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「安全性」と「成長/チャレンジ」の共存についてポテンシャライトとしての意見を書いてみる

「自分の能力を大きく超えたチャレンジをしてみろ、失敗をする可能性は高いけれども、失敗をしたら俺(マネージャー)が責任をとってやる」

これは僕が学生時代にサッカーをしてたときに先輩のメンバーから言っていただいた言葉です。自分よりもスキルがある先輩メンバーと試合をしていた時に、このような言葉をかけてもらいました。

団体スポーツ経験がある方はわかるかと思うのですが、団体スポーツにおいて、そのチームの中で自分のスキルが低いとわかった場合、とてつもなく不安になります。その場合、萎縮をしたり、チャレンジングなプレイができなかったりします。ただ、チームにはもちろん「うまい選手」が存在しており、その選手がチームを引っ張ってくれたりします。僕の場合は隣にそういった選手がいる環境でプレイをすることが一定期間あったのですが、その際にかけてもらった言葉が先ほどの言葉です。

この言葉がなければ、僕にとってその試合において「ホーム(安全性)」は全く存在していませんでした。そして、「エッジ(チャレンジ)」に対して億劫になり消極的になっていたと思います。なぜならば、自分のスキルに不安があるからです。

今になって振り返ってみると、「エッジ」、言い換えるとチャレンジをすることについて、その組織/チーム/コミュニティーにおける「ホーム」がなければ「本質的なエッジ」が生まれないのではないか?と感じたのです。

冒頭から長くなってしまいましたが、

「安全性」と「チャレンジ」という一見「対」になっている観点において、違和感を覚えたのは最近のことでした。ただ、言葉にできない何とも言えない違和感を覚え、個人的にその探求をした結果、ある結論にたどり着けましたので、本ブログで記載してみたいと思います。




0. 大手企業 vs ベンチャー企業という就職/転職活動での問い

少し遠回りをして説明を進めていきたいと思います。

おそらく多くの方がこの問いに直面したことがあるかもしれないのですが、

「大手企業 vs ベンチャー企業」

つまり、安定した大手企業に行くのか、チャレンジをするベンチャー企業に行くのか。この問いについては、僕が就職活動をしていた頃から話題になっていました。僕はベンチャー企業を選びましたが、当時、自分自身が得たい経験やキャリアを得ることができて、満足はしています。

ただ、38歳になって振り返ってみると、

・大手企業でも全然チャレンジできる
・ベンチャー企業でも全然安定している

と思っています。もちろん、その企業独特のカルチャーは存在しているかと思うのですが、正直「その人次第」だと思います。当社のお客さまはベンチャー企業の比率が高いのですが、ただ2022年頃から大手企業さまのお客さまが増えて参りました。大手企業とベンチャー企業で僕らの支援のスタイルは若干変わりますが、ただ在籍している方々とコミニケーションをとってみると、ものすごく大きな違いを感じる事はなく、むしろ在籍している「その人」に印象は紐づくように思います。

何が言いたいかと言うと、大手企業=安定、ベンチャー企業=チャレンジとは、僕らのイメージが先行して勝手に構築されている一般論に過ぎないと思っています。

1. 当社のマネージメントポリシーを安全性とチャレンジで分けてみた

もう一つ別の話を。

当社には「マネージメントポリシー」というものがあります。マネージャーがメンバーをマネージメントするにあたり、そのマネージャーが独断でメンバーに接してしまっていると、「会社」としてのマネージメントにおけるポリシーと乖離が出てしまいます。もちろん、マネージャーは人ですから、独自性を出していただいて全く問題ないのですが、まずは「会社」としてマネージメントにおける「方針」を提示しておかないと、マネージメントをされる側であるメンバーが困惑してしまうと思っています。

例えば、当社のマネジメントポリシーの一部を記載いたします。

Radical Candorであれ
■チャレンジをする姿勢に100%向き合う
■頭ごなしに否定をしない
■新しいチャレンジは今の業務を100%こなしてから
■質問を推奨する

また、当社は「マネージメント研修」と言う支援があります。ベンチャー企業において初めてマネージャーを務める方は多く存在します。ただ、マネージメントのイロハがわかっていないと、マネージメントをする側もされる側も不幸になることが多数あります。そして、そういった場面をたくさん見て参りました。
そのマネージメント研修の最後のコンテンツに、「マネージメントにおける50のポイント」があります。この50のポイントは、そのマネージメント研修の最後のコンテンツで、これまで学んだマネージメントにおける様々なノウハウを50に分けて、オーディエンスに提供していると言うものです。

