スカウトカスタマイズ文章作成における解体新書
「山根さん、突き詰めるとスカウトメールのカスタマイズ文章の最適化って何ですか?」
当社が採用支援に入らさせていただく企業さまから、このようなご質問をいただくことは度々あります。昨今の採用市場において「スカウトメール」を避けて通ることはほぼ不可能です。リファラル採用のみでうまくいっている、エージェントのみでうまくいっているなどの企業さまもいらっしゃるかと思いますが、採用市場はどんどん厳しくなってきています。
「スカウトメール」という事象において、キーポイントになる1つの要素は、カスタマイズ文章です。本ブログでは、カスタマイズ文章について、できる限り解像度を上げて説明してまいりますので、ぜひご覧いただければと思います。
0. 売り手市場とスカウトメールの難易度の相関性
私はこれまで17年ほど人材業界におりますが、リーマンショックやコロナウイルスなど、日本の市場がネガティブな時期も経験しています。そのような時期に差し掛かると、転職市場は買い手市場になります。なぜならば、採用企業側が今後の日本の見通しの悪さに採用活動に消極的になってしまうからです。リーマンショックやコロナウイルスの時期に転職活動をしていらっしゃる方は、非常に厳しい状況であることを肌で感じていらっしゃるかもしれませんが、概ね17年間においては「売り手市場」である状況が続いているかと思います。
話を本題に戻しますと、売り手市場がある程度続いている中で、「求職者が優位」な状態が進んでいます。そのため、採用企業側は熱心に取り組まなくてはならない状況であり、採用活動で求職者と接点を持つ筆頭の手段である「スカウトメール」に対して強いこだわりを持たなければ、採用活動がうまくいかない、そんな時代であることをご理解いただけるかと思います。
つまり、売り手市場(求職者さま優位)の状況であれば、「スカウトメールのカスタマイズ文章にこだわらなくてはならない」という相関があります。一方で、今後、日本の状況が変わった際に、買い手市場(採用企業さま優位)の状況であれば、「スカウトメールのカスタマイズ文章にこだわらなくても返信をいただける」という相関関係があるという意味です。
そのため、少なからず2024年8月段階においては、スカウトメールのカスタマイズ文章に強いこだわりを持たなくては、採用活動が前に進まない、そんな状況であると言えるでしょう。
1. スカウトメールの構成について
本ブログでは「スカウトカスタマイズ」という文言を多用しますが、スカウトメールは、そもそも「スカウトカスタマイズ部分」と「スカウトテンプレート部分」に分類することができます。それぞれ説明したいと思います。
1-1. スカウトテンプレート部分
スカウトテンプレート部分は、いわゆるスカウトメールの「雛形」のことです。
スカウトメールの送信業務に着手するにあたり、その採用企業さまの魅力をできる限り内包した文章を作成する、というのは当たり前な行為かと思います。スカウトメールに限らず、営業資料やマーケティング活動、経営資料など、私たちの仕事のあらゆる業務には「フォーマット」が存在しており、その目的は「効果の最大化」と「効率化」だと思います。
スカウトメールテンプレートで効果が高いものを見つけることができれば、それをそのまま使用するというのは常套手段だと思います。本ブログでは「スカウトカスタマイズ部分」に焦点を当てるため、テンプレートについての細かい解説は割愛しますが、ご認識いただければと思います。
スカウトテンプレートとスカウトカスタマイズの相関性について、こちらのブログにて説明しておりますので、ご興味をお持ちの方はご覧いただければと思います。
1-2. スカウトカスタマイズ部分
本ブログのメインテーマの箇所です。
前項で説明いたしました「スカウトテンプレート」はもちろん重要度が非常に高いですが、ただどうしても超えることができない壁があります。それは、スカウト対象者にカスタマイズされた内容の尺度が少ないことです。
