HR業界におけるヒアリング(質問)のポイント
「創業からHRトレンドブログ公開数400本間近!2022年カウントダウンブログリレー」
という企画を12/1からスタートしております!
そして、今回は第16弾となります。
当社ごとですが、会社として出したブログ公開数が2022年11月末時点で380本!12月は毎日(営業日)ブログを公開するとちょうど400本に到達する!ということで多くのメンバーが参加するブログリレーを実施することにいたしました。
スケジュールはこちらとなります👇
では、ご覧ください。
「〇〇さん、先ほど企業さまに対してした質問って、〇〇さんがただ気になったからしただけだよね?」
先週メンバーと交わしたコミュニケーションです。
ポテンシャライトが主軸に置くHR関連の仕事において、間違いなく外すことができないのは「ヒアリング力」です。会社概要文の設計、会社の魅力文章の設計、求人内容の設計、採用広報インタビュー内容の設計、など多数存在します。
そんな中、ただ相手にヒアリングをしたとしても、結局のところ「ヒアリング対象者」の力量によって、内容のクオリティーは大きく変動します。力量というのは、その界隈での知見や話す量、シンプルに話の上手さなどが近しています。皆さまも経験されたことがあるかと思いますが、「この人にヒアリングをするとすごくたくさん話をしてくれるが、別のこの人にヒアリングをすると端的に結論しか話してくれないため、薄い結果になってしまう」という事象もあるかと思います。
前段が長くなってしまったのですが、
結論、ヒアリングはどのような「角度」ですれば良いのか、個人的に頭が整理できて参りましたので、記載したいと思います。
0. 前提として
ポテンシャライトでは、「採用ブランディング」というサービスが存在しています。
です。
基本的には代表さまクラスの方に1時間のヒアリングを2回させていただき、かなり詳しくヒアリングをさせていただきます。ヒアリングをする際に、質問は準備して臨むのですが、先方企業さまが回答いただいた内容に対して、いわゆる「深堀り」を行います。つまり、事前に準備してきた質問では「無い」質問も追加でします。
言うなれば、その場のアドリブで、「何を詳しく深掘りをすれば、その企業の魅力を発掘できるのかを頭の中で考え、適切な質問をします。
ただ、ここでいう「適切な」質問を「アドリブ」ですることについては、文言化が非常にしにくいノウハウが存在している事を僕自身は気づいており、そして当社メンバーもよく認識していました。
つまり、本件において当社としてもノウハウの形式化がいまいちできておらず、僕自身も本サービスにおいてはメンバーに権限委譲を完全にすることができない悩みを抱えていたのは事実でした。
またしても前置きが長くなってしまったのですが、そのような事象の際に、本ブログに記載があることを活用するとご認識ください。
※本ブログでは、ヒアリングの「角度」について言及いたします。その際に質問をする側を「質問者」、質問を受けて回答する側を「回答者」と呼ぶこととします。
1. 質問パターン1 「具体的には?」
皆さんこんなことがよく発生していませんか?
つまり自分(質問者)が求めていた「具体性」が欠如している回答を受けてしまったパターンです。
このパターンではシンプルに、下記の質問をしましょう。
「今、ご回答いただいた〇〇という箇所についてですが、もう少し具体的に教えていただいてもよろしいでしょうか?」
なんてことない、日常で頻繁に発生している質問です。ただご注意いただきたいことが1つあります。それは「具体的の角度」です。
「具体的に教えてください」という質問を仮にあなたが受けた場合、どのような「角度」で具体性を示しますでしょうか?事例を用いて説明します。
Aさん
「今日食べたオムライス、美味しかったです。」
Bさん
「具体的に教えてもらっても良いですか?」
Aさん
「えっと、今日行ったのは中目黒駅から徒歩5分にある小磯オムライスショップというお店なのですが、お店の広さは15席程度で、雰囲気は昭和のレトロな感じでしたよ」
Bさん
「あ、いやいや、オムライスがどんな味だったか教えて欲しかったんだけれども」
Aさん
「あ、そうですか。味は…」
上記において、Aさんの「回答の仕方」に違和感を感じた方と、Bさんの「質問の仕方」に違和感を感じた方がいらっしゃると思います。
僕は、Bさんの「質問の仕方」がよろしくないと思います。なぜならば「具体的な角度」が無いからです。この質問の仕方だと、Aさんの回答がズレることは必然です。仮に、
Bさん
「オムライスの味ってどうでした?」
と質問した場合は、「味」について回答してくれるでしょう。「そんな事は当たり前じゃないか」とおっしゃる方も多いかと思うのですが、この質問における「具体的な角度」ができていない方のほうが圧倒的に多いです。そのため、回答の角度がずれてしまい、適切なヒアリングにならない事が非常に多くあります。
