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面接見極めで非常に重要な「深掘り質問」の解体新書

「面接における見極め方がよくわからないのですよね」

こんなご質問・ご相談を毎日のように頂戴しています。まず結論としては、面接の見極め(選考の仕方)は非常に難しいです。おそらく体系的に学んだことがある人は少ないのではないでしょうか?

私も、これまで人材業界で約6年間仕事をしてきましたが、面接には「謎の自信」を持っています。根拠はない自信で、「自分は見極め能力がそこそこあるだろう」と思っている人間です。ただ、いざ「良い」と評価していた人材が入社したら、思ったように活躍しなかったという経験は山ほどあります。

そんな中で、日々トライ&エラーをしながら選考しているわけですが、その見極め方について本ブログではご紹介したいと思います。

※本ブログの「4-3.(重要) 深掘り質問の項目について」以降が新しいテクニックですので、基本的なことをご存知な方は、その項目からご覧いただいても良いかもしれません。




0. 事前に知っておくべきこと

本ブログは、体系的に、包括的に皆さまにノウハウをご紹介したいため、選考(面接)に取り組むにあたって、事前にいくつか知っておいていただきたい内容を記載します。

0-1. 面談・面接には「見極め」と「引きつけ」が存在する

まず、この2つの違いを理解しなくてはなりません。見極めとはいわゆる「選考」をすること。引きつけとは「口説き」のことです。「面接」という言葉を聞くと、いわゆる選考要素が高い場だと認識されがちですが、昨今の超売り手市場の世の中でいわゆる「引きつけ」の重要性が日々高くなっています。むしろ、少子高齢化が続く今後の日本においては、「引きつけ」の重要性がさらに高まっていくだろうと考えています。本ブログは「見極め」に寄せた内容になりますので、ご認識ください。

0-2. 見極め項目ピラミッド

「いざ、見極めてみよう!」と意気揚々と面接に挑んだとしても「何を」見極めれば良いのかわかりません。

  • コミュニケーション力

  • ロジカルシンキング

  • 営業力

  • プログラミング力

  • 素直さ・謙虚さ

たくさん要素がありますよね?ただ、上記の5つの項目についても、「大項目」で整理すると下記のように並べることができます。

こちらのスライドは当社がよく用いるスライドなのですが、上に行けば行くほど「後天的に身に付くもの」としています。御社の見極めにおいては、このピラミッドのどの項目を重点的に見極めていくのか?は、共通認識を持っておいたほうが良いでしょう。


1. 面接で見極めるべきことと、機械で見極めるべきことについて

まず声を大にして言いたいのですが、求職者さまがもし話を「誇張」「過大表現」をしていた場合、「面接」の場においてそれを見極めることは不可能だと思ってください。例えば、

  • 「このプロジェクトは、僕も参加していて、主体的に物事に取り組みました」

  • 「このプロジェクトは、社長の〇〇さんが主導で動いていて、僕が取り組んでいたのは、社長が取りまとめていた文章の誤字脱字のチェックでした」

この2つの文章を見ていただきたいのですが、「嘘」は両方とも言っていません。この前者と後者を見比べていただけるとご理解いただけるかもしれないのですが、仮に「前者」であった場合、この「プロジェクト」がとてつもなく大きなプロジェクトであった場合、あなたはどんな評価をしますでしょうか?一方で、「後者」であった場合、同じようにあなたはその候補者さまのことをどのように評価されますでしょうか?

