ポテンシャライト流「バリュープロポジション」について
「会社の魅力のバリュープロポジションをどこにするべきなのかは考えていきたいですよね」
そのような言葉が自然と口から出てきたのが先日のことでした。
「バリュープロポジション」という言葉についても説明は後述するのですが、もしかしたら採用界隈にいらっしゃる方は聞き慣れない言葉なのかと思っています。僕は、Webやマーケティングの世界に入り込んでから聞くことが多くなりました。
本ブログについては、採用界隈におけるバリュープロポジションについての重要性と、その重要度が高い必然性を記載したいと思います。
0. バリュープロポジションとは何か?
採用活動におけるバリュープロポジションとは【「その企業独自」の採用活動における魅力のこと】と、このように僕は定義しています。
一般的に「バリュープロポジションとは」と検索をしてみると、もう少し固い内容の回答が出力されると思います。
バリュープロポジションとは、企業や製品が市場で競争優位性を持つために顧客に提供する独自の価値や利点を明確に示すものです。
うむ、なんとなくピンと来ないですよね。
もう少し採用活動に携わる方にわかりやすいように、バリュープロポジションが重要だと思った背景から説明したいと思います。
1. バリュープロポジションが重要だと思った背景
少し遠回りして説明します。当社ポテンシャライトが設立してから7年半が経過しました。当社の支援サービスは多数あるのですが、その多数ある支援サービスのバリュープロポジション(あえて使ってみました)である「採用ブランディング」があります。
採用ブランディングとは、採用企業の魅力の発掘・言語化・整理をすることです。皆さまもよくあるかと思うのですが、「採用活動においてどのような魅力を発信するべきなのか?」と言う悩みは常にあるかと思います。
その際に当社は「6P+CGM+tech」と言う採用活動における魅力のフレームワークを用いて採用企業の魅力を整理して参ります。この魅力項目は現状12存在しているのですが、魅力を「包括的に整理をする」と言う観点においては非常に良いアプローチができたと思っています。
ただ、この採用ブランディングを注力すればするほど、不足をしている感覚を覚えることがあったのです。まさに採用ブランディングの弱点とでも言いますか。
1-1. 採用ブランディングの弱点
前段で「採用ブランディングは包括的に魅力をまとめる」と言う表現をしましたが、魅力が高く、魅力項目ごとにまとまっている表としてアウトプットができるので、すごく頭の中が整理されている感を覚えることができます。ただ、下記のような問いに直面することがあります。
「結局、当社(採用企業)の最たる魅力は何だったのか?」
すごく気持ちはわかります。いわゆる採用企業における最大の魅力、そしてキャッチフレーズとして使う魅力は何なのか?これについての探求を個人的にもしたことがあったのですが、その最適化を強く意識することがこれまでできていなかったと反省しています。
1-2. なぜ包括的に魅力を発信することにこだわってきたのか?
採用マーケティングと一般的なマーケティングの違いは、「ペルソナをどこまで鋭利にするのか?」だと個人的には思っています。ペルソナを鋭利にすればするほど提供するメッセージングも鋭利になります。例えば「東京に住んでいる女性」と「下北沢に住んでいる女性」では圧倒的にメッセージが変わります。そのようにペルソナの限定度と言いますか、どこまで限定するのかは重要な要素になりえます。
ただ、採用活動においてペルソナを限定することは重要ではあるのですが、一方で、ペルソナ通りの求職者を採用できることは非常に稀です。結果的には、ペルソナと言うよりは「ターゲット」と言う表現をしますが、そのターゲットを広げつつ、採用する人材を見極めていくことの方が多いです。
何が言いたいかと言うと、採用活動においてはあらゆる求職者の希望やインサイトに提供できるようなメッセージングを準備しておく必要が個人的にはあると思っています。そのため、12の魅力の項目に対して、適切なメッセージングをそれぞれ準備をする、と言うことにこだわりを持って取り組んで参りました。
現に包括的に魅力をまとめることによるメリットも多数存在しています。
例えば、「魅力項目ごと」の採用、広報記事の作成、採用ピッチ資料の作成、採用動画の作成など、「魅力項目」を起点とした採用マーケティング施策を打つことができており、非常に有意義です。
一方で前述した問いに戻るのですが、「結局、自社の最たる魅力は何だったのか?」と言う観点においては、抜本的な最適解を提示できていなかったことを反省しています。
2. バリュープロポジションはどのように設計・選定されるのか?