1-1. 当社の組織のあり方の変化について

ここ最近アウトプットを増やしているのですが、当社の「組織のあり方」を変化させています。180度組織のあり方が変わるわけではないのですが、間違いなく令和における組織のベストプラクティスに近づくであろうと言う手ごたえがあり、この「発達指向型組織」を目指していく事は、社内外において発信しています。

発達指向型組織になるための要素は3つあると思っています。

オーセンティックワークスさんのサイトより

この3つの要素のうち本ブログで着目したいのは「ホーム」と「エッジ」の2つです。

1-2. 「ホーム」と「エッジ」について

簡単に申し上げると「ホーム」は「安全性」で、「エッジ」は「チャレンジ」だとご理解ください。

もしかしたらこの文章を読んでいただいて、こんな疑問が生まれているかもしれません。

「安全性とチャレンジという言葉は重要である事は理解できているが、その共存は可能なのか?もしくは組織に取り入れる事は可能なのか?」

例えば、当社の顧客はベンチャー企業が多い故に、「とにかくハイスピードで、ハイクオリティーで事業を邁進していく」というタイプの企業が多いです。そのため、安全性はそこまで重要視しておらず、とにかく「チャレンジ」していこうと言うスタイルの企業さまが多い傾向にあります。

一方で「心理的安全性」という言葉が、世に出回ってから早10年程度が経過している肌感覚がありますが、安全性が全くもって必要ない、そう思っていらっしゃる方も少なくなってきたように思います。本音を申し上げると、数年前まで僕は「安全性」という言葉を敬遠していました。なぜならば、安全性を目的としたら組織が緩くなってしまうと考えていたからです。本ブログでは割愛しますが、現在は安全性は「手段」であり、また「必須」であると思っています。

1-3. 「ホーム」と「エッジ」は「分離」されたものではないか?

そのように僕は捉えていました。どういうことかと言うと、

安全性を担保するために、社内におけるコミュニケーションを取ろう

チャレンジを創発させるために、ブログ/ウェビナーの執筆/登壇の機会を作ろう

安全性を担保するために、僕(代表)自身の自己開示をしよう

チャレンジを創発させるために、会社の課題を言いやすい雰囲気を作り、課題解決をした結果ゼロイチのノウハウを提供できる機会を作ろう

このような具合に、「安全性」を作るための施策と、「チャレンジ」しやすいような施策をそれぞれ作っていました。「意図的に」分けていたわけでは無いのですが、そもそも僕が「安全性」を上げるための施策に、そこまで興味/関心が数年前まで乏しかったことから、安全性を上げるための施策自体をたくさん投じていたわけでは無いのですが、結果論としてはこの2つは「共存」関係があることをそこまで意識はしていませんでした。


2. マネージメントの50のポイントをホームとエッジで分けてみた

当社のリーダーの1人からこんな問いを受けました。

「発達指向型組織に寄せていくにあたり、過去に作成したマネージメントの50の各ポイントを、ホームとエッジのどちらに偏重しているのか、分類したほうが良いですかね?」

確かにそうだと感じました。マネージメントの50のポイントを作成したのは、3年ほど前で、当時の当社のカルチャーは「エッジ」に偏重していました。つまり、「チャレンジ」を創発させるための仕組みや施策をとてつもなく多く投じていた認識でおります。

一方で、「ホーム」について、そこまで重要視していなかった故に、この50のポイントに「ホーム」の観点に寄った項目が少ないのではないか?そんな観点もありました。そこで分類してみたのです。

2-1. 50のポイントを「ホーム」と「エッジ」に分類してみてわかったこと

結論から申し上げると、

「あれ、この50のポイントはホームとエッジの両方を創発させるためのポイントなのではないか?」

ということでした。具体的な事例を見ていただきながら説明をすると、

マネージメントポリシー No.1

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ホーム観点:
「マネージャーが上に立っている」という潜在的な意識があると、メンバーは常にマネージャーの「目」をどうしても気にしなくてはなりません。顕在的にそう思っているメンバーもいれば、潜在的に、そして無意識的にマネージャーに何でも確認しなければならない、という意識が芽生えます。
ストッパーにならないように振る舞えば、必然的に安全性を担保することができます。