当たり前ではありますが、スカウトメールのテンプレートは少なくて1種類、多くて5種類程度が限界だと思います。仮に日本の就業人口が70,000,000人いると仮定したときに、その70,000,000人を5つのテンプレートで分類して送信し分けていることになります。テンプレートが1種類の企業さまは、すべて同じ内容でお送りしているということです。
言うまでもないですが、スカウトメールのカスタマイズ文章は、「ある」と「ない」という2択においてはある方が良いと思います。一説では「スカウトカスタマイズ文章を入れても返信率がそこまで変わらなかった。」という内容がありますが、これはスカウトが「開封」されていないときに起こる事象であると私は思っています。そのため、スカウトメールの開封率が仮に80%の採用媒体が存在していたときに、カスタマイズ文章が「ない」スカウトメールの方が返信率が低いのはご理解いただけるかと思います。
話を戻します。では、スカウトカスタマイズ文章とはどのような内容なのか、事例を3つお見せしたいと思います。
事例1
事例2
事例3
このようなイメージです。本ブログではこれらの内容を解説していく内容になります。では、次項で具体的な話をして参ります。
2. スカウトカスタマイズ文章を作成するためのステップ
まず、結論としては準備で8割が決まります。
2-1. スカウトカスタマイズは2部構成になっている
これは当社のノウハウになりますが、スカウトカスタマイズ文章の作成をする際に、「前半部分」と「後半部分」という呼び名の共通言語が社内にはあります。
「前半部分」とは「求職者さまのキャリアを褒める」という箇所。
「後半部分」とは「求職者さまの希望を当社であれば〇〇で叶えることができる」という箇所になります。
なぜこのような構成になっているかというと、恋愛に例えるとわかりやすいかもしれません。例えば、ある男性が女性を口説きたいとします。男性は「あなたの〇〇の部分が本当に素敵ですね、△△についても魅力的だし、□□も本当に素晴らしい。」という話をしたとしましょう。これだけでは、おそらく口説き落とすことができないはずです。一方で、
「あなたは〇〇という希望があるはずなのですが、僕は〇〇を持っていますよ。なぜならば…」
「あなたは人生において、△△を求めることになるはずです。僕は△△を持っているので、楽しく生活ができると思いますよ。」
という話ができたとしたら、口説くことができる確率が上がるかと思います。
そのため、自分(自社)だけを一方的にPRしていてもダメですし、相手(求職者さま)が求めていることに対して、自分(自社)がどのようなカード(魅力)を打ち出せるのかは非常に重要だと思っています。そのため、前半部分と後半部分で分けているということです。
2-2. カスタマイズの前半部分
繰り返しになりますが、スカウトカスタマイズ文章の「前半部分」とは「求職者さまのキャリアを褒める」という箇所になります。求職者さまのキャリアを褒める際にポイントになるのは2つです。
1つ目は「自社にとって魅力的な箇所」です。
例えば、プレイングマネージャーを求めている場合は、求職者さまのプレイングマネージャー経験を褒めると良いでしょうし、マネージャーを求めている場合は、求職者さまのマネジメント経験にスポットを当てて褒めると良いでしょう。仮にマネージャー経験を求めているのにもかかわらず、プレイングの経験を褒めてしまうと、スカウトメール全体としてのストーリーは崩れてしまう場合が多いです。
2つ目は「シンプルにその求職者さまの魅力的な箇所」です。
直前に「自社にとって魅力的な箇所」と記載しましたが、これは「自社」が起点になります。一方で、「求職者さま」を起点にして記載をする魅力がこちらになります。
2-3. カスタマイズの後半部分
こちらも繰り返しになりますが、カスタマイズの後半部分とは「求職者さまの希望を、当社であれば〇〇で叶えることができる」という箇所です。
そのため、カスタマイズの後半部分は、まず「求職者さまの希望」を知る必要があります。ここが非常に難しいところで、採用媒体に求職者さまの希望が明確に書いてある場合と、書いていない場合があります。そのため、求職者さまの希望を「推測」において導かなくてはなりません。これには経験が必要です。
