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「1次面接調整率が低い」という事象を真相的に課題解決をしてみる

「1次面接設定率が低く、取り組むべき施策は取り組んでいるのですが、なかなか改善しません」

そんなご相談をよくいただきます。
採用活動に携わっていらっしゃる方であれば、一度はこの問題に直面したことがあるのではないでしょうか?
せっかくスカウト返信があったのに…。
せっかく書類選考通過したのに…。
1次面接の調整がなかなかできません。調整率を上げるために施策を打って、実行する。ただなかなか上がらない。

本ブログでは、「1次面接調整率が低い」と言う問題について、表層的な課題解決ではなく、その原因を追求していったところ、様々な原因が明瞭になった、と言う話をしていきたいと思います。




0. 1次面接調整率が低いことを解決する表層的な施策について

本ブログでは、これまでとは異なるアプローチの説明に時間をかけたいため、最初に「表層的な施策」について説明をしていきたいと思います。皆さまは、1次面接の調整率が低い場合、どのような施策を投じますでしょうか?

結論としては、こちらのブログに細かく記載をしているのですが、合理的な施策がたくさんあります。例えば、

  • 書類、選考結果を提示するスピードを上げる

  •  1次面接調整メールのテンプレートをリッチにする

  • 返信がない候補者に追いかけ連絡をする

これらがよく発生する施策です。すごく合理的で、むしろこの3つの施策で前進をするイメージも湧きます。ただ、これらの施策を投じたのにもかかわらず、物事が前に進まないことも発生します。そんな事例を本ブログではご紹介する内容になっています。

では、話を前に進めましょう。


1. たくさんの施策を打ったのにもかかわらず、調整率が改善しない

前項目でご紹介をした施策、細かく申し上げると、上記でご紹介をしたブログに書いてある施策の多くを投入したのにもかかわらず、物事が好転しない場合があったとします。

なぜなのか?

正直、打つ手なし!と感じてしまうかもしれません。そんな中、様々な企業さまで、僕はこのような質問をするようにしています。

「候補者さまを受け入れる現場の方々は、本当に採用したいと思っているのでしょうか?」

採用目標人数はほとんどの場合、経営が決めます。
現場の事業部長クラスが決めている場合もありますが、その場合は、割と大規模の企業さまであることが多く、実際に採用をした候補者とともに、仕事をするのは「現場の方々」になります。そのため、現場の方々が採用の人数や必須要件を決めていることがそこまで多くはありません。
そんな中、現場の方々が本当に採用をしたいと思っているのか?と言う問いについては、必ずしも「イエス」と言うわけではないことが多いと思っています。

少し話を拡散させると、現場の方々は人事評価における「目標」があることが多いと思います。その目標を達成しなければ自分の評価は上がらないでしょうし、そして年収も上がりません。
一方で、採用面接やその候補者を受け入れた入社オンボーディングなどの項目をそのまま人事評価の評価項目になっていることはほとんどないのではないでしょうか?
つまり、現場の方からすると、「自分の人事評価とは直結しない業務を担当している」と、無意識的に、潜在的に思ってしまう事は、割と当たり前なことではあります。

ただ、採用面接はある程度ポジティブに捉えていただける現場の方が多く、なぜならば「シンプルに自分も経験してみたい」と面接官側を担当してくださる方も多くいらっしゃるのですが、それが回数が多くなると「負担」になります。そうなると、「面接するのはいいけれども、この候補者のレベル感だと面接をしてもお見送りになってしまう可能性が高いなぁ」と言う気持ちが発生したりします。つまり、現場の方からすると「ドンピシャの候補者」しか面接をしたくないと言う思いが発生してしまったりします。

本ブログをご覧いただいている経営陣の方々は、「いやいや、ビジネスを前に進めるために、面接はきちんと主体的にやってくれ」と思うかもしれないのですが、それぞれの立場で、それぞれの役割・目標が発生している中で、立場が産む認識のギャップはよく生まれることではあります。
何を申し上げたいかと言うと、このパターンにおいては、「現場の方々が面接日時調整率を意図的に下げているパターン」といえます。

誤解がないように申し上げると、これは現場の方が悪いと言ってるわけでは一切ありません。むしろ現場の方の気持ちはすごくわかります。ただ、この気持ちを人事側が知らずに、「面接をきちんと調整してください!」と現場の方が言われたら、気持ちが離れてしまうと思うのです。それを理解している会社・人事でなければ、本質的な課題解決にたどり着くことはできないと思っています。


2. カレンダーをブロックすると言う施策

面接の調整率が下がった場合、面接官のカレンダーを事前にブロックして、そこに面接の枠として設定しよう、と言う施策がよく発生します。
※この施策について、悪いと言ってるわけでは一切ないのでご認識まで。

