面談/面接で脅威的な効果を発揮する「エピソードトーク」について
「ただ、質疑応答として回答をするのではなく、自分自身のエピソードを交えて"情景"が思い浮かぶように回答するんだよ」
先週、僕がメンバーに伝えた内容です。
ポテンシャライトでは、僕以外のメンバーが面接/面談を担当する機会が増えてきました。きちんと実施してくれており、候補者さまに対して「事実」は伝えられているのですが、その事実が「魅力」に変換されていないような気がしていました。
ただ、それは当たり前です。業務経験は積むことができてきましたが、面談/面接の経験はありません。そして面談/面接でどのような話をするかの共有に留まっており「伝え方」のトレーニングをしておりませんでした。この「伝え方」に話を絞った場合、究極の伝え方は「エピソードトーク」だと個人的には思っているのですが、本ブログではその類の話ができればと思っています。
0. 面接と面談の違い
面接は「選考の場」であり、合否が出ます。 一方、面談は「情報交換の場」であり、合否はほとんど関係ありません。 面接は企業主導で進められ、応募者が質問に答えるというかたちが一般的ですが、面談は、企業と応募者が対等にコミュニケーションをします。
1. 面接/面談時における「質疑応答」の重要性
面接や面談で「質疑応答」の時間があるかと思います。この質疑応答の時間は非常に重要であると言えます。
前述した通り、昨今は有効求人倍率の向上から、採用企業側が「見極め」のみを実施すると採用活動自体がうまくいかないことが多いです。そんな中、あらゆる手段を尽くして「惹きつけ」を実施するわけですが、特に面接の場合は「惹きつけ」をするタイミングがあまりありません。なぜならば、面接の目的は「見極め」がメインだからです。
そんな中、面接をする側が「アウトプット(話をする)」をする機会があります。それは「質疑応答」です。質疑応答は候補者側が気になる/分からないことを「質問」してきます。それに対して面接する側が「回答」します。
皆さま、突然質問なのですが、質疑応答にきちんと対応できておりますでしょうか?
「きちんと」とは何か?個人的には質疑応答にはレベル感があるのではないかと思っています。
前述した通り、質疑応答は「惹きつけ」です。
仮にレベル3に留まっている方がいらっしゃった場合、質疑応答の時間を有効的に使えていません。
当社ポテンシャライトでは、面談/面接同席をさせていただく場合があるのですが、このレベル3に留まってしまっている方がすごく多い印象を受けます。「え、質疑応答は回答すれば良いでしょ?」という反応をいただくかもしれませんが、前述した通り「惹きつけ」の大チャンスであることを認識しましょう。
2. どのように質疑応答を「魅力的に」語るのか?
本ブログで「質疑応答は惹きつけだ!魅力的に語るようにしましょう!」と伝えたとしても、「で、具体的にどのようにしたら良いの?」というご意見をいただいてしまうかもしれません。
自分を棚に上げると、僕自身は前項した「質疑応答のレベルのステップ」においてレベル7、レベル8は意識しているつもりです。そして、レベル4、レベル5も意識しているのですが、具体的にどのようなポイントを意識して「魅力的に」語るかを記載したいと思います。
結論としてはこちらのブログに詳細な記載があります。
内容を抜粋すると(上記ブログの内容と差異があります)。
このあたりが重要です。
簡単に補足をすると、固有名詞/数値が必要な理由は「話の具体性」です。具体的な話であればあるほどイメージがしやすくなります。相対比較が必要な理由は「その話の魅力付け」です。事実で留まらないように魅力に変換するために相対比較は重要です。事例が必要な理由は「よりイメージを膨らませること」です。自分語は話さない については「話の分かりやすさ」です。どうしても相手に分からない言葉を使ってしまう方がいます。
そして、本ブログのメインテーマである「エピソードトーク」は、「情景をイメージさせる」「ドラマチック」に内包されます。
では、「エピソードトーク」とは何か?を説明したいと思います。
3. エピソードトークとは?
その名の通り、自分自身の話に「エピソード」を交えて説明することです。前項のレベル7、レベル8に記載しましたが、どんなに魅力的な話であっても、話の「内容」だけでは限界があります。「話し方」を追求することで、より魅力的に伝えることができます。
なぜエピソードトークが重要なのか?