もう一つ難しいのは、求職者さまの希望がわかったとして、「その希望であれば、〇〇で叶えることができる」この部分の「〇〇」については、次項で説明をする「魅力」が文言化できていなければ、うまく表現することができません。
そのため、前項で説明をしたカスタマイズ前半部分よりも、カスタマイズ後半部分はスキルも必要ですし、「事前の準備・設計(魅力)」が必要になるのです。
2-4. 採用活動における魅力の設計
大前提として、非常に重要になります。改めて皆さまにご認識いただきたいことは、今後採用活動が年々厳しくなる可能性が高いです。理由は少子高齢化です。就業人口が35年後までに35%減少すると言われています。そのため、採用活動は年々厳しくなると思ってください。(AIにおけるパラダイムシフトがどこまでインパクトがあるのか次第ですが。これはまた別のブログで記載したいと思います。)
話を戻しますと、スカウトメールにおいて「企業さまの魅力」はものすごく重要です。これは皆さまもご理解いただけるかと思います。
企業さまの魅力とは何か?については2つに分けて説明を進めていきたいと思っており、本ブログ「4-2. 絶対的に重要な「魅力設計」について」にて説明したいと思いますので、乞うご期待。
3. カスタマイズの前半部分を深く探求してみる
ここまで読み進めていただいた方は、スカウトカスタマイズ文章の「前半部分」と「後半部分」の違いを理解していただき始めていると思います。
率直に申し上げると、「前半部分」はスキル。「後半部分」は魅力設計、これにつきます。本項は「前半部分」についてその理由と詳細を説明したいと思います。
3-1. カスタマイズ前半部分とは
本ブログで認識のズレが発生すると理解度が落ちると思うので、改めて説明をすると、カスタマイズ前半部分は「求職者さまのキャリアを褒める」という作業です。このカスタマイズ前半部分について詳しく説明をしていきたいと思います。
3-2. 「何」を褒めるのか?
もちろん「求職者さまのキャリア」を褒めるわけですが、具体的に「何」を褒めるのか?が重要になります。ただ、「何」に該当するのは何でしょうか?具体的には、
在籍企業さま名
役職
職種
実績・成果
職務経歴概要
などが多数該当するわけです。
ただ、上記において細かく分類できる項目があります。それは「職務経歴概要」です。職務経歴概要とは「職種ごとの職務内容における概要」です。例えば、営業職とエンジニア職では大きく職務経歴概要が異なることはご理解いただけるのではないでしょうか?そのため、「職種ごとに異なる」という認識を持っていただければと思います。
3-3. 「何」を褒めるのか? 〜職務経歴概要について〜
職務経歴概要について細かく説明したいと思います。前項で説明した通り、職種ごとに異なります。
3-3-1. 営業職の場合
職務内容
顧客ターゲティングと訪問活動
既存顧客と新規顧客をターゲットに訪問営業。営業プレゼンテーション
カスタマイズされたプレゼンテーションと製品デモ。契約交渉とクロージング
価格交渉、契約締結、顧客満足度維持。売上目標達成とパフォーマンス管理
売上目標達成戦略の立案と実行。
リーダーシップ、マネジメント
チーム構成と役割
フィールドセールスチームを統括し、既存顧客と新規顧客への訪問営業をリード。セールスプロセス全体を管理し、ターゲット達成を推進。リーダーシップと営業戦略
セールスチームの目標達成を支援し、プレゼンテーションや交渉スキルの向上を図る。チームの営業戦略を策定し、実行する。
業績、成果
目標の項目と詳細
主要クライアントへのアップセル目標(年間5,000万円)。目標達成に関する期間
2022年度全体の達成率115%。達成率
クオーターごとの達成率平均110%。他者比較
同ポジションで年間1位、クオーターで3回連続トップ。過去の実績観点
過去3年間で50%の成長を達成。
3-3-2. バックエンドエンジニアの場合
開発環境
AWS, Docker, Kubernetes, CI/CDツール (Jenkins, GitLab CI など)
Java, Python, Node.js
