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【#業界あるある】〜特養の入所契約について〜
先日、行政から電話がありまして。
僕の実感では、行政からの電話のうち8割くらい緊急入所の依頼なんですが…
このたびも期待を裏切ることなく、同居家族からの虐待により優先入所をお願いしたいとのこと。
対象者は80代の女性。要介護4。
いわゆる介護放棄(ネグレクト)により、適切な介護を受けられず、地域包括や担当ケアマネが家族を説得し、現在も入院中。
脱水・低栄養・手足の拘縮・褥瘡(床ずれ)の治療を終えたものの、主治医としては、「自宅に退院させるのは適切ではない」との意見。
そこで、行政職員が退院後の入所先を打診してきたのです。
うちの特養としては、行政から優先入所の依頼となれば入所順位が最上位になります。
そこでまず確認するのが、「措置」による入所か? それとも「契約」による入所か? ということ。
措置となれば、家族の同意は不要です。
場合によっては、どこの施設に入所されているのかも家族に伝えません。
「できれば、この度は契約入所を考えてます」と言われるのですが、肝心な誰と契約するのかが決まっていないそうで…。
同居家族は「自宅に連れて帰りたい」と希望されているらしく、とても契約はできそうにありません。
では、誰と契約を?
そんなとき、行政から真っ先に候補に挙がるのが
「成年後見人」なんです。
国も成年後見制度の利用を促進してますからね。
ただ、成年後見人の業務が正しく理解されていれば、今回のようなケースで成年後見人が候補に挙がることはないと思うのです。
理由①
成年後見人は、身元引受人や連帯保証人にはなれない。
そもそも、成年後見人は本人に成り代わって契約をしたり、取り消したりします。
簡単に言うと、成年後見人が契約者に名前を書くということは、自分の連帯保証人に自分がなります、というのと同じです。
一般的にそんなこと認められるわけないですよね😅
理由②
手術などの治療(医的侵襲行為)の判断や同意はできない。
理由①よりも、この②の方が大事なんです。
うちの特養に入所後、本人が発熱したり、骨折が疑われる時。または医師が老衰と判断した時には、ご家族に意向を伺います。
発熱された時でも、ご家族によっては「病院に行くと本人が嫌がる点滴されるし、面会はできないので…。年齢も年齢なので、このまま施設で熱冷ましの座薬で様子を見てください」と言われる方もおられます。
反対に、「すぐに病院にお願いします!」と希望される方もおられます。
看取りの意向も、ご家族によってさまざまなので入所時から意向を伺います。
これらの判断や同意が、成年後見人はできないのです。
もし、成年後見人としての業務を超えて、「私が全責任をもって判断します」という方がおられてたとしても、家庭裁判所に申し立てをしてから、成年後見人が選任されるまで3〜6ヶ月かかることが多いです。
つまり、今すぐ入所契約をしたいときには、間に合いませんよね🙄
これらの理由から、僕はどなたか契約できる能力を備えた親族の方はおられませんか? と行政に伝えています。
自宅で暮らせない事情は理解できますし、できるだけ受け入れる方針で、入所に向けて話をすすめていきたいと思います。
※契約者となる家族や親族がおられない時でも、入所者さんに判断力・理解力があるとされた場合、入所者さん本人と入所契約をすることもあります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。