もう少し深掘りをすると、Bさんが「味」について言及しました。この質問した場合、Aさんはこんな回答をするはずです。
Aさん
「はい、美味しかったですよ」
Bさん
「あ、そうですか。それはよかったですね」
ここで会話が終了になります。Bさんがした質問に対して、Aさんが明瞭に回答しました。双方におけるコミュニケーションのズレは発生していません。
ただ、このパターンではBさんが求めている「具体性」が欠如しているかもしれません。なぜならば、Bさんはオムライスが「どれくらい美味しかったのか」という「尺度」も同時に知りたかった可能性があります。あくまで可能性です。もし仮に「尺度」を知りたかったのであれば、Bさんの質問の「具体性の尺度」に不足があります。
下記をご覧ください。
Bさん
「オムライスの味って、これまでAさんが食べてきた数多くのオムライスの中で何番目においしかったですか?」
Aさん
「あー、私はオムライスが大好きなので、これまで300程度のオムライス専門店に足を運んできたのですが、トップ3に入るくらい美味しかったですね」
いかがでしょうか。
質問の仕方によって、Aさんの回答の「角度」と「尺度」がここまで変わりました。
本ブログのメインテーマがずれないように、リマインドベースで記載しますが、
本ブログでは、HR活動で必ず必要になる「ヒアリング力」を向上するために、山根の頭の中にあるノウハウをできるだけ細かく文言化しています。つまり、あなたが採用ブランディング、採用広報、求人ヒアリングなどを実施する際に覚えておいていただきたいノウハウの1つ目の説明を、現時点で終えています。
1つ目は、回答者の回答が質問者の予想よりも「具体性が欠如」している場合に、追加の深堀りの質問として、「具体性の角度と尺度」について言及したことにしてください。
2. 質問パターン2 「なぜ?」
皆さんこんなことがよく発生していませんか?
「質問の回答をしてくれたけれども、突然話が飛んでいて、その動機や背景がわからなかった」
「話は具体的に理解したのだけれども、なぜそうなったのか根拠がわからなかった」
つまり回答者が熱心にしてくれた説明の把握はしたけれども、納得感が得られなかったパターンです。
このパターンではシンプルに、下記の質問をしましょう。
「今、ご回答いただいた〇〇という箇所についてですが、なぜそのような結果になったのですか?/背景や根拠を教えていただけますでしょうか?」
この質問も、割と日常でお見かけしますよね。ただご注意いただきたいことがあります。それは、「何でも闇雲に「なぜ?」と聞いてはならない」ということです。
事例を用いて説明します。
Aさん
「今日食べたオムライス、美味しかったです。」
Bさん
「オムライスをなぜ食べたのですか?」
Aさん
「えっと、食べたかったからです…」
Bさん
「なぜ食べたかったのですか?」
Aさん
「え、気分です…」
皆さん、こちらのコミュニケーションにおいて違和感はありましたでしょうか?おそらく大半の方が、「Bさん、そこツッコミ入れるとこなの?」と思われたかもしれません。なぜならば、今日食べるご飯において、「根拠」を持たせる方はそこまで多くないかと思います。ただ、平日のランチは毎日同じお店の毎日同じメニューを食べる、という方とお会いしたことがありますが、その方は「ランチのメニューを選ぶために思考する時間が無駄だから」との事でした。これはごく少数派な気がします。
話を戻して、Bさんのコミュニケーションになぜ違和感があったのかを、もう少し考えてみます。
本項の「なぜ?」は「背景や根拠」と説明いたしました。背景や根拠を求める際の判断基準としては、「重要度」と「頻度」だと僕は解釈しています。
本ブログでは分かりやすいように、毎日食べるご飯の話をしました。皆さん、この世に生まれてから亡くなるまで何回ご飯を食べるか数えた事はありますでしょうか? (ないかと思いますが) 仮に朝昼晩の1日3回ご飯を食べ、70歳まで生きたと仮定すると、76,650回のご飯を食べることになります。76,650回ある機会に対して根拠を求める方はそこまで多くは無いかと思います。且つ、人間にとって食事は非常に重要ではありますが、たった1回の食事に対しての重要度はそこまで高くないかと思います。
別の事例をお話しします。山根のキャリアについてです。
八雲台小学校 入学
八雲台小学校 卒業
調布市立第7中学校 入学
調布市立第7中学校 卒業
東京都立三鷹高校 入学
東京都立三鷹高校 卒業
青山学院大学理工学部経営システム工学科 入学
青山学院大学理工学部経営システム工学科 卒業
株式会社ネオキャリア 入社
株式会社ネオキャリア 卒業
IT/Web業界に強みがあるエージェント 創業
IT/Web業界に強みがあるエージェント 退任
株式会社ポテンシャライト 創業
こちらが僕のキャリアです。
皆さんが、山根に対してヒアリングをすると仮定した際に、どのキャリアについての「根拠や背景」を聞いてみたいでしょうか?
