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発達段階 × 魅力項目における重要度の違い

「採用活動における魅力で、社会課題の解決について、響く方と響かない方がいるぞ」

そんな気づきを得たのは最近のことでした。
「自社の事業が社会課題の解決に携わっている」と言う魅力訴求は、採用活動において提示をすることが割と多いです。

ただ、社会課題の解決文脈に関して、興味関心をお持ちではない方と、興味をお持ちいただける方で、明確に分かれることがなんとなく感じておりました。

「価値観の違いか?」と感じていたのですが、どうやら違うのではないかと感じましたので、本ブログの執筆に至っています。




0. 採用ブランディングとは

採用ブランディングとは:
採用活動における魅力の「発掘」「言語化」「整理」

採用活動において、採用企業がどのような魅力を発信するのかは非常に重要です。採用活動の成否を分けると言っても過言ではないかと思います。
この採用ブランディングの支援をさせていただくにあたり、当社としては出来る限り魅力訴求の「カード」をたくさん準備しておきたいのが本音です。そんな中、「その企業さまが発信している内容」のみの訴求では、範囲が限定されるため、その企業さまが発信(お話し)していない内容を訴求内容として提示することが多かったりします。

0-1. IFAとは

下記ご覧ください。

I:Important (重要であること)
F:Fact (事実)
A:Attract (魅力)

IFAは当社が作成した造語です。
「事実」をただ伝えるのではなく、「比較」「希少価値」を加え装飾をする。≒ 「魅力」に変換する。魅力が「重要」であることを伝えることにより、求職者さまにとっての企業選びの軸を新たに形成することができる、という内容をアウトプットしたものとなります。

誤解がないように表現したいと思うのですが、このIFAのA(魅力)とI(重要性)については、採用企業が発信(お話)されていないことを、僕らが「追記」することも多かったりします。なぜならば、企業さまが発信(お話)されている内容だけでは、魅力と重要性が不十分な場合があり、企業さまに合意をとって、当社が独自にそのエッセンスを追加することがある、と言う意味です。前項で「その企業さまが発信(お話)されていない内容を追記する」と言う表現をしましたが、前述した背景があります。

0-2. 話の文脈について

「文脈」という言葉を検索してみると「コンテキスト」という言葉が出てきます。その言葉の意味を調べてみると、

人が形成する文脈で、その企業の従業員の間で暗黙に了解されている慣習や状況に応じたルール・定石などを指す

DIAMOND ハーバードビジネスレビュー

という説明文が出てきます。

2023年頃から「文脈」と言う言葉を使うことが増えたのですが、採用活動においても、人材開発や組織開発においても非常に重要なキーワードだと思っています。
少し大胆な言い方をすると、

「僕らの目の前にいま広がっている世界・景色は、文脈がそのようにさせている」

これを理解できると、自分の見えてる景色が変わります。自分が今触れているもの、ことについては、基本的には「今」発生していると言う感覚に近いと思います。ただ、今、僕らがこの世界に存在していること、今その企業に在籍している事は、「あなたの文脈」がそうさせていると考えると、別の見え方が発生するのではないでしょうか?

そして、「文脈」は、採用活動における魅力訴求にも使うことができます。
例えば、製造領域に特化したSaaS企業があったとしましょう。解決している課題は、製造領域における、ある業務課題だと思うのですが、目の前にあるわかりやすい課題を解決していることはもちろんのこと、その「目の前にあるわかりやすい課題」はどのような文脈が発生させたのか?と考えてみると、様々な文脈が存在していることに気づくことがあります。

例えば、

・少子高齢化
・物価の上昇
・地球温暖化
・貧困の増加
・木材費の高騰

これらが背景となり、その製造領域に特化したSaaS企業はネガティブな影響を受けている、そんな話が成立した場合、その企業が解決している課題(目の前に存在しているわかりやすい課題)ではないと言えるのではないでしょうか?

Aさんは「製造業界の業務課題を解決しています」と言っているとして、
Bさんは「日本の未来を明るくするために1つ障壁になっている社会課題を解決しています」と言っていた場合、どちらが壮大な夢を追いかけているのか?これはBさんの方なのではないでしょうか?


