あればあるほど良いけれど、それはセンスによる

「マスク たくさん あります」

A4サイズ、白黒の文字

すごく堂々としているようで貧相でもある。
つい先日までは、「マスク 入荷 ありません」の文字が並んでいたその反動で堂々としているように見えた。


急遽設置されたような、パン売り場に隣接するマスクコーナー。
本当であればパン売り場の横にマスク売り場は出来ないが、「マスク 入荷 ありません」という昨今のマスク需要から考えた時、パン売り場の横にマスク売り場はできてもおかしくない。そうスーパーの店長は確信を持って設置したはずだ。

しかし、「マスク たくさん あります」の文字は虚しく、誰の目にも止まらない。

人っ子ひとりいないのだ。

パン売り場の横に設置されたマスク売り場にも、元来の本拠地である生活用品コーナーのマスク売り場にも、だれもいない。

むしろ、マスク売り場を避けるように人は動く。

今まで激しく求めていたというのに、どうして人間はすぐに突き放してしまうのだろうか。全く非情な生き物だ。


「マスク たくさん あります」の貼り紙も初めはカラープリントだったのかもしれない。だれの目にも止まらないがゆえにどんどんとくたびれ、白黒になってしまった、そういう悲しい経緯があったのかもしれない。わたしには知る由もないが。


一方その頃、同じ生活用品コーナーの除菌製品売り場「除菌のものは 一家族 1点まで」。(横書きのとき漢数字はわかりにくいのでやめてほしい。)

A4サイズ、白黒の文字

ほとんどの除菌製品は売り切れていた。

そういうことだったのだ。人間はマスクより除菌製品に熱を上げていたのだ。


大量に入荷された、5枚入り400円のマスクたち。
お元気で。これからも売り場の棚を精一杯盛り上げてほしい。需要は常に一定してあるのだから。

よろしくお願いします。


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