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緊急提言!小林賢太郎氏解任について思うこと。

■日本は最高クラスの文化財を失った。

私が影響を受けた人物の中の筆頭と言っても過言でもない人物、
小林賢太郎氏。彼にまつわるニュースを目にし、憤りとともに
呆れや“やっぱりな”という半ばわかりきった感情が湧き出てきた。
あまりこういうタイムリーなことへの提言は避けてきたが、
小林賢太郎氏を勝手に師事している身として
書かないわけにはいかなっかった。

今回の件で、日本は重要なエンターテインメントや芸術の最高クラスの
人物を失ったことだろう。

・発端
7月21日夜、芸能雑誌が不適切な発言があった「ラーメンズ」時代のコントの動画を紹介。小林氏は差別反対を掲げるオリンピック憲章に抵触する可能性があると指摘された。

・解任へ
22日午前2時、中山泰秀副防衛大臣は自身のTwitterを更新。
組織委員会は21日深夜から22日朝にかけて対応を協議。
開会式前日にあたる22日の午前、小林を解任するとともに謝罪のコメントを出した。

(一部Wikipediaより抜粋)

・各所の反応

元宮崎県知事でタレント東国原英夫氏
「随分前の事とは言え、ホロコーストのパロディは国際的に 不味まず いだろう」

前東京都知事の舛添要一氏
「人類の最悪の犯罪を笑いの対象にしてはならない」。

芸能リポーターの井上公造氏
「ここまでくると任命責任だよ」

■天才 小林賢太郎という男

・ラーメンズ、KKP、ポツネン....

ぽつ


1996年、片桐仁とともにラーメンズを結成。
2002年、「小林賢太郎プロデュース公演 (KKP)」 
2005年、ソロコントプロジェクト「POTSUNEN」
2016年、新作コント公演「カジャラ」
2020年11月16日をもって芸能界の全ての表舞台から引退。執筆活動など裏方としての活動は継続。

ラーメンズ時代よりコアなファンが多かった。
他のお笑い芸人とは一線を画すコントを繰り広げて、
一部の“普通のお笑い”に飽きた層、“演劇”をメインとする層から
絶大な支持を受ける。
コントという“演劇”の芸術性を高め、海外などでも公演を行う。

2020年に芸能界を引退し、裏方へ。
その後もnoteの執筆などを精力的に行う。
引退の際、お笑い芸人の中でも「天才・小林賢太郎引退」で話題となった。

・“コント”という芸術作品

彼は芸人のコントから演劇というアートへ昇華させた。
お笑いというエンターテインメントからアートというものへの
原点回帰に成功した数少ない人物の一人である。

昨今の芸人がやるコントはインスタント食品のようなその場限りのものが多い。しかしラーメンズ時代のコントは今でもファンが多い。

それは小林氏はもちろん、相方の片桐仁のキャラクターもさることながら
脚本、ストーリーがすばらしく長きにわたり愛されている。

今回の件では国際問題的な要素を含むが、おそらく小林氏の芸術性の高い作品は日本よりも海外での評価が高いように感じる。

・“芸人”から“パフォーマー”、そして“劇作家”へ

初期ラーメンズから試行錯誤を重ね、自らの特技である手品の要素も含め、
観る人を驚かせる演出を繰り広げる。

バカリズム升野氏、いとうせいこう氏との対談では『著作者の意識が芽生えた』という旨の発言をしており、考えればその頃から引退も視野にいれていたのではと伺える。

小林氏のパフォーマンスは先程の手品の要素に加え、パントマイムなどの要素もあり、見応えがある。
その彼が表舞台に立たなくなることは非常に寂しく、もったいない気もするが、それ以上に彼が創る作品に別の誰かが演じることがまた何か違った
雰囲気を感じることができるのはまた楽しみである。

・小林賢太郎氏は日本最高クラスの芸術家である

これらの要素は小林氏は活動を続けていく中で獲得した能力である。
いかにオーディエンスを楽しめるかだけに注力し、考え抜き身につけた能力である。
彼のコントや演劇作品を見ると、「よくこんな話思いつくな」という
センスを感じることがあるが、それは持って生まれたものではないこと、
彼自身が望んで、渇望し手に入れたものである。
作品の作り方は芸術家さながら、というか芸術家である。

彼の作品はセンスによって創られるものではなく、思考と優しさと努力で満ち溢れている。

■小林賢太郎氏のこれから

こばけん2

・観る者に一定の強制力のある芸術

彼の言葉に「観せてください、観てください関係」というものがある。
ラーメンズがTVに露出をしないのは、観たくない人や観ようとしていない人には伝わりづらいという面があるからである。

普通の“お笑い”が好きな日本人はラーメンズや小林氏はヒットしない。
明確なボケやツッコミ、ギャグ、オチがなく“考えながら”観ることが必要で、深く感じてこそ伝わる作品である。

今回の件にしても、一般大衆が楽しむイベントを創るというのは
おそらく小林氏を知らない人間や興味のない人間に対しても提供することになっただろう。

個人的に言えば、そういった“芸術を観ようとしない者”に対しての提供はもったいないと感じていた。

・一般大衆むけではなく“理解”ができる人へ

小林氏の作品や言葉の数々は、彼の創造性を理解できる者が受け取れば十分であると考える。
ラーメンズや小林氏のファンは確実に数多くいる。

オリパラ自体を楽しむような一般大衆にはもったいなく、
込められたメッセージや芸術性をひっそりと自身に蓄える人が受け取ればよいのだ。

・これからに期待すること

今回の件で古参の、と言うのは少し嫌だがラーメンズ時代から小林氏を好きでいる人たちのもとに帰ってくるという感覚がある。

これからも“理解る(わかる)”人へ向けて良質な作品を提供し続けてほしいと願う。

自身の言葉にあるように、「観せてください」と心待ちにしているオーディエンスは確実に存在している。

私もその一人であり、彼の芸術を心の底から期待している。

■最後に

本人に届くかどうか、いや届かないだろうがあえて書かせていただきたい。

ずっと観させていただいている者は、あなたの創る作品にいつでも楽しまされ、笑い、泣き、すべての感情をもって観劇してきました。
何かを感じること自体を学び、創ることの喜びも学びました。

これからもずっとあなたの作品を心待ちにしております。

■余談

じん

・“ラーメンズ”と相方【片桐仁】

ラーメンズ、小林賢太郎と並んで無視できないのは【片桐仁】の存在である。一瞬で目を引くヴィジュアルの片桐は名プレイヤーである。
昨今では俳優としての活躍し、自身のYouTubeでも家族とともにものづくりの動画を数多く投稿している。コントの祭典にも即席コンビで挑もうとしている。

小林氏に対しておそらく(そういったコメント寄せているといった確証はないが)何かしらの言葉はかけているのではないかと予想できる。

彼の優しい言葉にも癒されているのだろう。


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