繰り返しになりますが、バリュープロポジションは「その企業独自」の採用活動における魅力のことです。ただ、「その企業独自」と言うポイントについて、どのようにアプローチして、設計・選定すれば良いのでしょうか?
こんなブログを執筆したのは早2年ほど前なのですが、本ブログと同じような内容を記載しています。こちらのブログに記載がある下記スライドをご覧ください。
大雑把に説明すると、上記のスライドに記載がある「青色」がバリュープロポジションになります。ただこの説明だと乱暴ですので、もう少し詳しくアプローチしていきたいと思います。バリュープロポジションの手法について説明いたします。
2-1. 採用競合調査
ありきたりなスタートではありますが、まずその企業が募集している職種に従って、どのような採用、競合企業が存在しているのかを調べます。ポイントとしては、「事業競合」と「採用競合」は異なること。
事業競合については、経営企画や事業企画、部長クラスの方が毎日のように競合の動向をウォッチされているかと思うのですが、その事業競合とは異なります。
採用競合は他業種に範囲が広がります。例えばエンジニアの事例で言うと、これまでは同じ業界のエンジニアをウォッチしていればよかったのですが、今は大手企業さまがDX推進をするために募集を開始していたり、非IT企業が社内SEを募集したりしています。そのため、Web業界のエンジニア求人のみをウォッチしていればよかった採用市場において、どこもかしこも競合になってきたようなイメージです。
これは採用市場以外でも同じことが発生していますよね。
例えばドトールコーヒーがあります。これまではスターバックスや、森コーヒーなどをベンチマークされていたと思うのですが、コンビニでもコーヒーが飲める、マクドナルドでもコーヒーが飲めるようになりました。僕も、カフェでコーヒーを飲むこともあれば、コンビニでコーヒーを飲むこともあります。そのため、ドトールコーヒーのマーケティング・ PR担当の方は、10年前とは全く異なるバリュープロポジションを探さなければならなくなってきていると思います。
話を戻しますと、採用競合企業がどのような発信をしているのか?については出来る限り調査する必要があります。
2-2. 自社の採用活動における魅力の整理
本項が当社が実施している「採用ブランディングサービス」に該当します。その企業の魅力を、魅力項目ごとに整理をしていく作業です。
しかし、ただ項目ごとに情報を羅列していけば良いわけではありません。ここで非常に重要なのが「事実」と「魅力」の違いについてです。
詳しくはこちらをご覧いただければと思うのですが、もし御社が魅力ではなく、事実のみを発信しているタイプの企業であれば、採用活動がうまくいってるのは偶発的なのかもしれません。
本項のタイトルとして「魅力」と言う言葉を使いましたが、この魅力の捉え方が間違えてしまうと、ただの事実になり、あまり意味をなさないため、その点についてはご注意ください。
また少しレベルが高いのですが、こちらのブログもご覧いただけると良いと思います。本ブログではこちらについての内容を詳しく説明はしませんが、IFAというフレームワークを用いて、
「そもそも御社が発信している魅力は、ターゲットとなる求職者にとって重要度が高いのか?」と言うアプローチです。
仮に、あなたの転職活動の軸がミッションやビジョンであった場合、採用企業のPRをしたい魅力が福利厚生であったとします。この場合、求職者と企業の希望「項目」にギャップが生まれます。
このギャップは採用市場で毎日のように無数に発生しており、このギャップを埋めなくてはなりません。
売り手市場の世の中ですから、求職者の希望に寄り添わなくてはならないと言う前提条件を加えると、この場合で言うと、採用企業側が「あなたにとってなぜ福利厚生が重要なのか?」と言うアプローチが必要になります。これがIFAでいうimportant観点です。
本項目についての議論は非常に深いです。
一方で、前項で記載をした「採用競合企業」が今僕が説明をした事実と魅力の違いやIFAなどを強く意識をした情報(魅力)の発信ができているかと言うと、すごく恐縮ながらほとんどできている会社を見たことがありません。