MySQL, PostgreSQL, MongoDB
職務内容
サーバーサイド開発
WebアプリケーションやAPIの設計・開発・保守。データベースの管理
チューニング、最適化、パフォーマンス改善。セキュリティと監視
システムのスケーリング、負荷分散やクラウドサービスを活用したシステムの拡張。テストとデバッグ
自動化されたテストスクリプトの作成、バグ修正。
周辺職種(+αの経験があるか)
フロントエンドエンジニア
UI/UXの実装に直接関与し、バックエンドと連携してフルスタックのシステムを構築する。iOSエンジニア
モバイルアプリケーションのサーバーサイド部分を担当し、バックエンドと連携してアプリ全体を構築する。Androidエンジニア
同様に、モバイルアプリケーションのサーバーサイド部分を担当し、バックエンドと協力してシステムを構築する。インフラエンジニア
システム全体のインフラストラクチャを管理し、バックエンドエンジニアと連携して安定したシステムを提供する。
3-4. 「何」を褒めるのか? 〜まとめ〜
ここまで読み進めていただいた通り、「何」を褒めるのか?についてはご理解いただけたかと思います。ただ、「何」について、どういった項目があるのかをご紹介します。
基本情報
求職者さまの職歴に関する基本的な情報です。これによって、その方がどのような環境でどのようなツールを使い、どんな経験を積んできたのかを理解できます。
職務内容
求職者さまがこれまでどのような業務に携わり、具体的に何をしてきたのかを示す部分です。この情報は、求職者さまが実際に何を担当していたのかを知るための重要な要素です。
チームとリーダーシップ
ここでは、求職者さまがチーム内でどのような役割を果たしてきたか、リーダーシップ経験があるかどうかを確認します。チームをまとめたり、プロジェクトをリードする力があるかを見るポイントです。
業績と成果
求職者さまがこれまでに達成した具体的な成果や成功事例を指します。どれだけの成果を上げてきたかが、企業さまにとっては非常に重要な評価ポイントです。
スキルと能力
ここでは、求職者さまが持つ専門的なスキルや問題解決能力、どのようなツールや言語に精通しているかを確認します。実際の業務でどれだけの力を発揮できるかを見極めるための情報です。
周辺職種
求職者さまが経験した関連職種や、これまでに関わったさまざまな役割を指します。この情報は、求職者さまが多方面でどれだけ柔軟に対応できるかを評価する際に役立ちます。
3-5. 「どのように」褒めるのか?
前項までに「何」を褒めるのかについて説明しました。「何」がわかったら、次は「どのように」です。
「どのように」とは具体的な褒め文章の構成についてご紹介したいと思います。具体的には、
株式会社●●での管理職としての経験と●●データ分析を活かしたプロダクト開発、さらには短期間での売上達成に感銘を受けました。これらの経験は非常に貴重で、当社でも大いに活かせると感じています。
●●株式会社でのデータサイエンティストとしてのご経験、特に●●や●●を活用した機械学習システム開発と●●構築で達成された成果に感銘を受けました。これほどの成果を出された点が特に素晴らしいと感じています。
●●株式会社でのリーダーシップ経験、特に●●開発チームを率いて達成された成果と、顧客折衝やメンバーサポートでの影響力に非常に感心しました。これらのスキルが当社でも大きな価値を生むと確信しています。
このようなイメージです。では「どのように」褒めるのか?のパターンをご紹介したいと思います。
3-5-1. シンプルな肯定
「●●の経験を拝見しました。●●や●●での実績が非常に素晴らしいですね。」
3-5-2. 成果を強調
「●●で達成された●●という成果に非常に感銘を受けました。特に●●において、これだけの成果を出されたことは貴重です。」
3-5-3. 具体的な影響を示す
「●●の経験が、●●プロジェクトにどれほど大きな影響を与えたか、非常に印象的でした。●●においても、そのスキルが活かせると確信しています。」
3-5-4. 独自性を評価