おそらく前者は「そこそこやっていたのだな」という解釈をして、後者は「重要なことにはほぼ関わっていないアシスタントの役割だったんだな」という解釈をすると思います。面接ではこのようなことが頻発しています。現に当社もそうかもしれません。当社では「チャレンジアサイン」を実施することがあります。つまり、メンバーの能力を超えたパフォーマンスを発揮できなければ、その顧客・プロジェクトに太刀打ちできない場合、まずはアサインをして上長や経営陣がそのフォローアップをします。この場合、大げさな言い方をすると上長や経営陣が9割ほどプロジェクトリーディングをすることもあります。ただ、面接で「〇〇株式会社の支援をしていました。」と言っていた場合、それは「支援をしている度合い」を詳細に確認しなくてはなりません。ただ、面接時間は一般的には1時間です。一つ一つのプロジェクト・仕事に対して詳細に確認する事は、現実的に考えてほぼ不可能と言えるでしょう。

何を申し上げたいかというと、「面接」の場で全てを見極めようとするのは諦めていただいた方が良いと思います。もちろん、百戦錬磨の面接の達人の方は可能かもしれませんが、面接に慣れていない方、いや言い換えると面接を5年間継続している方がもしいらっしゃったとしても、絶対的な精度が高い「見極め」を面接のみで実行することは難しいと言えるでしょう。

前置きが長くなりました。
「面接のみ」で見極めるのではなく、他にどのような手法があるのでしょうか?見て参りましょう。

1-1. 適性検査

まず、適性検査は確実に実施したほうが良いです。なぜならば、私たち面接官が100%その人材を見極めることは不可能に近いからです。本ブログでは「どの」適性検査が適切なのか?という話は詳しくしませんが、いくつか私のお勧めの適性検査はご紹介します。

適性検査を導入する目的は「ダブルチェック」だと私は思っています。どういうことかというと、前述した内容と矛盾しますが、面接において「見極め」はすると思います。例えば、

「この候補者さまは、ベンチャー特性があって、チャレンジングで前のめりですごく良い印象を受けた。合理と調理のバランスが優れており、大胆さと繊細さの両方を持ち合わせている気がしていて、すごく良い感じだった。地頭も良さそうだし、ロジカルシンキングにも長け、足も動かせるし、戦略なども立案できることを期待したい。」

このような高い評価があったとします。これを適性検査で「ダブルチェック」していくイメージです。

 1-1-1. Attelu

前項でご紹介した「見極め項目のピラミッド」の「価値観」を明瞭にしてくれるツールです。

こちらは私の結果です。ご覧いただけるとご理解いただけるかもしれないのですが、「コミュニケーション力」「ロジカルシンキング」などの直接的な「人間力」についての評価はありません。ちなみに、価値観と人間力の違いは、価値観は「尺度で良し悪しがない人間的な要素」と私は定義しています。そのため、「素直さ・謙虚さ」は人間力に該当します。なぜならば、素直さと謙虚さを持ち合わせている人間のほうが確実に良いと私は思っているからです。

 1-1-2. ESP

ESP (Evaluation of Star Performer) 診断とは、市場価値基準からビジネス資質(ビジネスポテンシャル・ビジネスセンス)とストレス耐性を分析する診断メカニズム。

私がESPが優れていると思っているポイントは、「価値観」や「人間力」両方を、ビジネスで活躍ができるかどうか?という点で見極めることができる材料を提供してくれることです。皆さまもご経験があるかもしれませんが、「コミュニケーション力」がいくら高かったとしても、必ずしもビジネスで結果を残せるわけではありません。「ロジカルシンキング・地頭」も同じ類です。いくら頭が良かったとしても、ビジネスで結果を出せるわけではありません。

そのように、私たちが無意識的に「良い」と思った候補者さまの「特定の要素」のみで見極めてしまうと、失敗してしまうことがあると思っています。一方で、このESPは「ビジネス偏差値」と言い換えることができ、当社もかれこれ4年ほど運用させていただいています。

 1-1-3. SPIなど

とは言いつつ、なんだかんだ重要なのが「頭の良さ」といいますか、情報処理能力とでも言いましょうか。SPI「など」と記載したのは、SPIを推奨したいわけではありません。いわゆる言語・非言語の「テスト」をするのは、一定必要だと個人的には思っています。なぜならば、皆さま、こんなご経験をお持ちではないでしょうか?

