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スタートアップだからこそ導入してほしい「アジャイル人事制度」という概念
「スタートアップの人事制度はどのように設計すればよいのでしょうか?」
「攻めなくてはならないこのタイミングで、どのくらいの粒度の人事制度をつくれば良いのでしょうか?」
というご質問をいただくことが増えてきました。
人事制度の設計は各企業にカスタマイズ性を持たせる必要があり、一概に他社様の真似をしてうまくいくものではありません。
そして、「スタートアップ」において人事制度の必要性、タイミングなどは明確な答えはなく、かつどのように設計/運用すればスタートアップに適しているのかを考えた結果、当社もしくは当社のお客様にはこちらを提案させていただいております。
「アジャイル人事制度」
本ブログでは、アジャイル人事制度についてお話しできればと思っています。
1. アジャイル人事制度とは
アジャイル人事制度を語る前に、まず「アジャイル」について理解をしなくてはなりません。下記をご覧ください。👇
上記はアジャイルとは何かを記載しています。
そして下記をご覧ください。👇
アジャイル組織とは?という内容を記載しています。これはポテンシャライトの定義を記載しています。
さらに下記をご覧ください。👇
上記の通りですが、アジャイル人事制度とは「運用しながら変化(変更)し続ける人事制度のあり方」と定義しています。
なぜこの「在り方」に辿り着いたのか。わざわざ明言する理由は何なのかを書きたいと思います。
2. アジャイル人事制度に辿り着いた背景
この人事制度のあり方に辿り着いた背景を2つお話ししたいと思います。
2-1. 日本の人事組織系ノウハウ/人事制度の在り方への疑問
皆さん、Googleで「人事制度 設計」「人事組織 ノウハウ」と検索してみてください。いろいろなウェブページにたどり着くかと思うのですが、内容を拝見すると、決して昨今の働き方のトレンドを考慮した内容にはなっていないことをご理解いただけると思います。
そして、やや昔の日本の働き方の在り方、企業としてのあり方を念頭に書かれている記事が多いことをご理解いただけるかと思います。
昨今のスタートアップの会社のあり方と、過去に活躍した会社のあり方は異なる部分が多分にあります。それにもかかわらず、過去の人事組織系ノウハウや人事制度ノウハウを参考にするのは好ましくない手法なのではないかと個人的には思っています。そのため、そもそも全くもって新しいあり方である人事制度を構築したほうが、当社にとっても当社のお客様にとっても良いと考えたのです。
☝️ ちなみにポテンシャライトはカナダにある企業様の人事組織系(人事制度)の在り方を参考にしています。日本の既存のノウハウは正直古く、参考にしにくいことが多いと感じています。
2-2. スタートアップは規模感/フェーズによって求められる人材/能力が変わってくる
規模感がある企業とスタートアップの大きな違いとしては、組織の拡大スピードと求められる役割かと思います。
組織が10名の段階、30名の段階、50名の段階、100名の段階で活躍する人材や求められる能力は変わってくることをなんとなくご理解いただけるかと思います。ただ、仮に30名規模で人事制度を策定したと仮定すると、30名時点の企業にはフィットしていても、その倍である60名規模の企業において適切な人事制度になっているかというとそんなことはありません。かつ100名にもなると会社のあり方はさらに変わってきます。そうなると、30名時点で策定した人事制度に歪みが生まれてくる事は免れない事実で、そのタイミングで人事制度のあり方を変えていなければさらに会社はあらぬ方向に向いてしまうこともあるかと思います。
そして、当社の話を少しすると2021年3月に第5期目がスタートしており、設立初年度、第二期目と比較すると会社のフェーズ感やノウハウ、評価をした概要は大きく変わってきました。当社の規模感でこのような事象が発生しているのであれば、30名以上になってくる企業様はさらに歪みがあるはず、そう感じているのです。
3. アジャイル人事制度に至ったヒント
この人事制度のあり方に至ったヒントは、当社内部のカルチャーと、当社クライアント様の仕事の進め方でした。
3-1. 当社のカルチャー
「とにかくスピーディーにチャレンジをして、進めながら改善していこう」というポテンシャライトのカルチャーがあります。6割完成させたらリリースをして、改善しながら進めたほうがスピードも速いですし、最終的に理想とする地点にたどり着くのは早い、という考え方です。
この内容を「deploy driven」と表現しており、過去にプレイドさんが掲げていたバリュー(?)だと記憶しているのですが(現状は掲げていない?)、これは当社が大事にしているカルチャーとほぼ同義だと考えています。
この考え方は(当社のカルチャー)が、アジャイル人事制度に至った背景の1つです(下記はポテンシャライトメンバーに伝えたスライドの一つです 👇)
3-2. クライアント様のエンジニアリングカルチャー