この施策を実行した場合、面接日時調整の枠が事前に確保されるため、場合によっては1次面接の調整率の改善がなされることもあります。一方で、補足をしておくと、昨今の超売り手市場の環境である中で、仮にわずかな調整枠が準備されていたとしても、結果的に調整ができなかったと言うことも多くあり得ます。話を戻すと、カレンダーをブロックして、結果的に現場の方の面接数が増えた、と言う場合、「思った以上に現場の業務が前に進まなかった」と言う副次的な問題が発生することがあります。

ただ、現場の方からすると、面接の数が多くなったとしても、事前に決められている業務の量や目標が下がるわけではありません。そのため、結果的に業務時間が増えます。稼働している時間が長くなる故に、少し疲弊が始まることもあります。それが不平不満を発生させる1つの要因にもなりえます。

少しネガティブな話をしてしまったのですが、これらの問題を解決をするために何をすべきなのか?そして、何がこの問題を発生させているのか?については、各役職・立場の認識のギャップをなくすことが筆頭だと個人的には考えています。どういうことかと言うと、

経営陣の視点からすると、
「ビジネスを成長させたい」
「ミッション/ビジョンを達成したい」
「競合他社を凌駕するスピードで成長したい」
と言う思いが強いため、採用活動に対してのコミットは非常に高い点、そして採用人数にもコミットしたい、と言う気持ちが非常に強い。

現場の方々の視点からすると、
もちろん採用活動は前向きにしたいと思っているが、現場の業務も高い目標設定をされている。仮に採用活動の業務をしない場合でも、達成するかどうか微妙な目標設定なのにもかかわらず、採用活動が+オンされてしまうとさらに厳しくなってしまう。

人事の視点からすると、
採用人数の達成が自分たちの人事評価になっている。むしろ、それが自分たちが会社にいる存在意義だったりするので、なんとしてでも、どんな手を使ってでも採用活動をうまく成功させる道を模索している。

これらの3者間において、様々な役職や立場が生んだ、絶妙な入れ子構造が発生しています。これは当たり前のように発生する構造で、この3者間において、お互い自ら本音で対応することはもしかしたら少ないかもしれません。

昨今においては、ベンチャーキャピタルと言う存在があり、資金を投資してくれているわけです。そのため、特に経営陣については、いつまでにどの程度の売り上げを作らなくてはならないと言う目標を、外部の方々と握っている可能性もあり、コミットも強くなってると思います。ただ、その経営陣の立場における視点・意見を、現場の方々が正確に把握できているかと言うと、そんなこともありません。と言うような歪みが発生していたりします。

本項目においては、「カレンダーをブロックすると言う施策」から話を遷移させながら説明して参りましたが、これらはよく発生している事象ではあると思っています。
何が言いたいかと言うと、1次面接調整率を上げるための施策はたくさん投資してきたけれども、一向に状況が改善しない場合については、もう少し状況を俯瞰的に把握した際に、このような入れ子構造が発生している可能性があるということ、これ自体の把握をするべきでしょうし、ただここの観点を持つことがどうしても難しい、と思っています。

1次面接調整率を上げるための施策が、この3者間できちんと対応することから始まる、と言う施策までたどり着くのは、もしかしたら長い道が必要かもしれませんし、むしろこの施策にたどり着いたとしても、その施策を実行すると言う勇気と決断がしにくい人事の方もいらっしゃるのではないでしょうか?


3. では、どうするのか?

抜本的な解決策と言うよりは、このような観点を持っておくと解決する施策が思いつく場合がある、と言うご紹介をしたいと思います。

3-1. インテグラル理論

詳しくは下記のブログをご覧ください。

インテグラル理論において、僕が素晴らしいと思っているのは、様々な「象限」に分類をしてアプローチを体系的にできるところです。個人と集団と言う軸、そして内面と外面と言う軸が存在しており、どうしても自分が考えやすい・得意な象限で、物事を考える癖が、人間には無意識的にあると思っています。
これを知ることによって、「自分はインテグラル理論のどの象限にいるのか?」等、客観的に自分の意見を捉えることができます。

オーセンティックワークス様:四象限分析の活用例(ケース:若手の離職が増加し続けている)

この画像において、僕の解釈をお伝えすると、

  • 左上の象限は、個人コーチングの方

  • 左下の象限は、組織コンサルタントの方

  • 右上の象限は、能力主義のフリーランスの方

  • 右下の象限は、経営コンサルタントの方

自分の得意領域や専門領域において、物事を語るのは当たり前のことなのですが、どこかに偏ってしまっても本質的ではないでしょうし、本ブログは採用活動におけるブログになるのですが、採用活動を前に進めるために、自分が問題解決者なのであれば、どの象限で今発言をしているのか、考えているのか?については、客観的に把握する必要性があると思っています。