「すごく仕事ができると思って採用した人材が、仕事の処理スピードが非常に遅かった」

このパターンがなぜ生まれるかというと、面接でのパフォーマンスは良いのですが(コミュニケーションがメインですかね)、情報処理スピードが遅いというパターンかと思います。本件が発生すると、「ミスマッチ」と決めてしまう企業さまも多いように思います。

本項においては、適性検査・筆記テストについての記載をしました。ただ、適性検査・筆記テストと面接の場における見極めを実施したとしても、見極め切れない項目が発生します。その際に活躍するのがリファレンスです。

1-2. リファレンスチェック

詳しくは下記ブログをご覧ください。

私はこれまでリファレンスチェックの重要性をそこまで体感したことがありませんでした。ただ、結論としてはリファレンスチェックは非常に重要だと思っています。ブログの抜粋をしますが、リファレンスチェック「でなければ」確認できないポイントは多いと個人的に思っています。

  1.  その実績はあなた個人だけで創出したのか?

  2.  セルフコントロール

  3.  感情ランク

  4.  情報の取り扱い

  5.  本質的な素直さ/謙虚さ

ちなみに、こちらの箇条書きで記載をした内容について、おそらくどんな企業さまでも重要視したい内容なのではないでしょうか?皆さま、ブリリアントジャークという言葉は聞いたことがございますでしょうか?

私はこれまで、直近10年以上、取締役・代表取締役として勤務をしています。さすがに、ブリリアントジャークのメンバーが入ってきたとしても、私に直接的に悪影響を及ぼす事はありません。人事評価の評価者ですし、私にあえて悪い事は言ってこないと思います。一方で、これまで社会で仕事をしてきた中で、あるメンバーが別のメンバーから口撃をされていることを耳にすることもあります。口撃を受けたメンバーは、最初は「大丈夫です」と言うのですが、それが続いて退職に至る、ということも発生することがあります。そして、日々の業務の生産性が低くなる要因になったりするので、それは組織の癌のように残り続けることもあったりします。

「リファレンスチェックを嫌がる求職者さまもいますよね。」

この質問はよくいただきます。ただ、「リファレンスをお願いできる方が社内にいない」という時点で、危ないと思った方が良いかもしれません。

本項では、「必ずしも面接だけで見極めなければならない、というわけではない」というお話をさせていただきましたが、適性検査・筆記テスト、リファレンスチェックなどを活用しながら、ミスマッチが起きないように見極めることが重要だと思っています。


2. 求める人物像の策定

「よし、早速面接で見極めてみるぞ!」

と、前のめりになる姿勢を、もう少し抑えて、次に取り組むべき事は「求める人物像の策定」です。

面接・選考する際に、よく起こってしまうのは、面接官の「主観」が多分に含まれることです。当たり前ですが、人間には好き・嫌いが存在します。また、「自分自身の成功体験」に照らし合わせて、目の前にいる候補者さまが自分と同じ成功体験を持っていたら、印象が良くなる、などの様子が度々発生します。

最もわかりやすいのは「部活動」でしょうか。例えば、私は小学生の頃からサッカーをしていました。そのため、サッカー部に所属していた候補者さまはなんとなく好印象になります。自分自身と同じ苦悩を味わってきたのかな?と考えると、なんとなく感情移入して、「良い」と潜在的に思ってしまったりします。そして、これを「無意識的に」実行してしまっていることが、大きな落とし穴となります。

話を戻します。
「求める人物像の策定」についてはどのように実施すれば良いのか?