1. 「社会課題解決文脈」を採用活動における魅力訴求として使う

SDGsやサスティナビリティと言うキーワードが出始めてから数十年経過していますが、小学校・中学校・高校の教育においても、そのようなキーワードが頻繁に飛び交うような世界になって参りました。義務教育中にも、そういったキーワードのインプットをしている子供たちが、もう新卒1年目、2年目になってきています。そのため、働く価値観の変化は当然のように起きており、就職活動において会社を選ぶ軸としても「社会課題の解決をしているのか?」がその1つになることも多く目にしています。

そんな中で、「自社の事業内容が社会課題の解決に寄与している」と言う事象については、採用活動における魅力に大いになっていると言っても過言ではないと個人的には思っています。

そのため、これは僕の所感に過ぎませんが、2025年時点の20代前半から中盤の方々は、社会課題の解決をしていると言う文脈が当てはまる企業さまへ、自分が勤める会社の選択肢の1つに選ぶ事は多くあります。

一方で、別の角度で話をすると、僕の所感としては年齢層で言うと、40代以上の方々は、社会課題の解決に関心をお持ちの方が多いと感じています。40代以上になってくると、子供がいらっしゃる方も増えますし、「未来の自分の子供のために」と言う話をする方も多くいらっしゃいます。なるほど、子供ができると価値観が変わるんだろうなぁと思っていたのですが、その限りではないとも思っています。

そんな中、当社が採用ブランディングの支援をさせていただくにあたり「社会課題解決文脈」を入れて、お客さまにご提示したところ、すごく共感していただける場合と、そうでない場合が、割とわかれる傾向にあるなぁと思っています。

これが本ブログのメインの課題になります。


2. 成人発達理論との出会い

成人発達理論とは:
「私たちの知性や能力が一生をかけて成長を遂げていく」という考えのもと、人の発達プロセスや発達メカニズムを解明する学問であり、発達心理学という心理学領域の一部に位置付けられます。

オーセンティックワークスさんのHPより

先日、こちらのブログを執筆したのですが、その文中に「発達段階ごとの感じているポイント」を記載しました。そちらを抜粋して下記いたします。

▼ 発達段階3.0:受動的な問題解決

  • 感じ方:

    • 問題の原因を外部に求める。

    • 「返信率が低いのは、ターゲットが悪い、景気が悪い、応募者の意識が低いからだ」といった視点になる。

    • 「どうしてこんなにうまくいかないのだろう?」と考えつつも、自分たちのやり方を根本的に疑うことはない。

  • 振る舞い:

    • 外部の権威や既存のやり方に頼る。

    • 他社の成功事例やテンプレートをそのまま導入する。

    • 例: 「とりあえず他社で成功しているスカウト文面をそのまま使ってみよう」といった改善策に終始する。

    • 改善が見られなければ、「この状況は仕方ない」と諦める。

▼ 発達段階3.5:主体的な最適化

  • 感じ方:

    • 「何かが間違っている」「やり方を改善すれば結果が変わるはずだ」と考える。

    • 他責的な態度を脱し、「自分たちでできる範囲で最適化すれば問題を解決できる」と捉える。

    • 問題を部分的に理解し、改善意識が芽生える。

  • 振る舞い:

    • 自分でデータを分析し、仮説を立てて具体的な改善を試みる。

    • スカウトメールの文面やターゲットリストを調整し、試行錯誤する。

    • 例: 「文面が長すぎるのではないか?」「もっとターゲットを絞り込もう」といった細部の調整に注力する。

    • チームメンバーと情報を共有し、意見を参考にして改善策を実行。

▼ 発達段階4.0:ビジョン駆動型の問題解決

  • 感じ方:

    • 「返信率が低いのは、採用活動全体の価値やメッセージが求職者に十分伝わっていないからではないか?」と捉える。

    • 目の前の数字にとどまらず、「この問題を通じて、自社や採用活動のあり方を見直すきっかけにできる」と考える。

    • 問題を「採用活動全体の意味」や「長期的な成長」に関連づけて理解する。

  • 振る舞い:

    • 採用活動の全体像を見直し、ビジョンや価値観に基づいてアプローチを再構築する。

    • 「求職者にとって魅力的なメッセージ」「採用活動を通じて伝えたい価値」などを問い直す。

    • チーム全体で「この問題をどう成長の機会に変えるか」を議論し、共通のビジョンを作る。

    • 例: 「スカウトメールだけでなく、採用ブランディングや企業の存在意義をどう表現すべきか?」を検討。

▼ 発達段階4.5:システム思考型の問題解決

  • 感じ方:

