私は「お笑い」という呼び名が苦手である。
私は俗に言う「お笑い」のことを「演芸」とよんでいる。
前回の記事で「芸術はもともと娯楽ではないか。」と書いた。
娯楽であり、センセーショナルで
アナーキーな要素があるならばそれは「アート」であると考える。
例えばコントは「演劇」であり、
上記ウィキ様によると、演劇は間違いなく舞台芸術である。
ではなぜコントは「お笑い」というものの括りで
「エンターテインメント」とされているのか。
「芸術」は「学問」の一部であり、おふざけの入る余地はないし、
「受け取り手の知識の含有量」と「評価が受け取り手の感覚」である以上
見て何かを感じることが万人にできない。
演劇的要素、芸術的側面を薄めて娯楽性をものすごく高めたもので
誰でも食べれるように加工したもの、それが
「エンターテインメントとしての演劇=コント」であるのではないか。
そしてエンターテインメント(以下:エンタメ)は
ショービジネスであるがゆえ、万人にウケなければならない。
ウケてこそ金が儲かる。
例えばクラシックは芸術的な音楽である。
よほど音楽に傾倒している人でないと退屈な音楽に聞こえる。
やっぱりあいみょんとか米津玄師とかを聞くだろう。
わかりやすいからである。
メロディも聴きやすかったりカラオケで歌いやすかったり、
歌詞なんかも一般の人だと共感できる部分があったりする。
これは一般大衆向けにジェネライズされているように感じる。
例えば「お笑い」というものが一般大衆的にウケるのであれば、
それは薄められて加工されてジェネライズされてるものであり、
根本は何か別のものだったと考えられるのではないか。
芸術=(パフォーマンス)+(テクニック)
エンタメはこのパフォーマンス部分であり、薄められているのはテクニックの部分であるように思う。
事実、舞台芸術は英語では"performing arts" と訳される。
要するにコントの根本は舞台芸術であるし、
お笑い、いや「演芸」自体の根本も実は芸術であると言えるのではないか。
絵や彫刻など他のアートのジャンルよりさらに難解であると言える。
というのはまず形がないからではないか。
絵や彫刻などは実際にそこにあって完全に可視化されている一方で、
「演芸」に至っては形がなく相手の「気持ち」や「感情」というものに
フォーカスしているからである。
能や狂言などはスタイルが決まっていて、
ある程度アカデミックなものだが、
他のジャンル、ダンスや歌などのショーを
前提とするものの中でも一際難しい。
やはりアカデミック、「教科書化」が難しいジャンルと言える。
ではこの形のないものに対してなぜ人はお金を払うのか。
アートはビジネスとは真逆の性質を持っているにも関わらず
明らかに「お笑い」が現在もビジネス的側面を持っているのは何故か。
それは「体験」を商品としているからである。
逆にいうとアートの一部である「テクニック」を薄めて加工し、消費者に体験させることで「エンタメ」として商品化しているということである。
しかし逆に大衆化が進みすぎて、本質である演芸の大事な要素が薄められているからこそ「演芸」が「お笑い」というものと置き換わった、
良くない言い方をすれば落ちぶれたということになる。
どちらがいいというわけではない。
ただ「演芸」というものを「=お笑い」とするのはあまりにも物足りない、端折りすぎ、簡略化しすぎであると思う。
逆にアート、芸術路線のレギュラーメンバーになってしまうと
とっつきにくくなるだろう。
そのバランス感覚が非常に難しいと言える。
だから私は演芸、俗に言うお笑いの根本は「アートである」と言いたい。
アートのカテゴリーの中に「演芸」、漫才やコントなども
もともとアートのカテゴリーの中にあったものと考えている。
これが私が思う、芸術論や芸大美大に通っておらず、
「漫才師」になりそこねた私が思う「演芸」に対しての考察である。
そう、演芸はアートだ。
「芸人」は「アーティスト」である。