「●●を用いた●●の開発に取り組まれていた点が非常にユニークで、他にはない視点をお持ちであることに感心しました。」
3-5-5. 専門性を強調
「●●の分野における専門知識が豊富であることに目が留まりました。特に、●●のスキルを駆使して●●を達成された点が素晴らしいです。」
3-5-6. 将来的な可能性を示唆
「●●のご経験から、当社の●●プロジェクトにおいても、同様の成功を収める可能性が高いと感じています。」
3-5-7. 総合的な評価
「●●社での●●経験、さらに●●の分野における実績と幅広いスキルセットをお持ちの点に強い魅力を感じています。」
3-6. 「なぜ」アプローチ
「何を」「どのように」褒めるかがわかったら、次は「なぜ」その褒め言葉が重要なのかを伝える方法です。ここでのポイントは、なぜそのスキルや経験に注目したのか、その理由をシンプルに説明すること。これによって、相手は自分の価値が認識されていると感じることができます。
例文:
「●●プロジェクトでのリーダーシップ経験に特に注目しました。当社のプロジェクトでも同じようなリーダーシップが求められているので、あなたの経験はまさにピッタリだと思います。」
3-7. 「比較」アプローチ
「比較」アプローチは、他の候補者さまと比べて、あなたがどれだけ特別かをアピールする方法です。このやり方は、求職者さまに自分のユニークさをしっかり認識してもらうのに効果的です。
ここでは、他の候補者さまにはないスキルや経験をピックアップして、それが企業さまにとってどれだけ価値があるかを伝えます。これによって、求職者さまに「自分が選ばれる理由」を強く感じてもらうことができます。
例文:
「多くの候補者さまを見てきましたが、●●分野であなたほどの実績を持つ方はいませんでした。あなたの経験は当社にとって非常に貴重です。」
3-8. 「共感」アプローチ
「共感」アプローチは、求職者さまが過去に経験した困難や成功に共感することで、彼らとの距離をぐっと縮める方法です。これにより、企業さまと求職者さまが同じ価値観を共有していることを感じてもらうことができます。
ここでは、求職者さまが直面したチャレンジやその乗り越え方に共感することで、彼らの努力や成功がしっかり評価されていることを伝えます。相手にとって「理解されている」という感覚が生まれ、ポジティブな印象を与えます。
例文:
「●●プロジェクトでの大変な時期を乗り越えた経験に共感しました。当社も似たようなチャレンジを抱えているので、あなたの経験が大いに役立つと思います。」
3-9. 「ストーリー」アプローチ
「ストーリー」アプローチでは、求職者さまのキャリアを一つのストーリーとして描き、その中で企業さまがどのように新しい章を共に作っていけるかを提案します。これにより、求職者さまが自分の未来を具体的にイメージしやすくなります。
求職者さまのこれまでのキャリアを振り返り、次のステップとして企業さまでどのように活躍できるかを示すことで、彼らに「次に進むべき場所はここだ」と思わせることがポイントです。
例文:
「あなたのキャリアは●●からスタートし、●●まで発展してきました。次のステージとして、当社での●●プロジェクトがぴったりだと思います。」
4. カスタマイズ後半部分を深く探求してみる
本項は「後半部分」について、その理由と詳細を説明したいと思います。
4-1. カスタマイズ後半部分とは
本ブログで認識のズレが発生すると理解度が落ちると思うので、改めて説明をすると、カスタマイズ後半部分は「求職者さまの希望を当社であれば〇〇で叶えることができる」という箇所です。このカスタマイズ後半部分について詳しく説明をしていきたいと思います。
4-2. 絶対的に重要な「魅力設計」について
カスタマイズ前半部分と後半部分の違いは、後半部分は「企業さまの魅力」が文言化・整理されている状態であることが必要です。前半部分は、求職者さまのキャリアを褒める箇所を見つけて、うまく表現すれば文章になりました。一方で、後半部分は「求職者さまの希望」をきちんと明瞭にしなくてはならないのと、「希望を〇〇で叶えることができる」の「〇〇」の整理が必要になります。