そのため、本項で記載をしている自社の魅力の整理と言う観点においては、記載をした2つのブログを忠実に表現すれば、自動的にバリュープロポジションが見つかる、そんなこともあったりするのです。
2-3. 求職者が求めている魅力
最後に、「御社がターゲットとしている求職者が求めている魅力」についてです。
これまで、「採用競合企業」と「自社」と言う項目において、魅力を整理しようと言う話をしました。つまり「採用競合企業が発信していない魅力で、自社が発信できる魅力」については、必然的に優先度も上がります。
一方で、そこで抽出できた魅力が「求職者が求めていない魅力」であったとしたら、効果は半減します。
例えば、5000円で金粉が入ったラーメンを作るお店があったとしましょう。おそらく競合ラーメンショップは金粉なんて入れないでしょうし、その金粉を売りにしたラーメンと言う技術を自社の魅力にしようと捉えた際に、これは2つの項目は網羅することになります。
ただ、ユーザとなる僕らは5000円もかけてラーメンを食べようなんてあまり思えませんよね。こんな感じです。
すごく極端な事例を記載したのですが、このような事象が実は採用市場でも発生しています。そのため「求職者が求めている魅力」と言う観点の重要度は高いです。
こちらのブログは、求職者のインサイトに沿ったメッセージング(魅力)をきちんと設計しようと言う意図で作られた内容です。本項でお話ししている事は、このブログに記載されておりますので、ぜひご覧ください。
ただ、ここで1つ課題が発生します。
それは「ターゲットをどこまで鋭利にするのか?」ということです。
本ブログでは「バリュープロポジション」と言う表現をしていますが、このバリュープロポジションの「適用範囲」が重要になります。
例えば、会社全体の全職種におけるバリュープロポジションを指しているのか?企業の「営業職以外」と言う職種限定のバリュープロポジションを指しているのかによって、アプローチ方法が異なります。
もちろん、募集をしている各職種におけるバリュープロポジションの設計をできるとベストですが、これは割と大変です。
もし仮に、全職種に適応することができるバリュープロポジションを見つけていこうとする場合、ターゲット(求職者)を鋭利にし過ぎてしまえばしまうほど、偏ったバリュープロポジションになってしまうので、その点については注意が必要です。
2-4. バリュープロポジションの「選定」
ここであえて「選定」という言葉を使いました。
本ブログで記載をしているバリュープロポジションをあぶり出す作業は非常に難易度が高いです。なぜならば、採用競合調査を実施する工数もかかりますし、何より、自社の魅力の発掘・言語化・整理についての難易度も非常に高いです。僕個人的には、後者の難易度が非常に高いことを実感しています。
そのため、バリュープロポジションをあぶり出す際に、必須であり、重要度が高いのは「自社の魅力の発掘・言語化・定義」だと思っています。
そして、「選定」と前述した背景は、この採用ブランディングにあります。
どういうことかと言うと、採用ブランディングを実施することにより、魅力項目ごとの情報(魅力)の整理ができます。当社は、各企業における採用ブランディングの文言化について、多い時は15,000字程度でまとめるのですが、魅力は「十分にある」と言うレベルに達します。ここまで魅力を細かく整理すると、「新しく魅力を設計しよう」と言うわけではなく、「今、この場で整理ができている魅力からバリュープロポジションを「選定」しよう」と言う観点になります。
そのため、採用活動におけるバリュープロポジションをあぶり出すにあたり、個人的に非常に重要度が高いのは採用ブランディングだと思っておりますし、採用ブランディングができれば、その魅力の羅列から「選定」をするテクニックさえあれば、うまく進めることができるのではないか?と思っているのです。
3. バリュープロポジションの選定の詳しい手法
とは言いつつも、どのようにバリュープロポジションを選定していくのか?個人的に実施をしているアプローチを記載します。
