「ある閉ざされた雪の山荘で」〜小説&映画〜
ZAN-SHIN事務所 COLORs所属✨
読書系Vライバー地下書店店主の文摩堂ミナ（ぶんまどう・みな）です📚🕯
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「ある閉ざされた雪の山荘で」〜小説&映画〜
東野圭吾さんの小説「ある閉ざされた雪の山荘で」が映画化されると話題になった頃、もともと興味のある作品だったのでこの機会にと読んでみました。
アマプラで映画版を見たのは先日なので、期間は開いていますがそれなりに原作の記憶が新しいまま視聴できたと思います。
そこで今回はこの作品の原作小説と映画版について、少し語ってみようと思います。
【ネタバレ注意⚠️】
ここでは結末を含めた多大なネタバレがありますので、これから映画を見る予定のある方、東野氏の小説を読む予定のある方はこの先を読まないでください！
まず、小説の時点で割と結末の三重構造は予想できちゃいました。
しかし、この小説ならではの叙述トリックにはさすがに気づけなかったので、ここはかなり驚きました。
「まさか地の文が三人称視点でなく真犯人の一人称視点の語りだったとは。」
この部分が映像では表現できないので、それだけでもだいぶ弱くなっちゃうんじゃないかな〜と予測できるんですよね…。
さて映画版ですが、まずは雨宮と本田のキャスティングに「？」となりました。
原作では、雨宮＝色男系イケメン、本田＝体育会系お兄ちゃん…というイメージだったので、なんで間宮さんが本田？と思ったと同時に、原作では男性陣のメインキャラは最初は久我に続いて雨宮で、後半のネタばらしから本田が犯人として活躍し始めるはずなので、最初から本田が準主役ポジにいたらダメでは？と…。
そんな嫌な予感満載の中、原作のイメージに近いペンションのセットで最初はある程度原作通りに進んでいきます。
そして途中でついに真犯人である雅美さんが登場するのですが……
「え、なんで？」
原作を読んだ人はこうなった人も多いのではないかと。
【雅美】というキャラクターは、芝居の実力が飛び抜けていてどう見てもオーディションに受かるはずの人材なのに、落ちた理由は容姿が美しくなかったことだったんです。
シェイクスピア作品の好きな人物を選んで演じるオーディションで、ジュリエットを選んだのが雅美とあまり実力のない由梨江の2人だけで、由梨江は容姿が一番美しかったから、2人のジュリエットの容姿比較で負けてしまったという深い人物背景が用意されていました。
雅美はぽっちゃり型で、ヒロインの役などは回ってこない、個性的な役どころばかりになってしまう、そういうキャラで、本田は雅美のそういうところが好みなのだと原作では語っていました。
＼＼\ この設定全部どっかいったー //／／
映画版では更に、雅美が雨宮に恋心を持っていて裏で嘲笑われていた事実もなくなっており、オーディション不合格の理由の重みが消し飛んでいて、その後の展開が全部「なんだこれ」状態でした…。結局温子が枕営業してなかったならこれはほんとに何の争いなんだよっていう…。
そのまま物語は進み、原作と何ら違わない真相が明かされます。犯人もトリックも全部原作通りです。
しかし真相解明後がやっぱり全く別物にされていた(꒪д꒪II
原作では、全てを知って自害しようとした雅美を引き止めたのは、演じることの素晴らしさを改めて実感したという事実そのもので、その全部を表している台詞が、狂言殺人を演じきった3人への「あなたたちの演技、なかなか良かったわよ」という素晴らしい一言でした。
私はこの小説を読んで、この台詞の重み・深みに一番感動しました。
な の に
映画版では、なんか7人がじゅんばんこに雅美に生きてください生きてくださいって短い謎の綺麗事を添えて言っていくだけで、雅美はそれに心打たれて「特殊な役しかできなくなっちゃったなぁ！」とか言いながらあっさり自害中止して芝居の世界に戻っていきました…。
「あれ？ この作品の結末ってこんな軽かったっけ？？」
そう思っている間に何となく終わっていきました。
本当に、びっくりするくらい重みがなくなってました。
と、ここまで映画版の良くない点ばかり語ってしまいましたが、映画版にも良い点もありまして。
小説を読んだ時、正直なところ「登場人物達に魅力がない作品だなー」と思っていました。しかし映画版では全員のキャラがしっかり粒立っていて(雅美はキャラを消されていましたが…)、特に主人公・久我のキャラクターは原作よりもずっと魅力的で良かったです(´﹀｀)
私が重岡くんスキなだけかもしれないですがw
長くなりましたが、そんなわけで私は圧倒的に原作小説を推しますが、原作を読んだ後に映画も観て相違点を比較したりするのも面白いかもです！
原作未読か映画未視聴の方は、この機会に両方補ってみてはどうでしょうか⸜(˙꒳˙)⸝
劇団に所属する役者7人に届いた、４日間の合宿で行われる最終オーディションへの招待状。新作舞台の主演を争う最終選考で彼らが“演じる”シナリオは、【大雪で閉ざされた山荘】という架空のシチュエーションで起こる連続殺人事件。出口のない密室で一人、また一人と消えていくメンバーたち。果たしてこれは、フィクションか？ それとも本当の連続殺人か？彼らを待ち受ける衝撃の結末とは――(C)2024映画『ある閉ざされた雪の山荘で』製作委員会 (C)東野圭吾／講談社
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