[新ノウハウ] 「発達段階」別のインサイトについて
「価値観やカルチャーの違い」これで片付けてはならない。
この強烈な気づきを得たのは、2024年の春頃でした。ただ、当時は気づき程度のレベル感で、確信を持てなかったのですが、最近この観点を取り入れることで、あらゆる話がつながりやすくなった感覚があります。これをブログにまとめてみたいと思います。
0. 価値観とは?
価値観と混同されやすい言葉に「人間力」があると感じています。人間力は「尺度で良し悪しを図ることができる能力」だと考えていますが、価値観は「尺度で良し悪しを図ることができない項目」だと解釈しています。たとえば、以下のような分類が当てはまります。
これらの例を見て、「どちらが好ましいか?」というよりも「どちらも尊重する」というのが私の考えです。しかし、これを「価値観で片付けていいのか?」と感じることもあります。その詳細については、本ブログの後半でお話しします。
1. カルチャーとは?
これはあくまで私の定義ですが、カルチャーは大小問わず集団における文化・慣習を指します。分かりやすい例として「法人企業」におけるカルチャーが挙げられます。「チャレンジ」「スピード」「リスペクト」といった特異性が代表的です。
皆さまも「好むカルチャー」と「好まないカルチャー」があると思います。「カルチャーミスマッチ」という言葉に違和感を持たない方が多いのではないでしょうか。また、「会社のカルチャーが変わった」という表現も馴染みがあるかもしれません。
「あなたの価値観と企業さまのカルチャーがマッチしているか?」という問いに対して、「価値観」と「カルチャー」が本当に対立しているのか?という大きな問いに最近直面しました。本ブログでは、その点を説明していきたいと思います。
2. 成人発達理論との出会い
少し遠回りになりますが、本ブログの説明を進めていきます(このアプローチが一番理解しやすいと思いましたので)。
下記をご覧ください。
この図を見た時、頭に雷が落ちたような感覚を覚えました。ここで補足しますが、成人発達理論の専門家も指摘しているように、「人間の発達段階を数値でランク付けすることへの疑問」があります。私も同意見です。ランク付けするのは問題が多いと思います。
ただ、個人間で「○○さんは発達段階3だから」「△△さんは4だから」と話す程度であれば問題ないかもしれません。また、成人発達理論では、自分がどの段階にいるかを自覚できないという特徴があります。そのため、私自身がこのブログを書いている時点でも、自分の発達段階が低い可能性は否定できません。
さて、話を戻します。
各発達段階の違いについては下記のブログで詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
2-1. 環境順応型知性(発達段階:3)は強い価値観を持っているのか?
ここからは、私個人の見解を述べます。
成人発達理論を学んで以来、環境順応型知性の特徴を理解しながら様々な方とコミュニケーションを取る機会が増えました。「あ、この方は自分の意見があまりないんだな」と感じることがよくあります。自分の意見ではなく、集団の意見がそのまま自分の意見になっているようなパターンです。このタイプは、集団にとって頼もしい存在ではありますが、エゴが強くないため、集団が「右」と言えばそのまま「右」と従う傾向があります。結果的に、組織の決定に反対意見を表明することは少ないのです。ただ、心の中では「本当は違和感があるんだけどな」と感じているかもしれません。
この発達段階のインサイトの一部をご紹介します。
2-2. 環境順応型知性(発達段階:3)から自己主導型知性(発達段階:4)への道のり
私の社会人としての経験をもとに説明します。
今、業務やチーム、事業で成功体験を積んでいる方は、成功モデルを習得する段階にあると思います。「このやり方でいけば成功するのだな」という感覚です。これ自体は良いことですが、成功体験の数がまだ少ない場合、そのモデルがどこまで通用するのかを見極める段階でもあります。
自己主導型知性に至ると、「自分の意見が正解だ」と思い込む傾向が出てくると私は考えています。私自身もこのフェーズで「人の意見を聞かない」「聞いているふりをして自分の意見を押し通す」という経験を何度もしてきました。特に、環境順応型知性にいた人材は、自己主導型知性の人材に対して違和感を覚えやすいです。「以前は意見を聞いてくれたのに、今は自分の意見を押し通す」と感じるのではないでしょうか。ここでのコミュニケーションは非常に難しくなるでしょう。
この発達段階のインサイトの一部をご紹介します。
2-3. 自己主導型知性(発達段階:4)は 「自分の意見=価値観」
これも私の個人的な見解です。
自己主導型知性においては、自分の意見が絶対的な正解だと思い込む傾向があります。そのため、所属する集団や周囲の人(同僚や部下など)が自分の意見と異なる判断を下すと、大きな違和感を覚えます。このフェーズにいる人たちは、自我が強く、他人の意見を取り入れることが少なくなるかもしれません。
たとえば、私がこのフェーズにいた時のことを振り返ると、組織のカルチャーが変わったと感じることがありました。実際には自分の価値観が変わったのですが、周囲が変わったように感じるのです。そして、周囲の人たちは「最近、この人は意見を聞いてくれなくなった」と感じることが多くなります。
この発達段階のインサイトの一部をご紹介します。
2-4. 自己主導型知性(発達段階:4)から自己変容型知性(発達段階:5)への道のり
「最近、〇〇さんが少し優しくなった気がする」と周囲に言われる方がいたとしたら、その方は自己主導型知性から自己変容型知性へ移行するフェーズにいるかもしれません。ただし、この言葉を受けたからといって必ずしも移行しているわけではありません。あくまでその可能性があると捉えてください。
このフェーズにいる方は、自己主導型知性の時期に強烈な「自己喪失」を経験し、周囲のフォローアップによって立ち直ろうとしています。この「自己喪失」とは、文字通り「自分を失うこと」を指します。これまでの価値観や経験を自ら否定しなければ、次の段階に進むことができません。しかし、自己喪失は意識して得るものではなく、偶発的に、予測できないタイミングで訪れるものです。だからこそ、自己変容型知性へのステップアップは非常に高いハードルとなるのです。
この発達段階のインサイトの一部をご紹介します。
2-5. 自己変容型知性(発達段階:5)の特徴とは?
自己変容型知性に達した人は、自分自身の価値観や判断基準が絶対的なものではないと理解しており、「あらゆる事象や秩序が不完全であること」を受け入れています。このフェーズにいる方は「矛盾や反対意見を受け入れること」ができるのです。これは言葉では簡単に説明できますが、実際には理解するのが難しいかもしれません。
私の考えとして、能力には上下関係があっても良いと感じています。たとえば、私の専門である「採用」や「組織運営」などの分野では、ノウハウや専門知識の量によって明確な上下関係が生まれることがあります。新人のメンバーに対しては、育成対象として上下関係が生まれるのは自然なことだと思います。これについては、皆さまも違和感は少ないかもしれません(もちろん、相手へのリスペクトは必要ですが)。
一方で、「価値観」や「感情」といったものには、上下関係があるのでしょうか?たとえば、以下のようなコミュニケーションを考えてみます。
この①と②の会話を比較して、違いが見えてくると思います。
私は①と②で明確にコミュニケーションのスタイルを変えています。なぜなら、②においては相手に自分の意見を押し付ける必要がないからです。むしろ、相手の感情や解釈に学びがあると感じています。
この発達段階のインサイトの一部をご紹介します。
最後に
皆さんいかがでしたでしょうか。
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