こちらをご覧いただければと思うのですが、ある程度ステップを踏んで実行する必要があります。1つ朗報としては、求める人物像策定は、「バリュー(行動指針)」と近しいアウトプットになることも多いです。そのため、自社のバリュー(行動指針)が不明瞭である場合、求める人物像と同様に策定していくのは、個人的には効果的だと思います。しかし、各職種別の求める人物像までこだわりたい方は、バリューと求める人物像を分けたほうが良いでしょう。なぜならば、バリューは職種別に作ることはそこまで多くなく、求める人物像を少なからず、職種別に策定する必要性が生まれることがあるからです。

本ブログでは、求める人物像策定について詳しく説明する趣旨ではないため、一旦このあたりの内容で止めたいと思います。


3. 求める人物像を「見極めるための質問」について

前項の「求める人物像策定」を終えた前提、でお話しましょう。例えば、求める人物像が5つの項目で形成されたとしましょう。

  • チャレンジ・成長意欲

  • コミュニケーション力

  • ロジカルシンキング

  • リーダーシップ

  • ユーザー思考

仮にこの5つになったとした場合、「さぁ、見極めてみよう」と意気込んだとしても、どのようにそれぞれの求める人物像の項目を見極めれば良いか分かりません。そのため、オススメなのは、「求める人物像の各項目を見極めるための質問」を作っておくことです。

例えば下記のようなイメージです。

チャレンジ・成長意欲

  • これまでに取り組んだ最も大きな挑戦について教えてください。その過程でどのように成長したと感じますか?

  • 自身のスキルや知識を向上させるために、最近取り組んだことや学んだことは何ですか?

  • 失敗した経験がある場合、その失敗からどのような教訓を得て、次にどう活かしましたか?

コミュニケーション力

  • 難しいプロジェクトやタスクでチームメンバーと意見が対立した場合、どのように対処しましたか?

  • 相手に自分の考えを効果的に伝えるために、普段心掛けていることは何ですか?

  • 以前、他者とのコミュニケーションが原因で問題が発生した経験があれば、その状況とどのように解決したかを教えてください。

ロジカルシンキング

  • 複雑な問題に直面したとき、その問題をどのように分析し、解決策を見つけましたか?

  • データや事実に基づいて意思決定を行った具体的な例を教えてください。

  • 新しい情報や状況の変化に対して、どのように対応し、論理的に考えを進めていきますか?

リーダーシップ

  • 過去にリーダーシップを発揮した経験を教えてください。その際に特に意識したことは何ですか?

  • チームメンバーがモチベーションを失ったとき、どのようにリーダーシップを発揮してチームを再び奮い立たせましたか?

  • リーダーとしての失敗経験がある場合、その失敗から学んだことと次にどのように活かしたかを教えてください。

ユーザー思考

  • ユーザーのニーズやフィードバックをどのように収集し、それをプロダクトやサービスに反映しましたか?

  • ユーザー視点を重視した提案や改善を行った具体的な事例を教えてください。

  • ユーザーからのネガティブなフィードバックに対して、どのように対応し、問題を解決しましたか?

このように設定しておくと、それぞれの求める人物像を見極めるための質問として、面接官が意識することができるため、非常に効果的です。

3-1. 求める人物の各項目の「要素」について

先ほど5つの求める人物像の項目を記載しました。ただ、それぞれの項目の抽象度が非常に高いと思います。前項で求める人物像の策定についてご説明しましたが、求める人物像の「粒度」が細かければ細かいほど、面接で有利な質問をすることができます。その場合にお勧めなのは、求める人物像の各項目に対して「要素」を書き出してみることです。

