【読書感想文】十二人の死にたい子どもたち(冲方丁)
※ネタバレはありません、ご安心ください
廃病院に集まった十二人の少年少女。彼らの目的は「安楽死」をすること。決を取り、全員一致で、それは実行されるはずだった。だが、病院のベッドには"十三人目"の少年の死体が。彼は何者で、なぜここにいるのか?「実行」を阻む問題に、十二人は議論を重ねていく。互いの思いの交錯する中で出された結論とは。
「安楽死の集い」のルールは、全員一致であること。
十二人が集まるより先にベッドで横たわる"十三人目の少年"は誰だ?
誰が何のために、ここへ連れてきた?
参加した12人の意見はまとまらない。
早く安楽死しようとする少女。
この集いに、この"十三人目"をまきこんで良いのか? と疑問を投げかける少年。
感情と感情、または感情と理論がぶつかる。
議論を続けるうちに、「この少年は誰だ?」という疑問から、
「ここにいるみんなは、なぜこの集いに参加したのか?」に焦点が変わる。
それをきっかけに、発生する新たな憤怒や悲しみ。
何度も決を取る。
それでも、全員一致にはならない。
さらに議論を続けるうちに、
明らかになる真実。
10代の少年少女の信念、弱さ、脆さ…
あらゆる感情を描いた作品です。
1人ひとりがスマホを持ち、SNSを通じて誰とでも知り合える楽しみと怖さ。
自ら「死」を選ぶしかない状況に追い込まれ、
その感情を理解し共有しあえる仲間がいることで、「死にたい気持ち」がどうなっていくのか?
10代の子どもを持つ親には、ぜひ読んでいただきたい作品でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。