    • 問題を個別の事象として捉えず、「採用活動全体のシステムの中でどのような相互作用が起きているか」を考える。

    • 「スカウトメールの返信率が低いのは、ターゲット、メッセージ、採用プロセス、企業文化、市場環境など、複数の要因が絡み合っている結果だ」と理解。

    • 問題を採用活動全体の構造的な課題として捉える。

  • 振る舞い:

    • スカウトメールだけに注目せず、採用活動全体のプロセスを可視化・分析し、全体の最適化を目指す。

    • 例: 求職者がどの段階で離脱しているかをデータで把握し、メール文面、ターゲット選定、面接プロセスまでを見直す。

    • 「求職者のニーズ、社内のリソース、市場の変化」を統合的に考え、採用活動をシステム全体で再設計する。

    • 他部門とも連携し、採用活動を企業全体の戦略に統合する。

▼ 発達段階5.0:自己超越型の統合的解決

  • 感じ方:

    • 問題を「自社や採用活動が果たすべき役割」を問い直す機会として捉える。

    • 「スカウトメールの返信率が低いのは、自分たちの採用活動が社会や業界全体にどう影響しているかを見直す必要がある」という視点。

    • 問題を超えて、「採用活動の本質的な意義」「自社が採用を通じてどう社会に貢献できるか」を考える。

  • 振る舞い:

    • 採用活動を、「人材獲得の手段」から「社会や業界全体に影響を与える取り組み」として再定義。

    • 求職者、クライアント、自社、さらには社会全体の調和を目指し、採用活動を通じて新たな価値を創出。

    • 例: 「採用活動を通じて求職者がキャリアを主体的に考えられるような場を提供する」「業界全体の採用文化を変える」といった長期的な目標を設定。

    • 問題を超えた次元で、新たなモデルやフレームワークを構築し、社会全体に影響を与える活動を行う。

誤解がないように申し上げると、この理論を触れる際に注意をしなくてはならないのは、発達段階が後期であれば優れているというわけではないです。ご認識・ご了承ください。

話を戻して、こちらの理論を学んでいた際に感じることがあったのですが、成人発達理論に当てはめて考えてみた場合、発達段階によって見える景色が異なります。つまり、「社会課題の解決」に興味関心を、自分の原体験から紐付いて、本質的に感じることができるのは、発達段階が後期なタイミングであると感じています。そのため、前述した2025年時点の20代前半に該当する方は前述した背景で、社会課題の解決文脈に興味を持っていらっしゃいますが、先ほど僕が「40代以上」と言う年齢で表現したのですが、そうではなく、本項で、前述した発達段階に紐付けて考えると、腑に落ちました。

どういうことかというと、発達段階が後期になると、集団主義的な考えを超越し、自分のスキル中心的な考えも超越した先に、世の中を「システム」として捉える能力が身に付きます。

システム思考と言う考え方が、前述した「システム」と表現した言葉に合致するので、ご興味をお持ちの方は上記ブログをご覧ください。

世の中を「システム」として捉えるとはどういうことかと言うと、
今僕らが携わっている仕事については、すべてシステムでつながっている、
ロシアとウクライナが戦争してることが今僕らの仕事に影響を及ぼしている、
トランプさんが当選したことについても、僕らの仕事に影響を及ぼす可能性が十分にある、
組織の話に置き換えると、隣の部署の後輩が退職した理由は、自分自身が1年前にとったあの行動がシステムとしてつながっている(原因として)、というのがシステム思考の考えであり、

「世の中がシステムとしてつながっている」と言うのは、自分が所属している事業において、課題解決をしている「顧客」を本質的に幸せにするためには、めぐりめぐって「社会課題の解決」をすることが、目の前にいる顧客を本質的に幸せにすることなのではないか?