例えば、

チャレンジ・成長意欲

  • 新しい知識を自ら学ぶ姿勢

  • 困難に粘り強く取り組む力

  • 失敗から学び、次に活かす積極性

コミュニケーション力

  • 相手の意見を尊重し傾聴する力

  • 情報を分かりやすく伝えるスキル

  • 適切なフィードバックを提供する柔軟性

ロジカルシンキング

  • 問題を分析し根本原因を特定する力

  • データに基づいた意思決定力

  • 仮説検証を通じた解決策の発見

リーダーシップ

  • チームを導くビジョン設定能力

  • メンバーをエンパワーメントする力

  • 困難に冷静に対処する決断力

ユーザー思考

  • ユーザーのニーズを深く理解する能力

  • フィードバックに迅速に対応する力

  • 継続的な改善意欲

このようなイメージです。

ここまで要素を細かくしておくと、求める人物像の各項目を見極めるための質問も鋭利にしやすいかもしれませんね。


4. 見極め「手法」について

お待たせいたしました。本ブログの主題に入りたいと思います。ここまでの状況を整理しましょう。

  • 面接・面談には見極めと引きつけが存在する

  • 見極めは面接のみで行うのではなく、適性検査やリファレンスチェックも活用する

  • 面接見極めの前に求める人物像の設計が必要

  • 求める人物像の各項目ごとに、適切な質問が必要

  • 求める人物像の各項目ごとに、要素があると鋭利な質問ができる

ここまでステップを踏むと、次は見極め「手法」について言及ができます。まずは教科書のようなお話をしてみましょう。

4-1. 構造化面接について

「面接 見極め手法」と検索すると、必ずヒットするのがこの構造化面接です。

構造化面接
「構造化面接」とは、あらかじめ設定しておいた評価基準・質問項目を基に、手順通りに進める面接のことです。「誰が面接官であっても、同じように面接を進められる」ことが、構造化面接の特徴です。

非構造化面接
「非構造化面接」とは、質問項目をあらかじめ用意せず、面接官が自由に質問を行い、評価する面接手法のこと。構造化面接とは、正反対の面接手法です。

半構造化面接とは|構造化面接・非構造化面接との違いや質問例を解説

4-2. STAR面接について

前項と同じように検索をしていると、このSTAR面接にたどり着くことも多くあります。

STAR面接とは?
STAR面接は、応募者が「過去にとった行動」についての質問を掘り下げていく面接手法です。そのため、「行動面接」と呼ばれることもあります。

「STAR」とは、「Situation(状況)」「Task(課題)」「Action(行動)」「Result(結果)」の頭文字を取ったもの。この4つの観点で過去の行動を深掘りすることで、どのような状況に陥った時、どのような思考プロセスを経て、どのような行動をとる傾向にあるのかなどを把握できます。

STAR面接は、GoogleやAmazonでも導入されていると話題になり、注目を集めました。

誰でも応募者を深掘りできる面接フレームワーク│STAR面接とは?

4-3.(重要) 深掘り質問の項目について

まずこちらの図をご覧ください。

本ブログは順序立てて説明して参りましたが、「求める人物像の策定」に加えて、その「要素」が重要という話をしました。なぜかというと、求める人物像の「詳細さ」と「見極めの難易度」は、反比例の関係にあります。もし仮に求める人物像が「粗い」と、面接における見極めが困難になります。なぜならば、見極める質問の角度を様々にしなければならなかったり、面接評価をする解釈の度合いが大きくなるからです。

一方で、求める人物像が「詳細」であれば、その詳細な情報に当てはめながら見極めることができるため、見極めの難易度は優しくなります。

4-4. 「規定質問」と「深掘り質問」について

だいぶ話を具体的にすることができてきました。面接・選考において質問は2パターンあります。それぞれ説明して参ります。

規定質問とは
事前に会社が決めている、もしくは事前に面接官個人が決めている質問のこと

深掘り質問とは
求職者さまの回答に対して深掘りをする質問のこと

前述した「3」は、「規定質問」の一部を記載しています。求める人物像のそれぞれの項目に対して、規定質問を設けることによって、面接官は迷わずに面接を進めることができます。

一方で、ある規定質問をしたとして、求職者さまの「回答内容」に不足がある場合がほとんどです。その場合「深掘り」をしなければなりません。面接はこの「深掘り」が非常に重要であると考えています。

繰り返しになりますが、求める人物像を詳細に作り込めば作り込むほど、見極めの難易度が下がります。そのため、構造化面接のように「規定質問」をして、一問一答のように面接を進めるタイプの企業さまもいらっしゃいます。これには反対意見は一切ありません。それがその企業さまのポリシーであり、おそらく構造化面接をしているのであれば、求める人物像の詳細さもあるのではないかと思っています。

一方で、最後は面接官の「主観」に頼らざるを得ないと思うのですが、その主観において「できる限り、正確な選考をするために」、この深掘り質問のテクニックがあると良いでしょう。詳しくは次項で説明をします。


5. 深掘り質問について

前項で「規定質問」と「深掘り質問」の違いを説明いたしました。本項では深掘り質問について詳しく触れて参ります。

5-1. あなたは日常でどのような深掘り質問をしていますか?