ポテンシャライトが採用支援する企業の大半がテックベンチャーです。それが故にエンジニアの方とコミニュケーションをとる機会が多いのですが、ウォーターフォール型の開発ではなく、アジャイル開発/スクラム開発に取り組んでいるケースが多いです。
開発を進めるにあたり、長時間かけて企画/設計を行うウォーターフォール型の開発がある一方で、数週間単位でスプリントを設定し、早いスパンでPD CAを回すアジャイル開発/スクラム開発があることを知り、後者の手法にものすごく共感をしていました。
スモールスタートをして、早いタイミングで効果検証し続けていく、このやり方自体が何事にも、仕事においてポテンシャライトっぽいと感じておりました。この進め方自体を、人事制度運用において適用したいと考えたのです。
3-3. 人事制度に全社員が納得している会社は皆無
人事制度を自社で本格的に設計する上で、いろいろな企業様のいろいろな方々にヒアリングをしてみました。そこで気づいたのは、「会社の人事制度に100%納得している人(個人)は少ない」「複数名のヒアリングをすると全員が100%納得してる事はほぼ皆無」という実情でした。
もちろん全社員が納得いくような人事制度を作ることが人事の仕事かと思いますが、限りなく難しいです。
では、なぜ難しいのか。たくさんの理由がある中で、1つ気づいたのは「実際に導入してみないとうまくいくかわからない」ということです。どんな仕事もそうだと思います。計画を立てて/戦術を立てて実際に動いてみないと、うまくいくか分かりません。もはやうまくいかないことの方が圧倒的に多いかと思います。
人事制度の策定経験のあるプロフェッショナルが日本に少ない中で、全社員が納得ができる人事制度を一発で作成する事は奇跡的なことだと思ったのです。そのため、人事制度を実行しながら毎回検証して、運用していくことが重要だと考えたのです。
4. アジャイル人事制度ってどんな感じ?
具体的にどのようなイメージなのかを記載した図を下記します。
こちらは当社社員に、アジャイル人事制度のイメージができるよう作った図になります。当社は半年に1度の評価を行うのですが、評価時に違和感を感じることが多いです。
どんな違和感かと言うと、
「実際に評価をしてみると思った以上に厳しい評価結果となってしまった」「体感的にはAさんを評価したいのに、Bさんの評価が高くなってしまった」
「この評価項目はもはや必要なのかという疑問が出てしまった」
「実際に評価してみたが、評価者も評価対象者も納得感がない」
おそらく人事制度を導入している会社は避けて通れない道かと思います。すごく議論を重ねて年次評価項目を適用し、実際に運用してみたらすぐに穴が見つかる。これは間違いなく起こる事象だと個人的には思っています。
そんな中で、「せっかく決めた人事制度だから」と言う固い意志を持って数年間/10年間、同じ人事制度(評価項目/割合)を続けるのは、もはやナンセンスだと思っています。
そのため、ポテンシャライトでは下記を念頭に運用しようと考えています。
- 半年に1度、評価の項目/評価の割合と経営陣を中心にディスカッションしてみる。
- ただ、大幅に変更することはしない。微修正のイメージ。
- ただ、業務スキル評価/バリュー評価/ヒューマンスキル評価は、評価項目が変動する可能性は高い。
5. 社員に発表してみて、反応はどうだったか
概ね良い反応だったと思っています。
ただ、当社のカルチャーとして「やりながら修正していこう」が全メンバー認識しており、かつ浸透していることもあり、違和感を感じるメンバーが少なかったのかもしれません。
そのため、このアジャイル人事制度という考え方に共鳴いただいて、導入する場合は、そもそもの自社のカルチャーを文言化して、社員にきちんと浸透させることができていたら、問題なくスムーズに共感してもらえるのではないかなと感じました。
6. やはり人事施策は一本の線につなぐべき
改めて感じたのですが、採用/人事組織型の施策は1本の線につながるはずです。
今回は「人事制度」という領域についてお話ししましたが、この人事制度についての「思想」が独立してしまうと、うまくはいかないかと思います。
前項でお伝えした通り、アジャイル人事制度が当社に納得感があったのは「カルチャー」の文言化をしており、社員に浸透していたからだと思います。また「カルチャー」は会社のMVVが影響していることが多く、特にバリューに紐付いていることが多いです。
何が言いたいかと言うと、会社が一番達成したい目標/思想がMVVだと思うのですが、それに紐付いた形で経営戦略があり、事業戦略があり、採用戦略があり、また人事全般の戦略があるかと思います。これは一本の線でつなげることができ、その上で人事制度のあり方を考えるべきだと。
マネージメントもエンゲージメント構築も、リファラル採用も全て同じだと思います。すべてを同じ線につないで考えていく。その結果として、当社は「アジャイル人事制度」が適切だと判断し、導入したと言う話をご認識いただければ幸いです。
最後に
皆さんいかがでしたでしょうか。
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今後も採用/人事系のアプトプットを続けていきます。
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