エッジ観点:
マネージャーがストッパーではなくなった場合、メンバーはダイナミックなチャレンジができます。例えば、メンバーがダイナミックなチャレンジを提案してきた際にマネージャーが「それはやめておこうか」という接し方をすると、メンバーの成長意欲/チャレンジ精神に蓋をすることになります。

マネージメントポリシー No.16

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ホーム観点:
言いにくい話をチャットで長文でお送りしている方は割と多いのではないでしょうか?令和の時代においてチャット文化の企業さまも多いかと思います。
ただ、チャットでは「文脈」が伝わりません。そしてテキストで感情を伝えるのは非常に難しいです。そのため、チャットで何か大事な話を共有するのはホーム観点において不足があると感じています。

エッジ観点:
上記のホーム観点と重複をするのですが、「文脈」が伝わらずに「結論」だけ伝わると、メンバーが主体的にその物事に取り組んでもらうことが難しいと思っています。もちろん物凄く細かく指示をチャットで書いても良いのですが、費用対効果的にも好ましくありません。

マネージメントポリシー No.37

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ホーム観点:
自分がメンバーのときに、1回だけの指摘で、その事象をパーフェクトにこなせる人はほぼいませんし、むしろあなたもそうだったと思います。同じ類のエラーを2度とすることができない、となった場合にホームは欠損させられると思いますし、何よりあなたのアドバイスの仕方に問題があったかもしれませんよね。

エッジ観点:
人間はそんな簡単に成長をしません。僕も同じ類の指摘は上長に何度かもらってしまったことがあります。そのため同じことを何度も伝える覚悟を持つことはエッジの創発と言えます。


僕らが作成していた50のポイントは、「見る角度」や「解釈」を変えると、ホームとエッジの両方を創発させることができると感じたのです。

2-2. 会社/組織/リーダーが起こしてるアクションの全てがホームとエッジの両者を創発させているのではないか?

マネージメントの50のポイントの全てを公開するわけでは無いのですが、そのうち10ほどの項目をホームとエッジに2分類していたのですが、ほぼすべての項目に対して両方にチェックがつきました。つまり、僕らが3年ほど前に設定していたマネージメントの50のポイントは、ホームとエッジの両者を創発させているアクションであることがわかりました。

まだピンと来ていない人もいるかもしれません。

そこで、僕が人生において最もホームとエッジの両者を創発させることができた、もしくは創発させられた言葉をご紹介します。それは本ブログの冒頭で記載をした言葉です。

「自分の能力を大きく超えたチャレンジをしてみろ、失敗をする可能性は高いけれども、失敗をしたら俺(マネージャー)が責任をとってやる」

僕の人生にとって、この言葉の印象が強く、僕は社会人になってから幾分かマネージメントを担当させていただくようになってからは、この言葉をメンバーにかけるようにしています。僕と仕事で関わったことがある方は、こんな類の言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これは僕が学生時代に自分自身を感化させられた言葉の1つだったりします。

この言葉は「ホーム」と「エッジ」の両者を創発させる素晴らしい言葉だと思っています。


3. マネージャーのあらゆる言葉は、ホームとエッジの創発のためにあるのではないか?という考え

少し遠回りをしながら本項について説明していきたいと思います。

3-1. 合理的なマネージメントの限界

マネージメント=合理的な学問と捉えると、限界が訪れます。合理的な言葉を投げかけ続けたとしても、メンバーに「ホーム」と「エッジ」の両者を創発させることは難しいと個人的には思っています。もし合理的な言葉を伝えて、仮に相手(メンバー)が「エッジ」、つまりチャレンジをしていたら、それは相手のモチベーションが高かった、と捉えたほうが良いのではないかと思っています。

一方で、僕が初めてマネージメントをする側を経験した時点において、本ブログを読んでいたとしても、ピンとこなかったかもしれません。なぜならば、そこまで深くマネージメントと言う学問/概念を理解しようとも思わなかったからです。