個人的な解釈を記載します。
3-1. 「事実」「魅力」のみの限界
本ブログの「1」に記載しましたが、レベル6まできちんと実行できていたら素晴らしいです。むしろそれだけで全体の5%程度に入る「惹きつけ力」をお持ちなのではないかと思います。ただ、レベル6とレベル7には大きな差異があります。それは候補者さま側の「イメージの膨らみ」です。事実と魅力のみのアウトプットでは話の「理解」はできたとしても「イメージの膨らみ」には届きません。「イメージの膨らみ」があると、どのような効能があるのか?次項をご覧ください。
3-2. 「感情移入」ができる
話のイメージができると、話の聞き手が「情景」をイメージします。この場合、話の聞き手は「勝手」にイメージをすると僕は思っています。「勝手」と書くと若干ネガティブなイメージがあるかと思いますが、それでも良いかと思っています。人それぞれ人生経験が異なる中で、一つの話を聞いたときに思い描く情景のイメージが異なっていることは問題ないかなと。話を戻すと、
というサイクルがあると個人的には解釈しています。
皆さん、ドラマを見ていて感動することがありませんか?これは話の展開や主人公の感情の動きに「感情移入」をすることで感動が生まれると思っています。「あれ、あなたこの映画感動しなかった?」というのは話の展開や登場人物に共感ができなかったからかなと。共感度合いが強いと感情移入をします。
エピソードトークが重要である理由はこの2つがメインだと感じています。
4. エピソードトークをする場合のテクニック
では、エピソードトークをする場合にどのような注意点があるのか、そしてテクニックがあるのかを説明したいと思います。
4-1. エピソードトーク時は、雰囲気を一気に変える
エピソードトークは、言わば「ドラマ」です。テレビのCMを終えて「ドラマ」が始まる。そのようなイメージを持ってください。
そのため、事実メインの話をした後に雰囲気を一気に変えましょう。
例えば、
「これは5年ほど前にあった話です。あの日の夜は冷たい雨が降っていたのですが…」
小説のスタートのような感じになってしまいましたが、雰囲気が一変しますよね。
僕はよくエピソードトークにおいては、
「今から昔話をしますね」
と伝えるようにしています。
ポテンシャライトの会社概要/事業内容/特徴の話は置いておいて、今から自分の原体験の話をするんだぞ、という雰囲気にしています。
4-2. どこでクライマックスを持ってくるのか
何度も申し上げますとエピソードトークは「ドラマ」です。
ドラマは3ヶ月かけて放映されることが多く、1クールで12話程度で構成されていることが多いですよね。
ドラマが面白いと思うのは、この12話で一つのストーリーが形成されており、そして1話ずつでもストーリーが形成されていることです。
「ストーリーテリング」と僕は呼んでいますが、
- 冒頭は順調
- 何か問題が発生する
- その問題を何とか解決する
- そして状況が好転する
これがストーリーテリングになっていることが多く、そのためユーザーからすると感情を揺さぶられ、感情移入をすることが多いです。
話を戻して、ドラマも1話ずつクライマックスがありますよね。「お、ここからどうなるの?おお、おお!そうなるのか」という場面がクライマックスです。
エピソードトークが脅威的に効果を発揮する理由はこのクライマックスを作ることができることです。仮にあなたがエピソードトークを用いた場合、情景を思い浮かぶような話を終始していたとしても、いわゆる話の「オチ」がなければ、ただの長々とした話に終始してしまいます。
4-3. クライマックスの前後は特に情景を詳しく話す
クライマックスを作ってください、という話をしましたが、クライマックスの「前後」は特に情景の描写をしてみてください。
例えば、当社メンバーのエピソードトークはこんな感じです。
「私は、新卒で大手人材系企業に入社をして、求人広告の営業をしておりました。4年ほど在籍して、おそらく1,500社以上の企業様に訪問させていただきました。
また、退職をする半年ほど前に訪問した企業様が、私の人生において最も大きい影響を及ぼしています。
2020年の9月頃の話です。いつも通り会社を出発し、電車に乗り、電車の中で訪問する企業様のホームページを見ながら準備をしていました。最寄り駅に到着をして、駅から少し遠いその企業様のオフィスまで歩いていきました。
会社の所在地に到着したのですが、私が全くイメージしていなかったマンションに到着しました。「え、ここで合っているのか?」と思いつつ、階段を上がり、確か4階だったかと思うのですが、いつもはエレベーターで上がっていたので、少々ゼーゼー言いながら、ドアの前に到着しました。もちろん受付電話はなく「ピンポン」を押しました。これまで1,500社ほど訪問をしてきて、ピンポンは数えるほどしかありません。ピンポンを押すと、「どうぞ」の声が。ドアを開けると、靴の脱ぎ場もないほどの玄関、部屋の中を見ると、部屋の端っこに大学教授のような風貌の男性が椅子に腰掛けていました。
部屋に入ると、資料が散乱している机の上を、その男性が整理し、何とか確保したスペースに私は腰掛けました。名刺交換は無し。すぐに採用の話をスタートしたその男性の話を聞いて私はびっくりしました。
「え、この方は世界を変えるのではないか?」