1つずつ説明をして参りますので、ご覧ください。
4-2-1. 「企業さま(職種横断)」の魅力
当社では採用ブランディングというサービスがあるのですが、「採用企業さまの魅力の発掘・言語化・整理」と定義しています。つまり、御社が採用活動をするにあたって、職種横断の魅力がこれに該当します。
そのため、御社の営業職でも、経理職でも、マーケティング職でもエンジニア職でも感じていただける魅力のイメージです。
当社では、採用活動における魅力の分類(項目)を上記のように定義しています。これらの魅力を幅広く文言化することを指しています。
採用ブランディングについて詳しくお知りになりたい方は、上記ブログをご覧ください。
4-2-2. 「該当職種」の魅力
前項が「職種横断の魅力」である一方で、本項は「職種限定(該当職種)」の魅力だと思ってください。ご理解いただけるかと思いますが、御社の営業職で働く魅力と、エンジニア職で働く魅力は異なると思います。職種ごとに求職者さまの転職理由やインサイトが異なることが背景に存在します。
そのため、スカウトメールのテンプレート・カスタマイズ部分は、職種ごとに変化させる方が成果が出やすいことはご理解いただけるかと思います。
当社では、「TIM」と呼んでいるのですが、職種(ターゲット)のインサイトに対して解決することができるメッセージング(魅力)を設計することを念頭にサービス支援をしています。
蛇足ですが、「御社が打ち出したい魅力」と「求職者さまが求めたい魅力」にズレが生じるともったいないかと思います。そのため、「該当職種の魅力」と記載をしましたが、1つのスカウトメールのテンプレートで、たくさんの職種に対してスカウトメールをお送りしている場合は、効果が薄れる可能性も発生します。
4-2-3. 事実と魅力の違いを理解する
前項までに記載したことを着実に実行した場合、職種横断の魅力と該当職種の魅力が文言化されている状態であると思います。ただ、「魅力」の定義を誤認識してしまっていた場合、それは魅力ではないということになります。
皆さま、突然ですが「魅力の定義」を説明することはできますでしょうか?私は、
「魅力は、事実に相対比較観点・希少価値観点を加えたもの」
と定義しています。詳しくは下記ブログをご覧いただければと思っていますが、すごく恐縮な表現をすると、世の中に溢れている採用メッセージの95%は「事実」になっていると思っています。
こちらのブログで詳しい内容はご覧いただければと思いますが、せっかくスカウトカスタマイズ後半部分の設計をしたのに、事実のみの発信をしてしまっていたら、効果は半減します。事実を魅力に変換させるためには、少しの「塩・胡椒」を加えるだけで良いのです。ただ、これがなかなか皆さんできていない。確かに、ノウハウ(テクニック)は必要になるため、本項に記載がある内容は当社にお声掛けいただいた方が精度が高いものができると思います。
4-3. 希望の推測について
本ブログで前述させていただきましたが、各採用媒体で求職者さまの「希望」が明記されている場合とそうでない場合があります。そして、明記されている場合においても、「媒体が選択式」における希望の明記と「自由記入」における希望の明記があるため、これが非常に難しいです。いずれにせよ、求職者さまのこれまでの経歴を読んだ上で、希望を推測する必要があります。
ではどのように推測すれば良いのか?簡単にご紹介したいと思います。
まず、ユーザーから提供される求職者さまの「キャリア情報」をもとに希望を推測する必要があります。ただ、求職者さまの「現状の職務内容」と同じ職務内容は希望ではありません。そのため、「キャリア情報」の「上位互換」を希望することが多いです。
4-3-1. 専門性
現状のキャリアを活かしながらも、さらに専門性を深化したいパターン。例えば、現在の専門分野でさらに深い専門知識やスキルを習得したい、特定の技術や業務に関する資格や認定を取得したいなど。
4-3-2. 役職
現状のキャリアを活かしながらも、さらに高い役職の経験を積みたいパターン。高い役職とは、マネージャー、部長、執行役員など。
4-3-3. 給与・福利厚生
