街中の喧騒と
2023.12.25
街は恋人たちでごった返して、
喧騒に息を潜めるようにヘッドホンを付けた。
向かいに座っているあの人は誰かのもとに帰る途中か、電車に揺られながらそれとなくケーキを大切に抱いている。
車窓に都会のイルミネーションと呆気ない顔をした私が過ぎていく
ああ今年も私は辿り着けなかった
あなたの所へ向かう列車はとうに別れて私の車両を抜いて行った
くやしいな
渡すはずだったプレゼントがカバンの中で揺れて
泣きそうな私だけが煙草の匂いと一緒に残ってしまった
電車の軋む音すら笑っているようで、それは雪の降らない東京の変な温かさみたいだった
おろしたての洋服が切なくどうでもよくなっていく
降り立った夜は変に浮かれててあたしの足が地べたに沈んでく
喫煙所にコートたちを睨みつけて震える手で火をつけた
こんなところで温まってもしかたねえよと、手に伝う煙草の煙を見ながら息を吐き出した
あの人は私の血の色
あたしの目の色
あたしの傷のかさぶた
気に入らないから度々剥がして血を流す
もう3年も経つんだね
あれから
わたしもあなたも変わったと思ってた
でもまだ追いつけなかった。くやしいなあ。
くやしい
この気持ちも笑える日が来ること、狭い空を見上げる日が来ること
評価されるとか
認められるとか
愛されるとか
愛せるとか
期待とか
そんなもの全部ひっくるめて捨てちまいたくなった。そんなものを全部同じように求めていた。私が恥ずかしくなった。
必要とされたくて
必要としたくて
必要の無いものに縋って
必要のない相槌を打っていた
全部だるい
ほんと全部だるいよ
私なんて居なくなれと思ったのに今死んだらそれすらダサいように感じてさらにしにたくなった
今年わかったこと
私は
わがままで傲慢で
死に急いでいて
救いようのない哀しい奴で
人の気持ちをうまく読むこともできない
知識の虫、障“害”者
ぜんぶ嫌になってる
ぜんぶ嫌になってるよ
あんたのことももう嫌いだよ
過ぎる時に私は勝てなかった
じゃあ来る時に私は勝てるんだろうか
その時が来るまで、静かに息をして
泣きながら笑ってるんだろう
自分の武器を信じて
まだ戦っていたい
まだ戦うよ傷つけてきたお前ら全員死ぬまで
お前らのために死ねない
時計の針は12時を指した
クリスマスはもう終わり
寒い散らかったワンルームに辿り着いて
ヘッドホンを外した
ここは通過駅、直通で未来に続くから