3-2. システム思考

システム思考について詳しく知りたい方は書きをご覧ください。

システム思考が素晴らしいのは、論理的思考能力を飛躍した考え方であること。また、「感情」を1つの要素として問題を体系的に捉えることができることだと個人的には思っています。

また、システム思考に慣れてくると、「自分が直面していた目の前にある問題の、根本的な原因が自分にあった」と言うことも本質的に理解することができる場合もあります。
つまり、1次面接の調整率が低い理由が自分が根本的な原因であったと言うシステムを書くこともできます。このループ図が完成すると、アハ体験というか、強烈な気づきを得ることができると思います。

3-3. メンタルモデル

メンタルモデルについては、下記ブログをご覧ください。

なぜ、このタイミングでメンタルモデルに触れるかと言うと、採用活動における様々なタイミング・フェーズの中で、様々な役職や職種の方とコミニケーションを取ることになると思います。その際に、コミュニケーションを取る相手のメンタルモデルをなんとなく認識しておくと、会話をスムーズに理解することができます。

例えば、僕には「器が小さい男」と言うメンタルモデルがあるのですが、どうしても「自分が器が大きい男と演じてしまう」癖があるので、それをメンバーが知っておいてもらうことによって、「あ、もしかしたら山根さん、今メンタルモデルが出た上での発言なのかな」と認識してもらうことができたりします。例えば、1次面接調整率が低いと言う課題について言及してる本ブログの中で、調整率が低い理由についてメンタルモデルが起因する場合もある、と言うことです。

3-4. NVC

NVCについての詳しい説明は下記ブログをご覧ください。

NVCを知っていれば、1次面接調整率が上がると言うわけではもちろん無いのですが、採用活動に携わっていらっしゃる様々な方とコミニケーションを取るにあたり、NVCにおける観察、行動、感情、ニーズの概念を知っておくことによって、「今相手の感情が動いているのは、何のニーズが満たされていないからなのかな?」とアプローチをすることができます。ちなみに、僕個人の最上位のニーズは「愛情」なのですが、極端な言い方をすると、僕がイライラなどのネガティブな感情となるのは「愛情」が感じられていない場合であり、僕が嬉しいと感じるのは「愛情」と言うニーズが満たされていた時であるとなんとなくわかっています。

人間は、イライラしたときの「行動」は人それぞれです。また、嬉しいときの「行動」も人それぞれであり、何か感情がポジティブなり、ネガティブなり、発生したときの行動は異なるのですが、ただ、ポジティブやネガティブなどの感情が発生したときに、満たしている・満たされていないと言うニーズは共通だったりします。

相手がイライラしていると言う事実に対して、自分と共通しているニーズが満たされていないと理解することができれば、歩み寄ることもできる場合もあるのかなと思っています。

3-5. 文脈観点

これを瞬時に察知することのハードルは非常に高いのですが、ここまで考えることができれば、個人としてもそのグループとしても、視野が非常に広がるのではないか?と思っています。

直接的に文脈についてのみ説明をしているブログでは無いのですが、こちらのブログは参考になるので、詳しく知りたい方はご覧ください。

文脈とは、それまでの関係性における変遷のようなイメージです。
例えば、ロシアとウクライナにおいて今発生している事は皆さんご存知かと思います。どちらが悪いのか?と言う議論をする前に、おそらく2つの国には僕らが想像を絶するような文脈が存在しているはずです。この2つの国同士の文脈もあるでしょうし、それぞれの国の独自の文脈も紐付いているはずです。僕らが「あの人が言っている、取り組んでいる言動は理解できない」と言う思いが発生する場合は、その方の文脈を理解していないことが理由の1つだったりすることも多いです。

なぜあの人は、朝早く会社に来るのか?
なぜあの人はいつも不機嫌そうな顔をしているのか?
なぜあの人はその口癖があるのか?

については、文脈が起因していることも多くあります。
その「時点」のみにスポットを当てると理解はできないけれども、一方で「文脈」を知ることによって納得ができる事はすごくたくさんあったりします。


最後に

いかがでしたでしょうか?
僕は理系出身で、割と合理的なタイプな方なのかなぁと自認しています。
(最後は感覚で決めるタイプではあるのですが。)

本ブログで記載をした内容は、インテグラル理論に記載をした通り、合理的な話と内面的な話を掛け合わせていたり、個人の話と集団(学校・チームや組織)の話を組み合わせていたりしています。

これらを組み合わせることによって、やはり個人的な視座は広がるでしょうし、目の前にある解決できない問題を解決する別のアプローチを取ることもできるでしょう。

皆さんいかがでしたでしょうか。
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