現状のキャリアを活かしながらも、給与・福利厚生の向上をしたいパターン。例えば、より高い給与や充実した福利厚生を求めている。成果報酬やボーナス制度が充実している職場を希望している、ワークライフバランスの改善をしたい(リモート/フレックスの自由活用)など。
4-3-4. 企業文化
現状のキャリアを活かしながらも、企業文化・職場環境を変更したいパターン。例えば、自分の価値観に合った企業文化や職場環境を求めている、多様性やインクルージョンが進んでいる職場を希望しているなど。
4-4. 希望を叶えることができる魅力の提示
本項(4. カスタマイズ後半部分を深く探求してみる)において、カスタマイズ後半部分をシンプルに作成するとなると、「求職者さまの〇〇の希望を当社であれば、△△において叶えることができる」ということです。ここでいう「〇〇」と「△△」は、本項で説明をしてきたかと思います。
ここまでお読みいただいた方は、既にお察しいただけているかもしれませんが、これを「表」などにまとめるとすごく便利です。表と言いつつシンプルの内容で良いと思います。例えば、左の列に希望の項目の記載があり、その右の列に「その希望を叶えるための魅力」が羅列されているイメージです。
5. スカウトカスタマイズ文章におけるAIの活用について
さて、最後に重要な話をしましょう。採用活動に携わる方であれば、感度が上がり始めている「AI」についてです。
まず単刀直入に申し上げますと、AIは、私たち採用業務に携わっている人間たちの半分程度の業務を賄うことができるようになる可能性を大いに秘めています。また、AIが得意なのは「繰り返し業務」になるため、本ブログで記載をしたスカウトのカスタマイズ文章の作成については、AIが得意としている分野になります。
ただ、本ブログで記載をしたカスタマイズ前半部分と後半部分の中で、具体的にどの箇所がAIが得意なのか?という話を最後にします。
まず、結論としては、カスタマイズ前半部分とのAIの相性は良いと思います。おそらく、さまざまな企業さまがこの領域に参入してくるでしょうし、2025年にはレッドオーシャンになる可能性があると思っています。ただ、本ブログで記載した通り、カスタマイズ前半部分は「職種」において抽出するポイントが異なります。また、「媒体」によって求職者さまのキャリアの記載の仕方も異なります。そのため、前半部分についてはAI化する可能性は大いにありますが、どこまで追求できるかというと、採用活動におけるプロフェッショナルの重要性が増すと思っています。
次にカスタマイズ後半部分についてです。本ブログで記載した通り、重要なのは「魅力の設計」と「希望の推測」です。特に私が重要だと思っているのは「魅力の設計」です。もし仮に、求職者さまの経歴や希望に応じて、カスタマイズ文章が書けたとしても、結局その企業さまが魅力的な文章の出力をできていなければ意味がありません。
また、採用活動に携わる皆さまは、肌で感じたことがあるかと思いますが、自社が求職者さまに提供できるカード(魅力)の数と質が高くなければ、スカウトメールの領域において勝つことは難しいと思われます。
結論としては、AIで対応できる部分もあるでしょうし、さらに細かい専門的な、プロフェッショナルなノウハウが必要になる領域も多分に発生するのは必至と言えるでしょう。
6. ポテンシャライトとスカウトカスタマイズとAIの相性の良さ
当社はこれまで採用活動における各業務をとことん追求して参りました。ノウハウは言語化し続けましたし、ブログにもアウトプットしております。そのため、当社がどのように業務を実行しているのかについて、俗に言う「業務設計」は解像度高く実行しており、ノウハウも充実しています。
また、当社の「採用ブランディング」サービスは、これまで300社弱に提供して参りましたが、この経験は今後AI時代においても必要な情報であると思っており、当社としてはアグレッシブにこれからも採用のノウハウを作り続けたいと思った次第です。
最後に
皆さんいかがでしたでしょうか。
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