おそらく前職である企業における創業背景や、現職のポテンシャライトの創業背景、もしくは新卒1社目にネオキャリアを選んだ理由、などが必要なのではないかなと思います。
ただ、八雲台小学校を選んだ理由(環境)をヒアリングしてくる方はいらっしゃらないのではないかと思います。「いやいや、小学校を選ぶ根拠なんてほとんどの方がないでしょ」と皆さん暗黙の認知があるかと思いますが、その通りです。
ただ、この「暗黙の認知」がHR業界に限らず様々なビジネス界で行われている「ヒアリング」において、「質問者と回答者における温度感のギャップ」が生まれる事が非常に多いです。つまり、
「質問者は、どの部分の「なぜ」を聞けば良いかをジャッジできず、なんとなくその箇所を決めて根拠や背景を質問してみる」
「回答者は、個人/会社にとって重要度が高い箇所の根拠や背景を質問してもらいたいが、そうではない」
このような事象が発生しています。
話を戻します。
「なぜ?」というヒアリングをする際は(根拠や背景を聞きたい)、回答者(個人/会社)にとって「重要度」が高く「頻度」が少ない事象、つまり強く影響を及ぼした事象に対してヒアリングをするようにいたしましょう。
3. 質問パターン3 「比較」
本項から難易度が上がります。
皆さんこんなことが発生していませんか?
「回答者が熱心に説明をしてくれて理解もしたし納得もしたが、その凄さについていまいちイメージがつかなかった」
この文章の通りにはなりますが、質問者は理解も納得もしている。ただその「凄さ」のイメージが持てていないパターンになります。
このパターンでは、下記の質問をしましょう。
「今、ご回答いただいた〇〇という箇所についてですが、私の知識不足でその凄さがいまいち理解できておらず。何か一般的な事象と比較しながら、その凄さを理解してみたいのですが、いかがでしょうか?」
ちなみに、プレゼンテーションが上手な方は、この「凄さ」を表現するのがすごく上手です。一般的に認知されている情報と常に相対比較をしながら、どんな方にもイメージがしやすいように説明していきます。
事例を用いて説明します(本項は良い事例です)。
Aさん
「当社が所属している市場は、市場規模が100兆円です。巨大な市場においてチャレンジをすることができます。」
Bさん
「100兆円、、ものすごく大きい事は理解できたのですが、その凄さについてイメージできるようにご説明いただく事は可能でしょうか?」
Aさん
「そうですね。例えばですが、日本のGDPは550兆円程度と言われています。そのため本業界は日本のGDPの20%程度を占めているといえますね。また、皆さんが子供の頃におそらく通ってきたであろうゲーム業界の市場規模は1兆円です。そのためゲーム業界の100倍の規模感とご理解いただけると良いかもしれません。」
いかがでしたでしょうか?100兆円という数値に「命」が吹き込まれた印象がありませんか?身の回りにおけるイメージしやすい事象と「比較」した上で説明をすると、ここまでイメージが湧きやすくなります。
蛇足ですが、何事においても説明やプレゼンテーションが上手な方は、その説明やプレゼンテーションにおける題材について素人な方々への説明もイメージが湧きやすいように説明することができます。その界隈でしか理解できない文言を使ってる人は問題外です。コミュニケーションをゼロから学び直すべきです。このように比較観点を用いると、話に深みが出ます。
別の事例を見てみましょう。
Cさん
「当社は自社にエンジニアの社員が100名在籍しており、20年ほど前からエンジニア採用を始めて在籍し続けています」
Bさん
「100名、、すごいですね。ただその100名というのが凄いことはなんとなくわかるのですが、その凄さについてイメージできるようにご説明いただく事は可能でしょうか?」
Cさん
「そうですね、Web業界のメガベンチャー企業は当社よりもエンジニアの人数が多いのはさておいて、昨今盛り上がりを見せているベンチャー企業において100名のエンジニアを抱えている事はほぼありません。例えば最近上場した〇〇社においてはエンジニア人数が50名とのことです。また、ベンチャー界隈で有名な▲▲社においてはエンジニア人数が60名とのことです。昨今の市場においてエンジニア10名採用することの難しさはご理解いただけているかと思うのですが、100名在籍していることにおけるメリットは感じていただけたのではないかと思います」
いかがでしたでしょうか?