「自分の成功体験をそのメンバーに伝えていれば、うまくいく」
「マネージメントの書籍に書いてあったことを、そのまま導入していれば、うまくいく」

最初はそのようなテンションでマネージメントを捉えると思うのですが、合理的に寄せ過ぎてしまうマネージメントの在り方を打ち出してしまうと、本ブログで記載してる内容は体現できないと思っています。

3-2. 「ホーム」の確保が本質的な「エッジ」を創発することの理解

「ホーム」、つまり安全性が無きチャレンジは、大体が「やらねばサイクル」に入ることが多いと思っています。

チャレンジしなければならない
成長しなければならない

と言う一種の脅迫観念が「エッジ」を創発するのでは?と個人的には思っています。少し話の角度はずれるのですが、「サステナブルなエッジ」という言葉を最近使っているのですが、

「持続可能なチャレンジ」

と表現することができます。この言葉を聞いて、「チャレンジする事は持続可能というか、やり続けるのが普通でしょう」と考える方もいらっしゃるかと思うのですが、それはあなたの「今」の考えが反映されていると個人的には思っています。どういうことかと言うと、人間は自分が「予想していなかった」出来事に直面すると、価値観が変わります。

例えば、

自分自身の病気
信頼していた人との別れ
突然の家族の変容

先ほど「予想していなかった」と記載しましたが、「子供」の存在も大きいと思います。それまで、自分の人生の主役が「自分」であったことから、「子供」が自分の人生の主役に変わります。そのような何かしらの「出来事」が発生すると、自分の価値観が多少なりとも変化する、そんな意味合いです。

ただ、誤解がないように申し上げると、
僕自身は価値観の変容がものすごく起きたかというと、そこまでではありません。今38歳ですが、以前と比較してもハイペースでチャレンジを続けていると、個人的には思っています。そのため、「サステナブルなエッジ」と表現しましたが、「持続可能」という言葉は関係なく、継続的にハイペースでチャレンジをできる人はごくわずかですが、存在していると思います。僕も人生で数名だけ見たことがある程度です。

本項の主題に話を戻すと、ホームがないチャレンジについては、本質的ではない要素もあり(やらねば前提)、そしてサステナブル(持続可能)ではないとご理解いただければと思います。


4. 安全性とチャレンジの共存

「共存」と記載しましたが、どちらかと言うと「両者を100%で取りに行く」というほうが個人的にはうまく表現できていると感じています。

例えば、会社経営において「思想と利益のどちらを優先するか」と言う問いが存在しますが、

50%ずつ
70%と30%

などと表現することがあります。これは「割合」の話をしているのですが、こんな回答もあります。

「両者を100%で取りに行けば良い」

これは個人的にはしっくりきます。

これまで16年間、社会人として経験をして、15年程度、大小問わずマネージメントというものを経験させていただき、「ホーム」と「エッジ」の両者を100%で取りに行くことが非常に大事であると言う結論に至っています。


最後に雑談(「山根さんは変わった?」と言われることについて)

数年前に僕と一緒に働いていた方々からすると、僕のこの発言に違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。その違和感を言語化すると、

「山根さんはもっと昔厳しかった」
「山根さんはゆるくなった」

と言われることがあるのですが、自分自身はそのように捉えていません。

オーセンティックワークスさんのブログより

少しおこがましい話をすると、僕自身の発達段階が変容してきたのではないか?と捉えています。前提として、こちらの成人発達における段階は、自分自身がどの発達段階にいるのかはわからない、そう専門家がおっしゃっています。そのため、僕の発達段階は自分でもわからないのですが、ただ「自己主導型知性」の説明文を読むと、数年前の僕にほぼほぼ合致する感覚を覚えます。一方で、「自己主導型知性」から「自己変容型知性」に変換する際に起こる「事象」をまさに昨年体験したと感じています。

「自己変容型知性」になると、自分自身の考えが「正解だ」と思い込まなくなるようになり、あらゆる人の意見を受容できるようになる、とのこと。誤解がないように申し上げると、僕が今申し上げているのは「考え方」、つまり「感情/価値観」に近しい話をしています。そのため、合理的な採用ノウハウなどの「いわゆるスキル」については少しまた別の考え方です。

そのため「緩くなった」「甘くなった」と言う声をもらうことがあるのですが、そうではなくて、むしろ以前以上に「チャレンジ」をする量や質は上がっていると個人的には捉えています。

皆さんいかがでしたでしょうか。
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