深掘り質問は面接のみで活用できるテクニックではありません。私たちは日常生活で深掘り質問を多数しています。例えば、コミュニケーションをとっている相手が下記を話していたら、あなたはどのような深掘り質問をしますでしょうか?

  • 今日は中華料理にしたんだよね

  • 先週末、京都に旅行に行ったんだよね

  • 今月、重めのプロジェクトが終わったんだよね

  • 最近、新しいプロジェクト管理ツールを導入したんだよね

それぞれ別の方が、別の話題を挙げているとご認識ください。わかりやすく申し上げますと、「夜に飲みに行った知人が話をしていた」というシチュエーションを想定しましょう。つまり、夜に一緒に飲みに行った人が上記の4つの言葉を言っていたとしたら、あなたはどのような「深掘り質問」をしますでしょうか?

例えば、

  • 今日は中華料理にしたんだよね

    • 中華料理の何を食べたのですか? (具体性)

    • 誰と食べたのですか? (体制)

  • 先週末、京都に旅行に行ったんだよね

    • 楽しかったですか? (結果)

    • どのような場所に行きましたか?(詳細)

  • 今月、重めのプロジェクトが終わったんだよね

    • 大変な分、成長できましたか?(結果)

    • どのような役割でしたか?(役割)

  • 最近、新しいプロジェクト管理ツールを導入したんだよね

    • どのような課題を解決するためにツールを導入したのですか?(課題)

    • どのように社内に導入推進をしたのですか?(アプローチ方法)

このような深掘り質問が想定できると思います。誤解がないように申し上げますと、こちらは何が正解というわけではありません。日常生活をする上で、これらの会話に「意図」を持っている方のほうが少ないかと思います。本項でお伝えしたい事は、日常生活におけるコミュニケーションの深掘りと、面接における深掘りはそこまで観点は変わらないということです。

5-2. 深掘り質問の種類について

先に結論を記載しましたが、この4つが「深掘り質問」の種類になります。これを見ると「確かに」「なるほど」とそこまで意外性は無いかと思います。なぜならば、私たちは日ごろからこの深掘り質問を無意識的に使っているからです。ただ、「深掘り質問の種類はいくつありますか?」という質問を、こちらの図を「見ていない」前提でいただいた場合、おそらく4つも回答できる方が少ないかもしれません。繰り返しになりますが、私たちは無意識的に深掘り質問をしているからだと個人的には解釈しています。

これらの深掘り質問の「種類」を認識したところで、どのような場合にこれらの深掘り質問を使い分けるべきなのか?について説明していきたいと思います。

5-3. 各深掘り質問の詳細説明

こちらも先に結論からお伝えいたしました。詳細に表にまとめましたので、こちらをご覧いただければ、なんとなくご理解いただけるかと思います。

ただ、1つポイントがあります。これらの10の各深掘り質問について、10も存在していた場合、どの深掘り質問をして良いか、瞬時に判断することが難しいかと思います。そこで、優先順位を設定したとともに、重要度が高い質問を分類してみました。

個人的には、上位4つの深掘り質問があれば、面接・見極めはほぼ成り立つのではないか?と思っています。もちろん細かい部分まで見極める場合は、様々な深掘り質問を駆使すべきかと思っていますが、そもそも1時間程度の面接の中で、1つの規定質問に対して10も深掘り質問ができるわけではありません。4つ質問をしたとしてもものすごく時間を使います。そのようにご認識いただければと思います。


6. 深掘り質問トレーニング

当社には「面接見極めトレーニング」というサービス内容がありますが、実際に深掘り質問を実施するトレーニングがあります。さすがに、その事例を全て公開することは難しいのですが、ただ一部内容を公開してみたいと思います。

6-1. 事例の公開

下記をご覧ください。

上のスライドの冒頭に「面接における質問」の記載があり、それ以降は「その質問への回答」とご認識ください。いずれもテキストで記載があります。このような質問・回答があった場合、あなたはどの「箇所」に「どのような深掘り質問」を投げかけますでしょうか?