3-1. 採用競合における簡易的な採用ブランディングの実施
当社の魅力項目に従って、採用競合企業がどのような発信をしているのかを魅力項目ごとに整理します。ポイントは「魅力項目ごとに」整理をしてみることです。
もちろん、その企業が十分に魅力項目ごとに発信ができているのか分かりませんが、僕らが調査しきれない内容を求職者が魅力として捉える事はほとんどありません。もちろん、カジュアル面談や面接で魅力を理解することもありますが、それは後述したいと思います。
ただ、これには膨大な工数がかかるのですが、当社が開発したChatGPTが非常に活用できると思います。詳しくお知りになりたい方はご連絡いただければ幸いです。
3-2. エージェントさまへのヒアリング
少し他力になってしまいますが、様々な採用活動に触れているエージェントさまの意見は貴重です。
自社における採用競合企業は、エージェントさまがご存知である場合も多く、その採用競合企業はどのように魅力をPRしてるのか?について質問してみます。すると回答をいただける場合もあるので、ぜひ実行いただけるとうれしいです。
3-3. 当社のような採用ブランディング支援企業
ここが当社の最も大きな強みになるのですが、これまで270社さま程度の採用ブランディングに入って参りました。そのため、どのような業界の企業が、どのような発信をしているのかと言うノウハウを持っています。
そのため、形成的にどのような魅力の希少価値が高いのか?についてはジャッジすることができます。前項で記載をしたエージェントさまへのヒアリングでも一定の理解ができるかと思うのですが、
当社は特定の企業さまに対して10,000字以上の採用ブランディングの魅力取りまとめを行いますので、さらに解像度が高く、バリュープロポジションの抽出のお手伝いが可能だと思っています。
3-4. 採用企業のメンバーからの意見
非常に重要なのが、その採用企業に所属しているメンバーが「どのような観点でその企業への入社を決めたのか」ということです。
入社理由についてはバリュープロポジションである可能性があり、もちろんそのメンバーの転職理由なども関係して参りますが、参考になる事は間違いないです。
また、営業の方やカスタマーサクセスの方などにも話を聞けると良いです。なぜならば、自社のサービスを提案をしている側の方々は、自社の事業におけるバリュープロポジションを知っていることが多いです。
事業におけるバリュープロポジションが、採用活動におけるバリュープロポジションに直結する事はイコールでは無いのですが、間違いなく参考になるはずです。ぜひ試していただけるとうれしいです。
4. バリュープロポジションは1つではない
最後に少しぼんやりした話をして、このブログを終えたいと思います。
バリュープロポジションは、正直見つかる企業と見つからない企業があると思います。見つからない場合は、もちろんその企業の独自性が少ないと言う話になるのですが、バリュープロポジションの数とその企業の成長性は、割と比例関係にあると個人的には思っています。
御社が売り上げを中心とした成長が著しい企業さまであれば、おそらくバリュープロポジションは1つではなく複数見つかるはずです。
そのため、バリュープロポジションは1つではなく、複数存在していることをまずご認識いただきつつ、もちろんその数があればあるほど採用活動によって非常に優位になります。
最後に蛇足ですが、当社の採用ブランディングサービスにおいては、魅力項目ごとに「バリュープロポジション」を探すサービスであって、僕がこれまで採用ブランディングに携わらさせていただいた企業さまで、10ほどのバリュープロポジションが見つかった事例もあります。
もちろんその企業さまはものすごく採用活動での強みがあり、横綱相撲ができるなんてこともあったりします。
バリュープロポジション見つけられるように頑張りたいとこれからも思います。
最後に
皆さんいかがでしたでしょうか。
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