あくまで僕が作成した事例で説明いたしましたが、エンジニアが100名いるという事実に対して、皆様がイメージしやすいような比較をすると、イメージがしやすいのではないでしょうか。
ちなみに、本項の「比較」においては、ヒアリング対象者(回答者)が必ずしも詳しく回答してくださるわけではありません。例えば当社はHR業界で様々な企業様にヒアリングさせていただいておりますが、先程の2つ目の事例にある「エンジニアの人数」においては、ある企業様に在籍している方よりも、僕の方が詳しいかと思います。なぜならば、あらゆる企業様のヒアリングをしているからです。
何が言いたいかというと、この「比較」観点における質問においては、ヒアリングをする側(質問者/情報を取りまとめる側)が調査をすることによって明瞭になることもあります。回答者は、その企業の業界やビジネスにおけるプロフェッショナルな方になりますが、その業界以外のことや、経済全般の事など、「比較」をするための対象となる情報が詳しいかというと、そんなことはありません。
そのため、「比較」をしたい場合は、このような質問をしてみましょう。
「今お話ししてくださった事象について、より魅力的に表現するために何か僕らのような本社業界の素人にもイメージが湧くような「比較」をして説明したいと思っています。今、ぱっと思いつく事はございますでしょうか?もし思いつかなければ、当社側で〇〇や〇〇について調査をして、説明を追加してみたいなと思うのですがいかがでしょうか?例えば、本件においては各社のエンジニアの人数を比較してみたら、もしかしたら御社が魅力的に映るような企画ができるかもしれないと思っています」
という感じで、ご質問してみると良いかなと思います。
山根の感覚値としては、その企業の代表者さまや、その業界についてかなりお詳しいとお見受けできる方は、このような質問をするとすごく価値が高い情報をいただけることが多いです。ただ、現場クラスの方やマネージャークラスの方、必ずしもその業界やその所属企業における経験がそこまで長くない方については、やはり回答に窮する事がありますので、場合によってご質問の角度を分けていただけると良いかと思います。
4. 質問パターン 〜希少価値〜
皆さんこんなことがよく発生していませんか?
「今回答いただいた情報(魅力)は、〇〇社や△△社も同じようなことを言っていた気がする」
「その情報はありきたりな情報だから、あまり求職者さまには響かないだろうな」
質問者は、なるべく良い回答を引き出すために、あらゆる質問を準備いたしますが、結果的に一般的なレベル感の回答に終始してしまうこともあります。また、回答者が回答してくださった内容について、それがどこまで価値がある情報なのか、そして他の企業様と差別化ができる情報なのかが見極め切れないこともあるでしょう。
このパターンは、下記の質問をしましょう。
「今、ご回答いただいた〇〇という箇所についてですが、他の企業様は取り組まれていらっしゃらない内容なのでしょうか?」
前述もいたしましたが、業界経験が長い方は、このご質問に対してすらすら回答いただけることが多いです。ただ、こんな回答をされてしまうこともあります。
「現職で長く在籍しているので、他の企業がどのような取り組みをしているか分かりません」
それはそうですよね。おっしゃる通りかと思います。
本ブログは、「回答者が回答してくださった内容に対して、どのように質問を被せるのか」という内容について言及をしていますが、本項においては、「事前」に回答者に伝えておくと良い回答を得られることが多いことに言及しています。
例えば、下記のようなイメージです。
「本日は様々な角度でご質問させていただくのですが、率直に回答いただいて問題ありません。ただ、ご回答いただいた内容が一般的なありきたりな内容になっていると、この文章(記事)自体に魅力が薄くなってしまうため、なるべく魅力的に映るような情報をご回答いただけるとうれしいです。ちなみに「魅力」とは、「ある事実」に対して「希少価値」の観点を加えると、事実が魅力に変換されます。例えば、「かっこいい男性」という事実があった際に、「日本で1番かっこいい男性」「〇〇株式会社設立以来最もかっこいいと言われている男性)というように希少価値観点を加えると魅力に変換することができます。つまり、今回のヒアリングにおいて、あなたが回答してくださる内容は全て「事実」になるかと思いますが、あなたなりにその事実を魅力に変換できるような「装飾」をしてくださると大変助かります。僕らも、装飾(希少価値)できるようにうまくご質問できればと思います」
という内容をヒアリングの日程の3日ほど前に共有しておけば、回答者も工夫して回答を準備していただけることが多かったりします。本ブログの趣旨と少しずれましたがご認識くださいませ。
最後に
皆さんいかがでしたでしょうか。
※当社の採用/人事組織系支援にご興味がある方はお気軽にお声掛けください。
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