意外と難しかったのではないでしょうか?ちなみに私であれば、

こちらの深掘りをするかと思います。繰り返しになりますが、深掘り質問は何が正解か?というわけではありません。ただ、必ず押さえなければならないのは、前項で説明をいたしました4つの深掘り質問です(必ず押さえた深掘り質問と表現した質問群です)。

6-2. 深掘り質問は「求める人物像」を見極めるために存在すること

前項で記載をしたトレーニングを実施すると、皆さま一生懸命取り組みます。ただ「目的」について、盲目となってしまうことがほとんどです。あくまで深掘り質問の目的は「求める人物像を見極めること」になります。仮に、御社の求める人物像が「コミュニケーション力」「素直さ・謙虚さ」「ロジカルシンキング」だとしましょう。その求める人物像には「要素」が存在し、見極めなければならない内容の解像度が高い。その場合、求める人物像の要素に合致するかを見極めるための「深掘り質問」と前提を揃えると、深掘り質問の種類が限定しやすくなります。

また、これは1つのテクニックですが、「特定の求める人物像」のみを見極めるために、どのような深掘り質問をするのか?という前提で思考すると、圧倒的に深掘り質問が思い浮かびやすくなります。例えば、「ロジカルシンキング」だけを見極めよう、と決めて深掘り質問をしていくのであれば、必然的にどのような深掘り質問をするのかが決まってきます。何も目的がなく、求職者さまの話を理解するために、もしくは個人的な興味・関心に合わせて深掘り質問していくことは重要度がそこまで高くないことをご理解いただけたかもしれません。

6-3. 映像でのトレーニング

前述した「テキスト」でのトレーニングではなく、実際に「映像」でのトレーニングになります。当たり前ですが、映像になると難易度は格段に上がります。ただ、格段に上がるという「認識」ができただけでもポジティブだと思ってください。なぜならば、私たちが日々面接で、とてつもなく「適当」に実施していたことが理解できるからです。

どういうことかというと、この面接見極め・トレーニングのステップを踏んでいくと、映像での面接の難易度が非常に高いことを理解することができます。ただ、なぜこれまで多数の面接を実施してきたのにもかかわらず、「難しい」と本質的に感じることができなかったのか?その答えは、繰り返しになりますが「目的」が薄かったからになります。もちろん、「面接における見極めをする」という大目的はあるかもしれませんが、一つ一つの「規定質問」や、それに付随する「深掘り質問」の意図が薄いのだと思います。


7. ポテンシャライトが実施する面接見極めトレーニングについて

直近でサービスの需要が急増している「面接見極めトレーニング」ですが、ニーズをお持ちの企業さまはお気軽にお問い合わせください。

私自身は、人材業界の経験が長く、面接・面談は非常に多くの件数をこなしてきました。「面接・面談には謎の自信」を持っており、なんとなく経験と勘で実行してきました。ただ、私以上に面接・面談の経験がない方々は「面接見極め」のスキルをもちろん多分に持っているわけではなく、このような機会をいただくことが多くなり、私自身の頭の中にあることを文言化することによって、すごく有意義な内容に仕上がったと考えています。

話が長くならないように記載しますが、VUCAの時代において面接ミスマッチは今後増えると思います。なぜならば、少子高齢化によって採用企業側の選考ハードルは下がり、採用の質の低下を招くと予想しているからです。そのため、こちらはご興味があればぜひご依頼いただければ、有意義な内容を提供できるかと思っておりますので、お気軽にご連絡くださいませ。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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