私の知識不足かもしれないのですが、その企業/その男性が開発している介護用ロボットは、私の知識範囲においてイノベーティブであり、そのロボットが介護業界に広まっていけば日本の介護業界の問題点は解決することができると強く感じたのです。
私は、このようなイノベーティブな製品は、大手企業から生まれると思っていました。ただ、こんなに古ぼけた少し汚い狭い部屋から、今後の日本を変革するようなイノベーティブな製品の卵が生まれているのを目の当たりにして、頭をカナヅチで殴られたような、そんな衝撃を受けたのです。
その商談は終わり、部屋の外に出て最寄り駅まで歩いていきました。いつもは「今日はランチどうしようかな」と考えていたのですが、これまで経験してきたことのないような高揚感、というか自分が興奮していることが分かりました。その興奮は自分が経験したことがない類の興奮で、最寄り駅まで歩く途中に道に走っていた車がゆっくり見えた、そんな記憶があります。
電車に乗ってオフィスに戻ると、すぐに上司のもとに駆け寄りました。興奮を隠しきれない私は「今日お伺いした企業様、世界を変える可能性がある素晴らしい会社様です!ただ、社長さまお一人の企業様なのですが、何とかして支援をしたいのですが!」と、ここまで上司に熱量を持って話をしたことは初めてだったかもしれません。すると上司からは「それは売上にならないから支援はできないな」と一蹴されてしまいました。
私はそれまで「この企業様の支援をしたい!」と思った企業様が複数あったのですが、それは大体「その人事の方の人の良さ」が理由であることが多かったです。一方で、今回はその企業様の「ビジネス」「将来性」などに感銘を受けて、是非支援をしたい!と思ったのです。
上司のその言葉を聞いてから、どうしたら良いか分かりませんでした。とりあえず席に深く腰掛け、PCの前でその企業様のホームページを改めて見ました。今日の訪問の記憶が蘇ってきて、自分自身が支援をすることが許されないもどかしさに、それ以降の業務は集中できなかったことを覚えています。
そこで私は感じました。「業務範囲に糸目を付けていない、スタートアップ×HRの企業に入社をして、その介護用のロボットを開発している企業のようなスタートアップの支援をしよう」と。」
少し長くなってしまいましたが、こんな感じのイメージです。
4-4. 話の聞き手に「想像」をさせることができる
前項に事例を濃くお話しましたが、その事例の中にこんな表現がありました。
「靴の脱ぎ場もないほどの玄関」
この表現には狙いがあります。
皆さま、「靴の脱ぎ場もないほどの玄関」と聞いたときに、どのような「想像」をしますか?例えば、
- 玄関にモノが散乱しており、靴も転がっている
- 玄関と部屋の境目が良くわからない
- 部屋の大きさは6畳くらい。おそらく部屋の中もモノが散乱している
- 机の上もモノや資料が散乱しており、それを退けないとPCも出せない
- おそらくそこで働いているのは研究者タイプの代表さま
いかがでしたでしょうか?
これは本事例の事実と近しいことを記載しているのですが、「靴の脱ぎ場もないほどの玄関」と記載をするだけで、話の聞き手が勝手に「想像」をします。これがエピソードトークの素晴らしいところです。
話の事実のみを伝えたとしても、それがうまく伝わらないこともあります。
ただ、エピソードをストーリー立てて話すことによって、話の聞き手が「想像」を続けます。そして「想像」すると情景が思い浮かび、共感を生み、感情移入をしてくれる可能性が高いです。
4-5. 登場人物の発言を描写するのが重要
よりイメージを沸かせるために、「発言の描写」をすると良いと思っています。例えば、
こんなイメージでしょうか。比較しやすいように発言の描写が「無い」パターンも載せておきましょうか。
改行などの入れ方も影響していそうですが、伝わり方は異なりますよね。
4-6. 間が重要
エピソードトークは、必ずしも論理的に流れるようなプレゼンテーションではなくても構いません。むしろ、非論理的のほうが良かったりします。
エピソードトークは、「情景」をイメージさせたいです。そのため、ドラマや小説のようなプレゼンテーションのイメージが近いです。ドラマも小説も、話と話の「合間」がありますよね。ドラマであれば「CM」。小説であれば「章」があります。いずれも「間」が発生しています。
何が言いたいかと言うと、エピソードトークは話と話の合間に意図的に空白を作ったほうが話が頭に入ってきます。コミュニケーションのスピードが速い方は、矢継ぎ早に話を進めますが(僕もそうです)、それが正ではないと感じております。
4-7. エピソード(描写)、事実、比較(魅力) この繰り返し
「エピソード」という話をしていますが、エピソードだけのプレゼンテーションは難しいです。小説もそうですよね。登場人物の「発言」があったり、その発言に対しての補足文章があったりします。そのため、エピソードにおける「発言」が全てであれば内容は逆に伝わりにくいです。
そのため、エピソード(描写) ⇒ 事実 ⇒ 比較(魅力) という順番で話を重ねていくイメージでしょうか。必ずしもこの順番になるわけではないのですが、ご認識いただければ幸いです。
最後に
皆さんいかがでしたでしょうか。
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