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親から観るか、子から観るか 「野生の島のロズ」
評判に押されて鑑賞してみました、なるほどな〜〜〜確かに悪いところは一個もない!!これは単に好みが分かれるだけだと思います、私としてはちょっとあんまりだった
特に事前の評価が高かった映像表現、これには確かに目を奪われました、きれいだったね〜〜圧倒されるとはまさにこのこと
水彩画のような筆のタッチを思わせる質感でありながら、動きは最新の3DCG、場面ひとつひとつは止め画としても成り立つくらい整っているのにアニメーションでもあるというね
動物たちのキビキビした動き方もリアリティが高くて、丁寧な作りを感じられてよかったです
スパイダーバースが全世界に衝撃を与えてから随分と時間が経ったけど、ドリームワークスはこういった形で独自の表現を模索しているのがとても素敵だと思いました
それからストーリーの部分、語られる理想論は綺麗事だし絵空事だけど、これをまっすぐやる映画があるということ自体が素晴らしいし、今この分断の時代にこそ堂々と描かれるべき物語でもあった
ロズがプログラムを超えたように、あるいは動物たちが本能を超えたように、私たち人間も身を寄せ合って厳しい時代を生き抜いていけるはずだと一切の嫌味なく語りかける、これは子ども向けのエンタメだからこそ輝くメッセージだと感じました
その辺も含めて、一歩踏み出す勇気を持つことの大切さであったり、まっすぐ気持ちを伝え合うことの尊さも描かれていた、まぶしすぎない正しさが好印象でした
だからといって甘っちょろい世界観かと言えばそんなことはなく、目立たない程度にはしっかり「死」や「現実」を描いていることも、それらのメッセージに嘘っぽくない質感を持たせている要因のひとつなんだと思います
島に絶対残る!!とか完全に別れる!!とかではない、各方面の事情を踏まえた大人な着地なのも好きでした、ロズを作った会社は別に世界征服うんぬんみたいな悪役ではないわけだもんね本来
ただそれであれば、ロズを連れ戻しに来るロボットは「怒り」みたいなテンションにならないほうが良かったんじゃないかとは思うけど
それから「親と子」「育てることと巣立つこと」という部分に関しては、私がちょっと未熟すぎたのか、トントン拍子で進んでいくストーリーに置いていかれた感が強かったので少し残念
滑走路のシーンとか最高だったし、ロズが親として変化していく過程もすごく面白かったんだけどね…キラリが小枝を置くシーンなんかも最高だし
なんというか全体的に、とにかく出来事、出来事、出来事、もう出来事に次ぐ出来事!!!というテンポ感が個人的にはどうしてもハマらず、もう少し余韻に浸る時間をください…と思いながらの鑑賞でした
このあたりは個人的な好みでしかないんだろうな、テンポが速くて楽しめない映画というのがどうしてもあるんです
あと今回はスケジュールの都合から吹替で観たんですが、これがいわゆるタレント声優の域を出ない感じで、やっぱり字幕で観たかったな…というのも残念ポイントです
特にチャッカリ役の柄本佑が飲み込みづらかった、いかにも「子ども向けアニメ映画で俳優が声をあてる時の、フィット感が足りなくてちょうどノイズになるくらいの抑揚」という感じで
それに伴って、例えば「キラリ」という和訳がこれまた意味を持ちすぎてて恥ずかしくなる、これを良しとするキラキラネーム大肯定的な陽キャ感が居心地悪かった
確かに英語版の「Brightbill」はそのまま「キラキラくちばし」って意味のようで、そうなると余計にな〜〜、他にもっとベタつきのない和訳はできなかったんだろうか
という具合に、いろいろと個人的な好みの部分でハマらなかった感じではある、ドリームワークス作品は割とどれもそういう印象だったりするんですが
劇場のド迫力で映像美を楽しめたし、やっぱり今この時代にこそ語られるべき誠実なメッセージがしっかり込められた作品でもあるのは間違いないので!その意味では観れてよかったなという気持ちです
#映画 #感想 #野生の島のロズ #ドリームワークス #映画感想文