いや、むしろ自分の家族や子供を幸せにするためには、自分が所属してる企業の事業内容における顧客を幸せにすることと同時に、社会課題の解決をしなければ身近な人を幸せにできないのではないか?と本質的に気づくことができます。発達段階が存在すると言うこと自体を理解することが重要であると感じています。

何が言いたいかというと、「社会課題の解決」と言う文脈で本ブログを進めましたが、前述した各発達段階ごとの特徴を捉えた際に、「価値観」を超越した、魅力訴求のポイントがあるのではないか?と感じているのです。


3. 発達段階ごとに響く魅力項目

3-1. 発達段階について

まずは下記をご覧ください。

EverydayEvolutionさまのページ参照

上記の詳しい説明をしようとすると長くなってしまうので割愛しますが、この図(表)はSTAGESというテリー・オファロン氏の数十年にわたる教育経験と長年にわたる発達研究に基づいた人間発達のための最新の理論で、それをステップで記載をしたのが上記の図(表)です。
諸説ありますが、自分自身の発達段階がどのフェーズなのかはわからないということも多いです。

3-2. 魅力項目について

次に当社の魅力項目の図をご覧ください。

魅力項目(6P+SCMGODB)

詳しく知りたい方は下記ブログをご覧ください。

3-3. 発達段階ごとの重要視する魅力項目について

前述した「発達段階」と「魅力項目」を掛け合わせてみたら新たな発見がある、と考えた結果、下記を作成してみました。

発達段階ごとの重要視する魅力項目

最左の列に「魅力項目」を記載し、その右に「各発達段階における魅力項目の重要度」を記載しています。最右の列に補足説明をしています。
誤解がないように申し上げると、これは僕の主観で記入をしているのですが、そこまで大きくズレているわけではないと思っています(そう信じています)。

例えば、philosophyの重要度は発達段階が後期になればなるほど上がっていることがわかります。何度もしつこく申し上げますが、これは僕の主観ですが、そこまでズレていないかと思います(前述に続き2回目)。

3-4. 社会課題解決文脈は どのように響く魅力になるのか?

「社会課題解決文脈」が響く理由を掘り下げると、それは求職者の発達段階や価値観の変遷に深く関係していることが分かります。特に、以下のポイントが重要ではないでしょうか。

1. 「個人の成長欲求」と「社会とのつながり」を両立させる文脈
多くの人にとって、「自己実現」や「成長」は働く上での大きなモチベーションです。しかし、発達段階が進むにつれて、単なる自己実現を超え、社会や他者とのつながりの中で価値を発揮したいという欲求が芽生えます。「社会課題を解決する企業で働くこと」は、自分のスキルや経験が世の中に良い影響を与えていると実感できる、非常に満足度の高いキャリア選択になり得ると考えています。

2. 「社会課題」という共通言語の力
SDGsやサステナビリティが普及した現在、「社会課題」という言葉そのものが、特定のターゲット層にとって共通言語となっています。この言語が響く層には、企業の存在意義が「個々の課題解決」にとどまらず、より大きな社会の問題解決に結びついていることを示すことが有効だと思います。
特に若年層や中高年層の「社会的貢献への関心」を持つ人々に対しては、この文脈が企業選びの重要な軸として作用することが少なくありません。

3. 発達段階後期における「システム思考」の魅力
発達段階4.5以降では、物事を個別ではなく「システム全体の中でどう機能しているか」という視点で捉える力が発達します。このため、採用活動でも「自分がこの企業で働くことで、社会全体にどんな影響を与えるのか」という問いに魅力を感じやすいのです。
例えば、「目の前の業務課題」だけでなく、「業務課題の背景にある社会課題」を解決するための取り組みが、より魅力的に映ります。

4. 魅力訴求の実践方法
採用ブランディングの文脈で「社会課題解決」を訴求する際には、単に解決している課題を提示するのではなく、「なぜその課題が重要なのか」「その課題の解決がどう社会に貢献するのか」を深掘りして伝えることが重要です。
具体例として、「製造業向けSaaSを通じた効率化」を訴求する場合、「少子高齢化の中で限られた労働力を活用する」という視点を補足すると、社会課題解決としての意味がより明確になります。

結論として、社会課題解決文脈を採用活動で活用する際には、その文脈がどのような背景を持ち、どの発達段階の求職者に響くのかを十分に理解し、具体的に語る必要があります。

求職者さまにとって、この文脈が「単なる企業のアピール」ではなく、自分自身のキャリアの中で共感し、自分の価値観や目標と一致するものであると感じさせることができれば、それは非常に強力な魅力訴求になるのではないでしょうか。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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