設定とかより大事なものを 「ゴーストバスターズ フローズン・サマー」
満足!!前作ほどではないにしても、丁寧ですっきりとしたSFアクションであり青春ドラマ、とても面白かった
まず、この機会に改めてシリーズ4作を振り返ったんですが
1、2作目はどちらも面白いし、特撮美術の魅力・迫力も現代には無いチャームだと思う、ただ2については中身があまりにもあまりだったかな
2作とも時代性を差し引いてもさすがにダラダラしすぎなテンポ感だと感じてしまったし、いやこれは単に私がこの時代の映画を多く観てないというのがあるのだろうけど、割と退屈
そして3作目かつリブート版である2016年版、これは面白くなかった…
全体的に安っぽいし、まぁ最後のニューヨークはそこがむしろなんとも懐かしい質感になってるんだけど
クリス・ヘムズワースのキャラ設定とか今どき結構ひどいなと感じたし、いちいちユーモアのセンスまで古臭い感じがして楽しめなかった
ケイト・マッキノンの活躍は見応えあったけど、それ以外には特に何も…という感じ
からの4作目であり時系列としては3番目にあたるアフターライフ、こちらは一転してドラマの充実が素晴らしくて!!
人間ドラマとSFアクションをホラー要素でうまく繋ぎながら、細部まで丁寧に描写する、本当に無駄のないお手本のようなエンタメ映画だと感じました
そして今作、1作目のオリジナルキャスト参加だったり宿題の多い続編である以上、前作のようにシンプルで地に足のついたドラマにするは不可能なんだろうなという部分はあったけど
話運びに関しては引き続きとてもよく練られたストーリーで、個人的には大変満足できた!!!
キャラクターそれぞれの動機だったり、今なぜこの場所にいるのか?だったりの根拠がちゃんと明確である場面が多くて
掘り下げとまでは言わずとも、そういった丁寧な語りの積み重ねのおかげで、登場人物みんな生きてるキャラクターだと感じられる、ゴーストも含めてみんな生きたキャラクターになってた
主人公フィービーが前作と違って思春期強め、ジョークを語るのが減って新たなアイデンティティの悩みに直面して、時に焦りすぎて…というひとつひとつもね〜!無理なく飲み込める切なさともどかしさに満ちてたな
大人でも子どもでもない時期ゆえの葛藤、新たな家族を築くうえでの戸惑い、どれもありふれたものではあるけど
主人公が勝手に成長していくのではなく、ちゃんと親や周囲の支えの中で進んでいく物語だったのも良かった
現実が必ずそうなるわけではないとしても、ひとつの理想の形として描くことは大事だと思うし、同じように悩める大人としての親を描くのもフェアだった
このあたりはドラマとして斬新かというと別にそうではないんだけど、ブレない物語として丁寧に描き切ってて素敵だと思う
そして「青春」の問題に直面するのは若者だけではなく、リタイア後のオリジナルバスターズの面々に対しても降りかかってきて…こちらはまぁそこまでシリアスなものとしては描かれなかったけど
ひるがえって1作目の補足にもなるような描き込み、こういう部分にも作り手の姿勢が見えてやっぱり好きでした
なので総じて、登場人物多めの作品ではあるけど渋滞しすぎず語ってくれてたと思う!映像の迫力は言わずもがな、十分楽しいファミリー映画に仕上がってた
ドローンだったり新要素も使ってしっかり盛り上げてくれるし!
ただし図書館でのくだり、あれは徹頭徹尾ひたすら長すぎで驚いた…いくらなんでも退屈すぎる、もっとサクッとした方がいい説明だったんじゃないかなさすがに
しかも設定について説明すればするほど、クライマックスの規模がやたら小さいことが際立ってしまうという残念な対比にもなってしまっていて
まぁファイアマスターをわざわざ店名とかから探してたし、規模のギャップも狙いのうちなのかもしれないけどね
それにしてもクライマックス、決着つける方法があれだからということで逆算したのかもしれないけど、それにしたって規模が小さすぎる
10人近くいるバスターズの面々がギュッと一堂に会するというのはまぁそういうギャグと思えば笑えるけど、スケール感という意味ではだいぶ物足りなかったな〜
あとエターナルズでおなじみのクメイル・ナンジアニ演じるファイアマスター、このくだりというか存在は必要だったんだろうか…?
この人いなくても物語には一切支障ないんじゃないかと初見では思ってしまった、また観れば何か見つかるのかもしれないけど
そして何より心を動かされたのはラスト、戦いを終えて市民から拍手喝采を受けるというシリーズ定番の流れなんだけど、ここね!!!
前作この要素が無かった(と記憶してる)からなのか、単純にお約束をやってるということ以上に、勇敢に立ち向かった人々をストレートに褒め称えることの素晴らしさ、ここを原典から抽出したのか!!!と納得できて
すべきことを誠実に実行した人たちがいて、その行いの尊さを称賛する、これこそ我々に必要なことだろう!!!とお気楽な音楽を背景にニッコニコで幕を閉じるファミリー映画…いや〜もう言うことないですこれ
人の悪意や不和が可視化されすぎてる今の時代において、わざわざゴーストバスターズ新作を作ることの意味がここにこそあるように感じて、おなじみのテーマ曲が流れたところでしっかり泣いてしまった
1作目・2作目におけるニューヨーク市民との交流は、どうにも唐突というか無理矢理な感じがして飲み込みづらい印象があって、それこそ時代の空気感とは切り離せない部分なんだろうけど
ゴーストバスターズの奮戦に映像的な説得力が加わったことも理由のひとつなのかな、とにかく最後の称賛がすごく美しかった
主人公たちが家族になっていくことに対する説明不足、これがむしろ良いというのもあるんだよな〜!
現実において、自分が把握してる原因とかきっかけなんて真実なのかどうかは分かりようがないわけで
いわゆるご都合主義ではない、とにかく一緒に時間を過ごす中で少しずつ歯車が噛み合っていく距離感がまた見事だなと思いました
いや〜満足できたな面白かった、この感じならフィービーの成長物語として続編も作っていけるんじゃないだろうか!!
単なる懐古主義とかリメイクものではない豊かなファミリー映画として、さらにブラッシュアップされていくことを期待したいです